シンデレラじゃなくて王子様になりたい。
お手に取ってくださりありがとうございます!
百合です。苦手な方はお戻りいただけると幸いです。
“シンデレラはめでたく王子様と結ばれ幸せに暮らしました。めでたしめでたし。”
そういった物語、昔から女の子は1度は憧れたことがあるかもしれない。
その物語を保育園で読み聞かせされた後、他の子たちは
「私もシンデレラみたいに、運命の王子様見つけたい!!!」
「シンデレラみたいな王子様を見つけられる可愛い子になりたいなぁ。」
と、みんな口を揃えてそう言った。
だけれども私ことスイは、シンデレラじゃなくて、シンデレラのような運命の女の子と付き合えるような王子様になりたいと思っていた。
それから少し経って物心がついてくるうちに私の恋愛対象が男の子じゃなくて女の子だということを理解した。
だからといっても女性が全員好きとかではなく、こういう男性がタイプ、というように私にも女性のタイプはある。
私のタイプは芯がある強い女の子で、何事にも挫けずに取り組むような子が好きだ。
それ以外の子は同性の友達として見ている。
「ねぇ、スイ?今日って帰りどこか寄る?」
ちなみに目の前にいる同級生の女の子、リンのことはバリバリ恋愛対象として見ている。
…彼女からは恋愛対象となんて思われていないかもしれないが。
「ねぇスイ?聞いてる?」
そんなリンは私のことをハグしながらその綺麗な顔をこちらの顔を覗き込むように動かしている。
「…ごめん、なんだっけリン?
もっかい言ってもらってもいい?」
「もー!ちゃんと話聞いててよね?
帰りどこか寄るかって話!」
ぷくーっと頬を膨らましているリンはとても可愛い。
リンの口元にはプルプルのリップを塗った唇があり、それが動いているのがとても愛おしい。
「ああ、私は特に行きたいとこないけど
どこかリンが行くなら付き合うよ?」
「え!いいの?
じゃあ私マフラー買いに行きたい。」
「マフラー?沢山持ってなかったっけ?」
「まあ、何個あっても困らないし?」
リンは同情を求めてきている。
「…まあ、そうだね。」
「てかほんとこの冬の時期マフラーは手放せないよね。」
帰る支度をしている私に、リンはマフラーを首に巻きながら言ってきた。
「確かに。最近寒いもんね。」
「ほんとにね!
私習い事で帰り遅いからいつも寒くて困っちゃう。」
「リンはピアノ教室通っているから余計に帰り遅くなるよね。寒そう。」
リンはずっと小学生の頃からピアノ教室に通っているそうだ。
そんな努力しているところも好きだ。
「そうなの。
でも、今日はレッスン無いからすぐ帰れるー!まじで最高っ!」
リンは嬉しそうな顔をしている。かわいい。
「良かったね。
ごめん、お待たせ。用意できたよ。
じゃあ行こ?」
「いえいえっ。」
──────その道中。
「スイ寒くないの?」
リンは私の方を見てそう言った。
「寒いよ。」
私は手を擦り合わせながらそう言った。
「私もさむーい。
…手繋ご?」
私はそのリンの言葉にドキッとしたが、ただの戯れだと思い
「いいよ。」
そう言って手を繋いだ。
──────ショッピングモールにて。
「え、これとこれどっちが私に似合うと思う…?」
リンはベージュのチェック柄のマフラーとピンクのふわふわのマフラーを私に見せながらそう言った。
「うーん。どちらも似合ってるね。
似合ってるけど…リンさ、前こんな感じのピンクのマフラー持ってなかったっけ?
ベージュのチェック柄のみたいなのは持ってなかった気がする。多分。
だからベージュのチェック柄のマフラーつけているの見てみたいな。」
「そっかー。
えー、もう少し考えてもいい?」
「いいよ。」
「待ってるの退屈じゃない?大丈夫?」
「退屈なわけないじゃん。楽しいよ。」
「え、もうスイいつも思うけど優しすぎる〜。
スイが彼氏だったら良かったのに。」
「……」
はあ、またか。
リンは時々このようなことを冗談で言う。
私はいつもその言葉を聞いて、つい言おうとしてしまう。
『私達付き合ってみない?』
なんて、そんな言葉を。
そんなことしてはダメだ。
彼女からしたら私はあくまで友達なのだから。
彼女からの信頼を失わないためにも
「あはは、ありがとう〜。」
そう、はぐらかした。
「………」
はぐらかし方に困ったからかは分からないが、私はその時のリンの表情を見ていなかった。
リンの表情がどこか悲しそうな表情だったということに。
──────次の日。
「おはよっ。スイ!」
リンはいつものようにハグせず、ただ肩を軽く叩いてきて挨拶してきた。
「おはよ。リン。
あ、付けて来たの?そのマフラー。」
リンは昨日買ったピンクのマフラーを身につけている。
リンは私のアドバイスとは真逆のピンクのふわふわのマフラーを買った。
でもピンクのマフラーもよく似合っていて、可愛らしい。
「そうなの。
可愛いよね、これ。」
「うん、可愛い。」
「ありがと。」
そう言ってリンは自分の席に行った。
なんだか、今日そっけない?
