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限りない夕べの物語





ようこそ この世の果ての宿へ

手間のかからないお客様は久しぶり


この世の果てはいくつもあるけれど

ここは夜の始まりが見える崖があって

限りない夕べの物語が辿り着くんですよ


始まりは恋人を待ち続けていた村娘だそうで


ある日

井戸の底の水鏡を覗いた娘は

悲鳴を上げて

世界の果てまで駆けて行って

断崖から身を踊らせ

泣き喚く鳥になったということですよ

そうやってここがこの世の果ての一つになったそうです


限りない夕べの物語ですか

まあ、よくある話ですよ

かつて男と女がありました

そして柘榴のように割れた夢

夜明けの結末は訪れず、前方には夜だけが待ち受ける物語ですよ


そこは幸せな物語じゃありませんけど

他の行き場のない人間には、まぁ、ねえ?

ですからこういう宿があるんですよ

たどり着いてしまう者があるならしょうがないですからねえ


おやまあ、夕暮れが不吉に騒いでおりますね

ちょいとお前、崖を見つめすぎる客人から目を離しちゃいけないと言ったのに

まったく 岬にまた嘆きの鳥が増えることだよ


ごめんなさいね、お客様

窓は閉めたままお過ごしを

なぜだかあの子達は悪夢を振りまく性悪な鳥になって帰ってくるんですよ


ここに残していった物語に慰められる逗留者もいるんですけどねえ

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