第84話 風評被害を被った聖なるあいつ
しばらく道なりに進む。
階段を下り終え、広まった場所を進む。
ところどころ色鮮やかな鉱石が露出していた。
「建物の内部も全然崩れてないのね」
「それなりに頑丈だから、というのもあるでしょうけど……1番は奴らの存在でしょうね……」
「……」
いやだから、そこまでの魔物だったら情報をくれよ!
「……ぁ」
すると突然、トーンさんが俺の服を掴み……震えだす。
「い、いました……まさか本当に……信じられない……いないで欲しかった……」
「……? ど、どこだ?」
奥の方にある真っ黒い壁を指さす。
敵はしかし全く見えない。
まさか、幻覚の類か……?
「――ひぃっ! う、動き、だしたぁ~……」
「……!? シネン! よくわからんが守ってくれ!」
戦闘面では1番頼りになるシネンを呼び出す。
敵の姿が見えないが……シネンなら何とかしてくれるだろう!
「…………」
「……え?」
しかし、そのシネンが振り返り、自分には手が負えないとでも言うように首を振る。
同時に、自分を戻してくれと訴えてくる。
「そ、それは……」
「……!」
ちょっと頑張って欲しいんですけど……。
しかしシネンは俺の肩を掴み、必死に揺さぶる。
「……! ……!!」
「ちょちょちょ……シネン! やめろ戻すから!」
その言葉に安心した様子のシネン……しかし、俺は遂に気が付いてしまった。
彼の背後……黒い壁と思っていたそれが動いているのを……!
「あいつらが……! あいつらが大量に現れたせいでここは……あいつら、人間を食べるんです……!」
「………………」
「付いた二つ名が“砂漠の黒い悪魔”。大量の……スカラベゴキブリ! もうやだーっ! 助けておかーさーん!」
……うわぁ……。
「スカラベ。甲虫類コガネムシ科つまりカブトムシの仲間。彼の映画のように人を襲い人肉を貪ることはない。寧ろ国・地域によっては聖なる虫として扱われておりコロコロふんを転がす姿はどこか愛嬌を感じ――」
ノノさんがうわ言のようにぶつぶつと喋っている。
そしてシネンは早く戻せと再び俺を揺さぶる。
トーンさんは尻もちついて……あらら、戻ったらお着換えしようね。
「うわぁ~……」
そして黒い塊が一斉にこちらに襲い掛かって来る。
幸いにも結界が防いでくれているが……結界に沿ってびっしりと……。
「あわわわわわわ……」
「……(ガクガク)! ……(ガクガクガクガク)!?」
「うひぃぃぃーーーっ!?」
「イムホデッブイムホデッブ、イムホデーッブ!」
ガクガク揺さぶられる俺、揺さぶるシネン、おもらしトーン、蹲って何かの呪文を唱えるノノ。
オワタ。
◇
「ふー!」
順調にトロナ鉱石の採掘が進んでいるところ、一息つく。
黒いゴキだかフンコロガシだか知らんが、ミーティアさんの水魔法で集め、そのまま溺れて貰った。
「一時はどうなるかと思いましたよー! ま、私の助言のおかげですね!」
「ん、私の結界のおかげ」
「……」
喉元過ぎればなんとやら。都合のいい頭過ぎるわ。
そんななか、膝を抱えて落ち込んでいる様子のシネン。おもろ。
「落ち込むなよ、シネン」
「……」
俺たちを置いて逃げようとしたこと、虫如きに狼狽えてしまったこと。どちらも許せないらしい。
「別に俺は怒ってないぞ!」
「……」
首は激しく痛むけどな!
「シオン、人には向き不向きがあるからさ! 暑いとこと虫以外での活躍を期待してる!」
「……」
あとスライムも苦手かもな!
あの髭面筋肉大男が虫嫌いなんて……案外可愛いところがあるじゃないか。
可愛いって適切かわからんけども!
そんなことを考えながら、採掘しているみんなの元へと戻っていった。
「……イ…………」
読んで下さりありがとうございます(/・ω・)/
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