まあ、気のせいだろう。
──────お昼。
「リン、お昼食べよ?」
「あー、ごめんね、スイ。
私今日隣のクラスの男子にお昼誘われてて…。」
「あ、そうなんだ…。
行ってらっしゃい、リン。」
「ごめんね。」
そう言ってリンは廊下へ出てってしまった。
いつもリンはほかの男子に誘われても
「スイと食べるのに忙しいからどっか行って!」
と、言ってたんだけどなあ…?
まあ、これで行かないでって言える立場でも無いし…。
心変わりしたのだろう、うん。
と言っても、少し動揺している私もいる。
やっぱり昨日言うべきだったのかな。
──────お昼終わり間際。
「じゃあね、リンちゃん。」
廊下でリンと隣のクラスの男の子が話しているのが見えた。
「ば、ばいばい。」
そう言うと、教室に入ってきて、私の顔を見て、すぐ私の所へ来た。
「ねぇ、スイ。
今日はごめんね。」
リンの顔をよく見ることは出来なかった。
私の泣きそうな顔を見られたくなかった。
「大丈夫だよ。」
──────次の日。
「ご、ごめん。
今日も一緒にご飯食べようって誘われちゃって。」
「そっか、わかった。」
──────そしてまた次の日。
「ご、ごめん今日も…。」
「大丈夫だよ。」
──────そのまた次の次の日。
「ごめん、また今度一緒にご飯食べようね、スイ。」
──────そのまた2週間後。
「今日も一緒に食べてくるね。
また後でね。」
「…うん。」
リンは廊下に出る前に前髪を直したり、リップを塗り直している。
「…その、今一緒にいる男の子は、どんな子なの?」
「今一緒にご飯食べている子はユウマくんっていうの。とっても優しいんだ。
あと…前から、私のこと好きだったらしいのよ。」
「………そう、なんだ。」
自分で聞いたのにも関わらず、ダメージを受けてしまっている自分が居る。
「そうなの。
じゃあ、行ってくるね。」
そう言ってリンは行ってしまった。
「行ってらっしゃい。」
──────とある日、またお昼にリンはユウマとお昼を食べに行った。そして、1人になったお昼時間中。
「先輩、おひとりですか?」
ふと、声をかけられた。
「ん?」
私が顔を上げると、一瞬リンかと思ったが…
違う。
リンと髪型やメイクが似ているから一瞬分からなかった。
「あ、メイちゃん?どうしたの?」
後輩の女の子、メイちゃんが隣に居た。
メイちゃんは委員会で仲良くなった後輩で、よく私に懐いている女の子だ。
「いえ、何となく先輩に会いたくなって。」
そう言うメイちゃんの顔はどこかオドオドしていた感じがした。
「そっか。」
「そういえば、よく先輩とご一緒している女の子はどこ行ったんですか?」
「あー、リンのこと?
リンは…最近他の子と…食べてて。」
「…それって、リン先輩の恋人、ですかね?」
「え、リンの恋人になったの、あの人。」
そう言うとメイちゃんはきょとんとした顔をしていた。
「先輩、知らないんですか…?」
「…うん。」
「そうだったんですか…。
お話した方がいいですか、ね?」
「大丈夫だよ。
聞いてもいい?」
「は、はい。
リン先輩、最近ユウマ…?先輩とご飯食べているじゃないですか?」
「そ、そうだね。」
「…最近、そのお二方お付き合いされたみたいですよ。」
「…そう、なんだ。」
「はい。」
「リンの友達の私ですら知らなかったのに、なんでメイちゃんは知ってるの?」
ふと気になり、聞いてみた。
「ユウマ先輩から聞いた子が居て。」
「女の子?」
「女の子です。」
「…ユウマ先輩って、有名人なの?」
「聞いたことないのですか?
