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白鳥と娘の詩




窓から双眼鏡を覗くだけの引きこもりの娘が、湖のほとりに墜落したボタンのついた白鳥を見つけて外に出ていく。

白鳥のボタンを外すと、内臓がぼたぼたとこぼれ落ちる。



カチコチ、時計王子の時が止まる。



娘は内臓をカゴや水槽に入れて飼育した。

内臓はやがて六人の王子となって、娘を「妹」と呼んだ。



時計王子は塔の天辺の部屋で眠り続けている。



六人の王子はやがてそれぞれ冒険へと出かけて行った。

白鳥の衣が皆の冒険を相変わらず引きこもっている娘に語って聞かせた。


だが兄たちはある女妖術師の罠に次々と誘い込まれてしまう。

兄たちの窮地を知った娘は助けに行くことを決意した。


白鳥衣は娘を助けるために、自身の内側を示した。

そこには黄昏の国の地図が描かれていた。


狡猾な女妖術師に対抗するには、賢い黄昏の国の王様の助言が必要だった。

人間に明かしてはならない秘密を開示したために白鳥衣は言葉を失った。


塔では一斉に時計の目覚ましが鳴り響き、人々があわてふためく。

けれど時計王子は目覚めない。



娘は白鳥衣を羽織り、誰とも顔を合わすことも話すこともない薄暗く心地よい道を進み黄昏の国にたどり着いた。

黄昏の国の王は、糸玉で偽の首を作り、自分の首を切って持って帰るように言った。

「国は平和ゆえ、わたしが玉座に座っているだけで事足りよう」

娘は白鳥衣と自分の服をいくらか千切り、偽の首を拵えた。

そうして王の首を切って持って帰り、女妖術師から兄たちを取り戻す算段を練り始めた。



時計王子の上にはうっすら埃がかぶりはじめる。



黄昏の国の王の首の賢い助言により、娘は女妖術師を裏返しの国へ送ってしまい兄たちを取り戻すが、兄たちは皆萎びてしまっている。


兄たちを救うには「始まる前の元の時間に返さなければならない」と、王の首が言う。

別の方法を求めようとするが、王の不在に気がついた国の人たちに王の首を取り返されてしまう。


娘は泣く泣く干からびた兄たちを折り畳み、白鳥の衣の中に押し込んでボタンを閉めた。

白鳥が飛び去ってゆく。



明けの国では時計王子の呪いが解かれて、王子は暁に目を覚まし、祝祭が始まる。


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