表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/14

ロバの皮をかぶったお姫様




ごきげんよう、王子様

ああ、用心なさって

うかつに近寄らないでくださいまし


この皮は、気に入らない相手に噛みつきますの

皮を脱ぐときはそれはもう、

あの手この手で宥めないといけませんし、気むずかしいのですわ

機嫌が良ければ空も飛んでくれるんですけどね


冒険がてら、花嫁を探しておいでなの?

おとぎ話の通過儀礼ですわね

お互い、妖精の呪いやら竜退治やら苦労することですわ


わたしの物語は地味で退屈ではないかと?

皮をかぶっていると、今まで皮に飲み込まれた人の声が話し出すのでそこまで退屈ではございませんわ


ええ、この皮、かぶった相手が気にくわなかったら食べますの

助言もくれる親切な人たちですのに、何が気に食わなかったんでしょうね

ロバ皮の機嫌の取り方とか、お金がないときの町の過ごし方とか

ロバの理解不能なジョークの解説は大変助かりますわ、ロバですものねえ


え、わたしにロバの皮を脱ぎ捨ててほしい?

あら他のお姫様はダメだったんですか、お気の毒に

大丈夫かしら、難関ではないけれど


あなた、この皮をかぶってロバになることができまして?

場合によっては皮に飲み込まれてぺったんこになりますわ

二度と脱げなくなる可能性もありましてよ


公平によい点も言っておきますわね

飢えもしないし凍えもしません

路銀も尽きてお困りのあなたにはうってつけかも知れませんね


それに、なんていうか、包まれておりますの

言葉のままではなくて、皮の中はとても不思議な心持ちがするのです

二度と元に戻らなくても構わないような、

ゆらゆらふわふわした、自分が春の陽炎になったような気分


まあ、やってみるとおっしゃるのですか?

食べられてしまうかもしれないのに勇敢なこと

あら、皮を脱いだわたしを盗み見たと告白なさいますの

その身を賭ける価値があったようでなによりですわ


ああ、ロバの皮が剥がれる

外はなんて寒々しい


ロバの皮よ、お願いだから飲み込まないで

彼は可愛い人だから


さあとりあえず、水呑場に行きましょう

新しく皮をかぶるととても喉が渇くから


この先の冒険の予定は知らされていませんけど、一緒なら楽しくやれると思いますわ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