ユウマ先輩、女遊びで有名ですよ?」
リンの顔が、真っ先に浮かんだ。
「リ、リンは大丈夫なの?」
「大丈夫なんじゃないですか、ユウマ先輩、リン先輩と付き合ってからというものの、女遊びやめたらしいので。」
「えっ。」
「ずっと、ユウマ先輩はリン先輩のことが好きだったらしい?みたいなので。」
「あー、ね。」
それはそれでいいのだろうか、と心の中で一瞬ツッコミを入れた。
「それだけリン先輩に対して本気だってのが、伝わりますね。」
そう言うメイちゃんの顔はどこか楽しげだった。
「そう、なんだ。」
私は顔を下に下げた。
泣きそうで、泣きそうで、泣きそうで。
どうしようもなく辛くて。
これが、失恋かぁ。
…辛い、なぁ。
すると、急にメイちゃんは
「…私、スイ先輩のこと、好きなんです。」
と、そう言った。
私はその言葉にびっくりして顔を上げた。
「も、もちろん友情みたいなやつでだよね。」
私は少しドギマギしながら、そう言ってしまった。
「何言っているんですか、先輩。」
「え?」
「もちろん、恋愛感情としての好きに決まっているじゃないですか。」
「ど、どういうこと!?」
私は大声でクラスの中で話してしまった。
「…先輩、ちょっと、2人きりになりましょ?」
メイちゃんはちょっと顔を曇らせながら言った。
「は、はい。すみません。」
「…ふふ。」
──────校舎裏。
「で、メイちゃん。どういうこと。
冗談でそんな事を言うなら、やめて。」
私はメイちゃんのことを考えてそう言った。
メイちゃんは顔を下げている。
「…そんな事、ですか。」
メイちゃんは顔を上げた。
私とメイちゃんの目がパチッと合った。
そんなメイちゃんの顔には、大粒の涙が流れていた。
「先輩、そんな事って言っていますけど、そんな事がどれだけ大きな事か分かっていますよね?」
メイちゃんは私に詰め寄ってくる。
「え、あ。」
「私、本気で先輩のこと、好きなんです。
…先輩が、女の子を好きになるのは、知ってます。
先輩のこと、よく見てきたので。」
「知っ、てた、の?」
「…はい。すみません。
先輩は、リン先輩のことが好きだと思うので、直ぐに好きになったり、付き合って欲しいとは言いません。」
「う、うん。」
私は急に起こったことすぎて、何も考えられなくなっている。
「だから、今は、これだけで。
ごめんなさい、先輩。」
そう言って………
メイちゃんは、私の顔を引き寄せ
私の唇と唇が、触れ合った。
……私の、ファーストキス。
どこか冷静な頭の隅でそう考えていた。
顔と、顔が離れた。
「…え。」
私は驚いて、何も言えなくなっていた。
「…へへ、すみません。先輩。
先輩、大好きです。」
そう言ってメイちゃんは帰ってしまった。
残された私は、先程まで触れ合っていた唇が
風で冷えるのを感じた。
──────そのあとの教室で。
「あれ?スイどこ行ってたの?」
「…ちょっと、ね。」
私はリンの顔が見られなくなっていた。
リンのことは、好きだ。
そりゃあ、好きだ。
ずっと、好きだ。
でも、ユウマと付き合っている、なんて、知らなかった。
失恋した心の傷は埋まらずにまだ残っている。
「私はどうしたらいいんだ…。」
「ん?どしたの?スイ?」
リンの顔が私の顔に近づく。
「…なんでもない。」
──────その日の放課後。
「ね、ねえ!スイ!私、話あって。」
リンが急に話しかけてきた。
「…何?」
「私、ね。」
なにかリンが話そうとしていたた時
「せんぱーーーーい!!!!」
そう言ってドアを勢いよく開けて、メイちゃんが話しかけてきた。
「あ、メイちゃん。」
「先輩一緒に帰りましょ!!」
そう言ってメイちゃんは私の腕を引っ張る。
「……そういうことなんで、さようなら、リン先輩〜。」
メイちゃんに引っ張られながら私は廊下へと押し出された。
ふとリンの顔を見ようとしたが…メイちゃんの押しが強くて見れなかった。
──────リンside
スイとメイ、なんか距離近かったな。
…やっぱり、私、スイに気持ちを伝えるべきだった…のかな。
迷っていたらメイがスイを引っ張って行っちゃったから、言えなかった。
でも、言うべきでは、ないのかな?
もしかして、スイはメイのことが好き?
今私はユウマくんと付き合っている。
今はスイのことを諦める為に、ユウマくんには申し訳ないけど何となくでユウマくん…異性と付き合っている。
ユウマくんと付き合ったら、ユウマくんのことを恋愛対象として見て、スイのことを恋愛対象ではなくて、友達として接することができるだろう、と思ったからだ。
メイのあの感じ…もしかして、スイのこと好きなの…かな?
