第8話 ラパニア国
ラパニア国へと船が着き、船から降りたラティア達は、船の中で決めたルート通りに歩み始める。
ラパニア国に着いたのはお昼過ぎだった為、ラティア達は今日中に、ラパニア国とフィリアント国の国境を繋ぐ橋に辿り着くことは難しいだろうと判断し、ラパニア国の王都の宿屋に今日一日は泊まることを決めた。
「ラパニア国とフィリアント国の国境を繋ぐ橋付近は治安が悪いと言っていたけれど、実際に人が巻き込まれて負傷したりも今まであったの?」
「はい。実際の被害は何件かあったみたいです。最近ですと、盗賊に襲われて金貨を盗まれたり、他国の罪人者が橋付近に隠れていた為に殺されてしまったりですかね」
自分ラティアの右隣を歩くハレクから被害の大まかな詳細を聞いたラティアはそんな場所に今から自分達も行こうとしていることを再認識し、身震いする。
「何だか、不安になってきたわ……」
しかし、これからラティア達も運悪く、盗賊集団に絡まれてしまうことになることなどこの時はまだ誰も思ってもみなかった。
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ラパニア国の王都にある宿屋に着いたラティア達は、それぞれの泊まる部屋に足を運び、その日は身体の疲れを取る為、各自休む事になった。
その日の夜、ラティアはラピティーア国の王城に居るであろう、異母兄であるカイル、ロイスの二人、母親であるユリアーネ第一王妃、父親であり現国王でもあるアルドア。そんな大切な家族のことを思っていた。
「城を出てから、まだ三日しか経っていないのに、随分と長い間、自国を離れているような気がするわね。皆んな、元気にしているかしら」
ラティアは静かな一人部屋で独り言を呟き、宿屋の一人部屋の窓から見える夜空を見上げる。
部屋の窓から差し込む月明かりがラティアの金髪を照らしていた。