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第75話 質より量


「よし、この辺でいいかな?」




 世界樹の森から帰還し、早速苗木を植える。

 ユートやミライと話し合った結果、世界樹の苗木は昆虫館のど真ん中に植えることとなった。


 まだ未完成ではあるが、ガラス張りの壁に地属性魔法『堅牢』が作用するような作りにするそうな。

 元々ガラスの壊れやすさをどうにかしないといけなかったのもあり、世界樹の苗木を守るのにちょうどいいとなった訳だ。


 『堅牢』は文字通り対象を固く強化する魔法。

 一般的な魔法は魔法陣化もされているものが多いので、直接もしくは魔石を用いて魔力を流せば誰でも使えるぞ!

 

 本当はノノさんの『結界』を魔法陣化したかったが、やはり異世界人の能力は特別なのかできなかったらしい。

 コロシアムのように、“使った魔法を強化する”ようなものならば可能だが、そうなるとぐうたらノノさんの負担が増えてしまうという事で!






「わぁ~! ぽかぽか~!」


 このハイエストアルラウネの幼体、ウネネが苗木を世話すると同時に、虫の餌となる草花木を管理する。

 下位種のアルラウネも、ウネネの指示により手伝ってくれることに。


「ネネちゃん、おひさま、きもちいでちゅねぇ~♪」

「うん! ママぁ~!」


 デレデレした顔のドペ子、そしてママと呼ぶウネネ。

 とても自然だ。母性は種族を越えるんだなぁ~……。


「ぴるるるる~♪」

「ぴっ!」

「ひっひ~ん!」


 ピヨヨ、スララ、ステラも苗木の周りをくるくる楽しそうに踊る。

 しかし――。


 しかし、その中に……! あの黄色い毛玉のようなふわふわもこもこはいないんだ!


「うぅ……コン……コン~!」


 召喚するたびに顔を舐められ、少し褒めただだけで舐められ、撫でると舐められ……。

 寂しくない訳、ない!


「――俺、やっぱり!」

「落ち着け」


 とても冷ややかなノノさんの声が……俺を落ち着かせる。


「コンは自ら望んで世界樹の提案を受けた。きっと、レージを想って」

「……うん」


 あの世界樹ばあちゃんがコンに酷いことをするために預かったとは思えない。

 しかし、その理由もわからないまま……。


「あの糞焼鳥め……コンを預けた途端に追い出しやがって……!」

「そこは同意」


 今度会ったらスララに食わせてやる!

 どうせ不死鳥なんだろう? 体半分くらいは貰ってやろう!




「私たちは私たちにできることを」

「ん、ありがとな。で……」


 世界樹の周りは昆虫館ができる予定だ。

 概ね学校の校庭くらいの広さになる予定で、パーク内でもガーデンに次ぐ規模だ。


 現在建物の基礎となるところを作っているようで、多くの人が働いている。

 後はガラス板、と言うことだがやはり時間がかかりそうだ。


「姉御のところに行ってみようか!」


 多分できることはないけど。


 ◇


「あっづっ!」


 ハーリッツ姐さんたちの作業場にやってきた。

 熱い、とにかく熱い! 姐御たちもみんな汗だくのタンクトップ姿だ!


 凄いなぁ……昔ガラス吹き体験に行ったことがあるが、もっと規模が大きいぞ!

 高温の窯や、その前にある穴?の前でガラスの付いた棒を振り回して……あ、また窯に入れた。


「おや、レイ坊じゃないか! どうしたんだい?」

「姐御! ガラスはどうかなって見に来たんだ!」

「あぁ! レイ坊の魔物たちに手伝って貰ってるからね、順調だよ!」


 見ると、炉の中にバーニングバードのヤキトリがいたりペガサスがいたりして何らかの作業を手伝っている。

 ペガサスに鍜治場って似合わんな。


「あいつら、私たちよりも魔法の扱いに長けてたりして本当に助かっているよ!」

「ほう」

「できればヤキトリの仲間を増やしてくれるとありがたいね! それと――材料が足りないねぇ。全然」

「材料?」

「あぁ。作り方もそうだったけど、ガラスが貴重なのは材料にも理由があるのさ」


 ほう、何か特別な材料が必要という訳か!

 ならばこのレイジ、一肌脱ごうじゃないか!


「まずは砂だね。浜辺の砂でいいよ」


 ……思いの他身近なものだったぞ。

 そういえば某緑の悪魔が色々と台無しにする建築ゲームも砂でガラス作ってましたな。


「これが……とにかく大量に必要だね。ペガサスたちも一回じゃ運べないだろうね」


 あー、貴重と言うよりは量ね。

 それなら何とかなりそうではある。


「それと、トロナ鉱石っていうもんが必要だ。これも魔物がうじゃうじゃしている地域で採れる。市場に出回っている量じゃ全然足りないからね!」

「ほぅ、聞いたことがない鉱石だな……」

「石鹸の材料」


 以外にもノノは知っているようだ。

 案外身近な物なのね……。


「欲しいのはそれくらいだね! 後はこっちで何とかなるよ! 案内役をこっちで用意するから取ってきてくれると助かる!」

「了解!」


 ガラスって結構身近な物でできてるんだなぁ。元の世界と全く同じじゃないかもだけど……知らなかった。

 まぁいいや。とりあえず次は海かな。


「……それと……」


 姐御が顔を近づけて小声で言う。




「ミライの嬢ちゃんに気を付けな」

読んで下さりありがとうございます(/・ω・)/


ブックマーク、誤字報告や温かい感想を頂けると跳んで喜びます!!!


また、こんな魔物が見たい! こんなアトラクションあるよ!

なんてアドバイスを頂けると非常に嬉しいです(切実)


よろしくお願いします(/・ω・)/

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