やっぱり無理してでも言うべき、だった?
「リン、帰ろ?」
あ、ユウマくん、だ。
最近付き合い始めた私…リンの彼氏、だ。
私が、好きな、人、だ。
「ユウマ、くん。」
この思いを…ユウマくんに相談するのは場違いだろう。
「ん?どうした?リン?」
「いや…なんでもない。」
思いを押しとどめよう。そうしよう。
「そう?まあいいや、帰ろうよ。」
「うん。」
──────ユウマside
やっべぇぇぇぇ浮気バレたのかと思ったぁぁぁぁ。
隣で一緒に廊下を歩くリンの顔を伺いながらそう考える俺の名はユウマ。
今はリン、コトノ、スミ、マイ、エリカと付き合ってる。
そんな今日はリンと帰っている。
俺は色んな女の子と遊ぶのが好きだ。
今付き合ってる女の子でリン以外は
俺がそういう人間だということを理解して付き合ってくれている子達だ。
なんやかんや相談に乗ったりビシバシ指導してくれたりするし。
あれ、これって彼女でいいんか…?
姉ではこれ…?
よく蹴られるし。殴られるし。
ちなみにリンとはただ男と話したり、付き合ったりしている所を見た事ないから、気になって付き合いたくなっただけだ。
だが、最近わかったことがある。
リンは、女の子が恋愛対象だ。
俺の予想だが、スイが好きなんだろう。
女の子のことをよく見ている俺だから分かる。
俺、天才。
というか、待って、俺、要らなくね…?
俺男やん。
ええ…?
女の子が恋愛対象でしかも想い人がいるならなんで俺と付き合ったんだこの子は…?
別れてもいいよ…?全然いいよ…?
なんでこの子ほんとに俺と付き合ってんの…?
それとも俺のことを本気で好きに…?
もしかして俺のこと男じゃなくて女だと…?
骨格とかバリ男だぜ俺…?
それともそういう趣味が…?
うーん、よく…分からん…。
頭痛がしてきた。
まあ、人の恋路を見守るのが好きな俺はいつもいる姉御達とスイとリンの関係を見守るに徹しよう。
うん、あんまり考えないでいよう。うん。
まあ、人の恋愛話より面白いものはないよね。
「そういえばスイちゃんは?」
何となくリンにリンの想い人であろうスイのことを聞いてみる。
こういうちょっかいくらいはかけてもいいだろ?
楽しぃ〜!⤴⤴⤴
「スイ?スイがどうかしたの。」
やっべぇぇぇぇ間違えたああ。
クソ地雷踏んだし。
クソ声低いいい。
怖ぇぇぇぇぇ。
「い、いやあ、リンとスイちゃんって仲良いじゃん!?何となく最近どうなのかなーって思ったんよ!ほんまに!」
「あー、そう、だね。」
女の子わかんねぇぇぇ。
心の中の姉御達、助けてくれ!
「ご、ごめん、この話題やだったよね。
やめるね。」
「別にいいよ。
そうだね…そういえば最近、スイと話せてないな。
今日も私話しかけようとしたのに、私の…私の、スイなのに。」
リンはポロポロと涙を流した。
「リン、大丈夫?」
待って、待って、待って。
「あーーーー…………私、ダメだぁ。」
そういって廊下でリンはしゃがみこむ。
周りの人から俺とリンは沢山見られている。
周りの人はヒソヒソ何かを話している。
「リン、とりあえず空き教室行こ!ね?」
よし、姉御達のいる空き教室行こう。
そうしよう。
姉御達泣かないから対処法がわからん。
助けてくれー!姉御達!!!
──────リンside
「バカかおめぇはよ?連絡しろや。」
ユウマくんに連れてこられた空き教室には
何故か知らないが女の子が4人いた。
そして今はユウマくんがその女の子達に詰められている。
「えー!あなたがリンちゃん?かわいー!
