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第7.5話 幕間 小学生の時の話~ノノとの出会い~

今回はノノと初めて出会った時の話です!

視点が普段と異なります。

 ――インターホンが鳴る音が響く。


「はぁ~い!」

「こんにちは! 今度隣に越してくる時任です! ご挨拶に参りました!」

「あらあら、わざわざご丁寧に……ちょっと待ってくださいね~!」

「……ちぇっ……」


 ある夏の日、少年は両親に連れられ、隣家を訪れた。

 小学1年生の夏休み、せっかく仲良くなった友達と離れる悲しみを背負い、少年は渋々両親に同行したのだった。


「お待たせしました~! 一ノ瀬と申します~!」

「お忙しい所すみません、時任と申します――」


 親たちが挨拶を交わしている様子を聞き流していると、一ノ瀬母の後ろに隠れるようにこちらを見ている少女を発見した少年。

 こうなったら一刻も早く友達を作りたい、そう思いながら声を掛ける。


「こんにちは!」

「――あら~! ほらノノちゃん、恥ずかしがってないで出ておいで~」

「……うん……」


 すると、ノノちゃんと呼ばれた少女はおずおずと母親の足から姿を現す。


「まぁ! まるで天使様みたいにかわいい! ほらレイジ! 男の子なんだからあんたから自己紹介しなさい!」

「う、うん……おれ、レイジ! よろしくね!」

「……う、うん……わたし、ノノ……」


 その少女は、雪のように白く、そして雪のように……。

 幼いながらも、彼女は特別なのだと一目で理解した。


「こんなかわいい子とお隣さんになれるなんて……あんた幸せもんだね! ノノちゃん、よかったら家の子と仲良くしてやって!」

「……はぃ」


 これが時任レイジと一ノ瀬ノノの出会いだった。


 ◇


「ノノちゃんはおそとであそばないの?」

「……うん。おそと、きらい」

「えー! どうして?」

「おひさまにあたると……あかくなっちゃうから……」


 先天性白皮症、通称アルビノ。

 白い肌、薄い青色の眼をした少女。


 挨拶に来た翌日、早速今まで見たことのないような女の子の家に遊びに来たレイジ。


「そうなんだ……」

「――レイジちゃん、スイカまだあるからね!」


 一ノ瀬母がスイカのお代わりを提案する。


「もうおなかいっぱい! おばちゃん、ありがとね!」

「い、いいえ……もっと欲しくなったら遠慮なく言ってね~!」


 どこか焦った様子の一ノ瀬母、それには気付かずに、レイジは更に会話を続ける。


「それじゃあ、おともだちとあそびにはいけないの? むしとりとか! カブトムシ!」

「……あまりすきじゃない。おともだちも……いない……」


 日の光が苦手と言っても、全く外出できない訳ではない。

 相応に、日常の延長程度の準備をすれば問題なく外出できる。


 外出するのを嫌うのは、ノノ本人の問題だった。


「そうなんだ……」

「――か、かき氷は食べる? そ、それともゲームする? たくさんあるわよぉ~?」


 レイジの落胆した様子に、一ノ瀬母が再び声を掛ける。


「? ううん、ノノちゃんとおはなしするよ!」

「そ、そう……」


 何となく様子がおかしいと思いつつ、ノノに話しかける。


「それじゃあノノちゃんはなにするのがすきなの?」

「……アニメとか……」

「そうなんだ! 何のアニメ?」

「……プイキュアとか……」

「あー、しってる! みたことないけど! ぼくはね、そのまえのじかんにやってるアニメすきなの!」

「……どうぶつみたいなのがしんかしたりがったいするやつ?」

「そうだよ! ノノちゃんもみてるの?」

「……うん……みれるけど、いっしょにみる?」

「うん! みよーっ!」


 どうやら動画配信サイトで日曜の朝に放送しているアニメ番組を観ることになった2人。

 とりあえずはこれで……そう思い、安堵の溜息をつく一ノ瀬母。


「あ、そうだ!」

「……?」

「ぼくたち、もうともだちだからね!」

「……うん」

読んで下さりありがとうございます(/・ω・)/


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