私コトノっていうの〜よろ〜!」
1人のギャルのような女の子、コトノさんにほっぺをつんつんされる。
「あ、ありがとうございます…?」
「うわ、めちゃ可愛いやん、可愛さが過剰すぎて死ぬんだけど。あとで写真撮ろ?」
そして地雷系のような女の子にも話しかけられた。
「コトノ…マイ…困ってるよ、リンちゃん。」
そして、大人しい感じの優等生っぽい子もいる。
なるほど、多分話を聞くとさっきの地雷系の子はマイさんっていうのか。
「スミ、コトノとマイ静かにさせといて。」
なるほど、この真面目系はスミさんというのか。
そしてさっきスミさんに話しかけていて…かつ、今ユウマくんを床に座らせている
めちゃくちゃ美人のお姉さんは…確か、エリカ先輩だ。
めちゃくちゃ校内の有名人だ。
モデルのスカウトが来たとか雑誌に載ったとか噂は沢山聞いている。
「えっと…その…エリカ…。」
「様をつけろ、様を。」
「エリカ様ァ!!」
「よし。発言して良し。」
「あの、エリカ様。何故そこまでキレていらっしゃるのですか…?」
「おめぇが女の子泣かせたからに決まってんだろ馬鹿野郎。」
「すみませんでしたぁ!!!」
ユウマくんはこちらに対して全力で土下座をしている。
「え!?え!?ユウマくん、大丈夫だよ!」
「まあとりあえずこいつが全部悪いんで、ね。
大丈夫ですよ。」
エリカ先輩はこちらに微笑みを向ける。
「あ、あの…というか皆様とユウマくんはどのようなご関係で…?」
女の子達はみんな顔を見合わせた。
そんな中エリカ先輩は代表して言った。
「私たち全員は、ユウマと付き合ってるの。」
「え?」
「全員ユウマと遊んでいる女よ。
ま、こんな感じで冴えないユウマを鍛えているってのもあるかもしれないけど。」
「ええ?」
「あなた、リンちゃんでしょ。
聞いてるわよ。スイのことが好きなんでしょ?」
「え!?え!?え!?
そ、そんな事…。」
私は急に自分の好きな人を当てられてびっくりした。
「嘘つかなくてもいいわよ。
ユウマも知ってるもの。」
「え…?」
私はユウマくんの方を見た。
「あは、ごめんね。
一応弁明しとくと、知ったのは最近だ。
最初は俺のことが好きなのかと思ってこの子達の一員に加えられたらなって思って付き合ったんだけど…。
俺女の子よく見ているから、前髪切っても分かるタイプの男だからさ、わかったんだよ。
リンの…心情っていうの?うん。」
「リンちゃんの恋愛対象とでもいいなさいよ。馬鹿。」
マイさんは口を挟んだ。
「そうですね。
ありがとうございますマイ様。
そ、俺は君の恋愛対象…そして、想い人がスイなんじゃないかって思ったんだ。
俺と付き合ってるのも謎だってのもあって
いい機会だしこの部屋に連れてこようかと思って。
…まあ、アポ無しだったからキレられたけど。
君さ、自分一人で抱え込んじゃうタイプじゃないの?ここの子達はいい子だよ。
俺にでもいいから、相談して欲しいなーって思って!」
「そう、だったんですか。」
「うん!私たちずーっとリンちゃんとスイのこと応援していたもの!
なんでも愚痴ったり相談して欲しいわ!
…初対面だから抵抗あるかもだけど!
私たち口は堅いわよ!
もちろんユウマも、ね?」
「そうなんですか…では、ちょっと話させて貰っても、いいですか?」
「落ち着くまでじゃんじゃん話していいからね。」
スミさんがそう言ってくれた。
「では…。」
私はスイが好きなこと。
多分脈ナシだということ。
スイのことを諦めたくてユウマくんとお試しで付き合ったこと。
スイは今メイといい感じなことを話した。
「うーん、なるほどね。」
エリカ先輩はなにか考えている。
「というか、ごめんね。ユウマくん。
お試しで付き合うなんて…私…最低だよね。ごめんね。」
「別にいいよ。気にしてないし。
俺にはこの4人もいるし。」
「付属品みたいに言うなや。」
コトノがツッコんできた。
「すみません、コトノ様…。」
「ふーん、とりあえずリンちゃんはどうしたいの?」
マイさんが口を開いた。
「わ、私は…出来れば、スイと付き合いたい。
スイのことを、諦めたくない。」
「ちゃんと言えて偉いね。」
スミさんがそう言った。
「それで、メイっていう子はスイとの知り合いなの?」
エリカ先輩がそう言った。
「えっと、委員会で一緒なはず…。」
「メイ…委員会…
ねぇ、スイってどこの委員会か分かる?」
エリカ先輩は私に聞いてきた。
「えっと…図書委員会です!」
「あー、あのメイか。」
エリカ先輩は何か思い当たる節があるようだ。
「な、何かあるんですか?」
「んー、ちょっと前にメイっていう新入生が委員会でいじめにあった、みたいなのを聞いたんだ。
それを助けたのがスイっていう噂を聞いた気がして…。
それ繋がり、かな?」
「そうですね。
実際それは事実だと思います。見たんで。」
スミは淡々と言った。
「はよ言えし。」
コトノは呆れた顔をした。
「それで多分恋愛感情抱いている系かなー。
なるほどね。ライバルは手強いね。」
エリカ先輩は微笑みながらそう言った。
「ま、作戦練ろうよ。
この可愛い可愛いリンちゃんの為に、さ?」
そう言うエリカ先輩の顔はイタズラを考える子供のようでとても可愛らしかった。
──────スイside
「先輩、あの時の委員会のこと、覚えてます?」
「んーと…?」
「もう!先輩忘れちゃったんですかぁ?
ほら、私の事いじめから助けてくれたじゃないですか!先輩が!」
「あー、そんなこともあったね。」
「私、あの時から先輩のこと好きなんです。」
「…。」
「私、ずっとずっと、好きなんです。」
「メイちゃん…。」
「先輩、メイって、呼んでください。」
「メ、メイ…。」
「ふふ、ありがとうございます。
…先輩は、先輩のことを一途にずっと好きになってくれる人と付き合うべきです。」
「どうして、そう思うの?」
「だって…先輩、優しいし、かっこいいし、頭いいし、性格もいい。
声も綺麗だし、顔も整っていて可愛い。
困っている人を助けることもできる。
私からしたら魅力的なんです。とても。
先輩は、ほんとに魅力的な人間なんです。
私は、ほんとに好きなんです。
先輩のこと。
大事にしたいんです。
だから、私と本気で恋愛をして欲しいんです。
リン先輩のことを忘れて。」
「…そんな魅力的な人間が、好きになった人は魅力的ではないのかい?」
リンのことを挙げられてつい言ってしまった。
「い、いえ、そうではなくて…。」
「ふふ、ごめんよ。」
乾いた謝罪だ。謝罪の気持ちもこもってない。
…寒い。
唇が寒い。足が寒い。心が寒い。
選べない自分が嫌だ。
罪悪感でより寒く感じる。
目の前に居る、とっても大切な後輩。
…ほんとに?
…ホントのあなたは、彼女を。
…恋愛対象外なのに。
…拒まないで、いるじゃない。
…拒んでよ、好きじゃないなら。私。
…それとも、彼女は都合のいい存在なの?
…リンとは違う、私をただ好きで居てくれる都合のいい女、なの?
「?先輩?」
メイの顔がこちらを覗き込む。
メイの唇、プルプルで可愛いな。
リンも、こんな唇だったな。
「えっ、せんぱ」
唇と唇が重なり合う、さっきよりも、長く。
私は少し時間が経ってから唇を離した。
ふと彼女の顔を見ると、涙と顔の赤さでぐちゃぐちゃになっていた。
「先輩、どうしたんですか?」
少し泣きながらメイは言った。
「あ、え、私は…その…。」
そう戸惑っている私に対してリンは
私のことを、抱きしめた。
「先輩、大丈夫ですよ。
私はリン先輩とは違って、先輩のことが好きなんです。
先輩が私のことを好きになってくれるのなら、受け入れます。」
「え。」
「さすがに、少し私にもアウトゾーンはありますけど、ね?」
そんな会話をしていたらいつの間にか私の家の前に着いていたようだ。
メイは私の体を離した。
「じゃあ、先輩、さよなら。
また明日、ですね!」
「あ、うん。
またあした…。」
そう言ってメイはメイの家の方へと駆けていった。
私は母親の挨拶も無視して部屋に入った。
「私は、何をしている…?」
私は最低なことをした。
リンの唇と、メイの唇を重ねてしまった。
メイはメイ。リンはリンのはず、なのに。
「感情ごっちゃだよ…。」
私はベッドに罪悪感と共に沈み込んだ。
──────メイside
先輩、多分私じゃないんだろうな。
分かってた、分かってたの。
先輩が私の事なんか元々眼中にもないって。
リン先輩に夢中なのは知ってた。
だから、そんなスイ先輩をリン先輩から奪うのは、大変だろう。
私の、キスで、少しは意識してくれたのかな。
というか先輩、帰りに先輩からキスしてくれるなんて。
ふふ、やった。
でも…私にはわかる、これは、私へのキスじゃない。
多分、リン先輩へ向けたキスだろう。
先輩、私の事を、見てよ。
私は、リン先輩に寄せていたメイクを
私本来のメイクに明日から戻すことを決めた。
先輩のこと、リン先輩になんか、あげません。
1度諦めたのなら、とっとと諦めてください。
──────リンside
ユウマくんは、受け入れてくれた。
私達は別れた。
スイのこと頑張ってね、と言ってくれた。
私も、明日、明日。
ちゃんと伝えるんだ。この想いを。
───次の日。
──────スイside。
「おはよ、スイ。」
「…おはよ、リン。」
「ねぇ、今日、話ある。」
「…?どうかしたの?リン。」
「いや、ただちょっと2人きりで話したい。
12時に校舎裏来て欲しい。」
「いいよ。」
「ありがと、スイ。」
?どうしたんだ?リン。
「先輩ーーー!!!」
リンと話していたら朝から元気にメイがやって来た。
「おはよ、メイ。」
「おはようございます、先輩。」
「あれ、メイク、変えたの?」
「はい…この方が、私らしいかなと思って。」
「いいね。」
そう言うとメイはどこか嬉しそうな顔をした。
「先輩、今日のお昼休み始まってすぐ、11時50分頃校舎裏に来てくれませんか?」
「…あー、そのあとの12時からリンに同じ場所に呼び出されてて。」
「じゃあ、早めに来て私とお話してましょうよ。ね?」
「ええ…。」
「ええ、なんて言わずに!
ね!お願いしますよー!先輩ー!」
「わ、分かったよ。」
「えへへ、約束ですよ!先輩!」
そう言ってメイは帰った。
───メイside
あーあ、聞こえちゃった。
リン先輩と会うんだ、先輩。
先輩…知らないでしょうけど、リン先輩と相思相愛ですものね。
知ってますよ。
だって、先輩のことよく見ていると
よくリン先輩といるの見ていたので。
そして、リン先輩がスイ先輩を見る目が
明らかに恋するような目だったので。
今まではスイ先輩のこと、リン先輩に譲っていました。
けど、もう譲れません。
──────それが聞こえてしまっていたリンside。
えええええ!?あれ!?
メイちゃん呼びじゃなかったっけ!?
え、恋仲になったの!?
ち、違うよね?
ていうか私の先にメイなの!?
でもお昼休み11時50分からだからさすがにそれより前は…いや、教室で伝える…?
いや、さすがに話しにくい。
なんせ告白なんだから。
しょうがない。
少し前の5分前に着いといて、陰から少し2人を見てよう。
───お昼休み。スイside
「じゃあ、リンまた後でね。」
「うん。」
そう言ってリンと別れて私は校舎裏へ行った。
あ、そうだ。一応携帯持っていこう。
「先輩、来てくれてありがとうございます。」
「メイ、どうしたの?」
「私…改めて、伝えたいなと思いまして。
私は、先輩のことが好きです。
委員会のいじめから救ってくれた、あの時から。
今の、先輩の思い聞かせてくれませんか?
リン…先輩に呼ばれているんですよね?
行かないで、くれませんか。」
「…どうして?」
「何となく、です。」
「そ、それだけ?」
「はい。」
そういうメイの顔はどこか焦っているようだった。
「あと…行ってほしくないんです。」
「…」
「だって私、ほんとに好きなんです。
先輩のこと。
私、私…先輩のこと、取られたくないんです。
先輩は、私の事、好きですか?」
「えっと…。」
私はメイのことは好きではない、はずだ。
だけど、リンのことを諦めた私は
どこか埋まらない傷が残っている。
そんな傷を埋めるかのようにメイが来たことによって、私の意思が揺らいでいるのを感じている。
私、こんな最低な人間だったんだ。
軽い人間だったんだ。
「好き…では、ない。
メイのことは、後輩として今まで見てなかった。
正直、失恋したところにメイが来てくれて…嬉しかった、少し心の傷が埋まった感じがしたんだ。
だけど、多分まだ私はリンのことが好きっていうのがあるんだ。
まだ、正直選べない。
最低だよね、ごめん。」
「いいんですよ。
私は先輩が好きになってくれるまで、待ちます。
…先輩は、リン先輩を諦められないんですか?」
「まあ、うーん。
…でも、もう、彼氏いるし。
諦めかけているよ。もちろんね。
リンに相手される訳なんかないし。」
だから私は好きになってくれる
一途で
都合のいい女を
求めているのか?
リンなんて、こちらのことを絶対振り向いてくれもしない。
「ふふ、そうですよね。」
「でも、この恋もこの後リンと話す時で終わりにする。
そしたら、ちゃんとメイに向き合うよ。」
ちゃんと、向き合えるかも分からないのに?
「そ、そうですか。」
「…行ってほしくないの?」
そんな、メイを試すように言う私。
「もちろん、そうに決まっているじゃありませんか。」
「そうだね。
でも、ごめん。行かせて?
でも…これで諦められるから。」
───嘘だ。
ただ都合のいい女をキープするだけの嘘。
「…分かりました。」
「うん、ごめんね。」
「じゃあその前に、ちょっといいですか?先輩。」
そう言ってメイは顔を寄せた。
そして、メイは私の体を抱き寄せて
キスした。
前よりも、私からした時とも長く。
もっと、長く。
…ああ、メイの唇は柔らかい、な。
───あーあ、もう
全部、全部かったるい。
恋愛なんて
もうどうでもいいや。
この時に私は、女性との恋愛対象の関係を築くのに自分が向いてないことを、少し分かっていたのかもしれない。
──────その現場を見ていたリン。
「…………………」
そっかぁ…………スイ、メイちゃんと付き合ってるんだ。
あんなスイの顔なんて、知らない。
キスをしているメイとスイの顔をよく見る。
「あー、あ。」
私、早くスイに告白していれば…。
いや、そもそも相手にもされない、か。
あはは、バカみたい。
ほんと…バカみたい。
そう思って、私は
スイに
「ちょっと体調悪いから保健室行く。
ごめんね、会えないや。」
と、スイの携帯へメッセージを送った。
そして、一人でお手洗いの個室へと向かった。
──────スイside
「あれ?リンからだ。」
「どうかしたんですか?」
「リン…体調悪いから、会えないって。」
「そうなんですか。
じゃあ…先輩どうします?」
「うーん、お昼でも一緒に食べる?」
「はいっ!そうしたいです!」
「そうしようか。」
──────この日からリンは私に話しかけることも無くなり、メイは私に付き纏うようになった。
ユウマと別れた話も聞いたが、リンと話せなくなってから気持ちも冷めた感じがし、リンに対する興味が無くなった。
…あれほど、好きだったのに。
…一生この恋が報われないのがわかった、というのもあった気がするが。
──────とある日。
「先輩、今日は帰りどうします?
デートしませんか?久しぶりに!
私、マフラー買いに行きたいです!」
メイがデートに誘ってきた、が。
「家来なよ。」
そんなの、ダルい。
「え、あ…………はい。」
メイは下を向いた。
──────この時だったからだろうか
「先輩、今日は…カフェでも、行きませんか?」
「ああ……しょうがない、行こうか。」
「は、はい。そうですね。」
──────私は
「先輩、今日は」
「家がいい。外デートなんてだるいに決まってる。」
「あ、はい。」
「うん。さっさと行こ。」
──────私はメイの気持ちを無視…感じるのを避けた。
そして───
「先輩、卒業おめでとうございます。」
「ん。ありがと。」
「先輩…この際なので、私たちの関係、終えましょう。」
「そうだね。」
「…」
「…じゃあ、もう連絡しないでおくね。」
メイの顔はよく見えなかった。
泣いていたようにも見えた。
「先輩〜、帰り私の奢りで焼肉行きませんか?卒業祝いに!」
他のよく遊んでいる後輩が近くに来た。
「そうしようか。
じゃあね、メイ。楽しかったよ。」
そう言って私はメイの元を離れた。
「はい、さようなら。先輩。」
メイの顔をよう見ると、目が涙でいっぱいだった。
「…俺、あんなに応援したのにー!」
ユウマが女の子達に囲まれながら笑われていたのは別の話。
───その10年後。
───ユウマ視点。
俺のスーパー人脈から聞いた話。
リンは卒業後頭の良い大学に行き、海外で今は仕事をしているそうだ。
リンは噂によると未だにスイのことを引きずっているそうだ。
メイは最近同僚の社員と結婚し、結婚式を挙げたそうだ。
その結婚式には一応スイを呼んだそうだ。
スイはメイと別れた後、数々の女の子と関係を築き遊びまくっていたそうだ。
最近メイの結婚式に呼ばれた時、メイは結婚しているのにも関わらず、スイはメイのことをいつも遊んでいる女の子達と同じような存在としか思えなかったそうだ。
それに対する自分に嫌悪を抱いたスイは完全に遊びを断ち切り、1部の友達以外の全てを捨て、田舎で食堂を営んでいるそうだ。
…その田舎でセイという女の子といい感じらしいが…いい感じになった瞬間残りの友達も全て切ったらしいので続きは知らない。
俺の見解では多分彼女が本命なのだろう。
あ、ちなみに俺は結婚出来てないですが…
あの4人と仲良くしてます!
あの4人とずっと過ごせたら嬉しいなと思っております。
お読みいただきありがとうございました!
ガチガチのバッドエンド百合を書きたくてめちゃくちゃ頑張りました!!!
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