第72話 何十年たとうが色褪せない言葉
「いけっ! スララ!」
「ぴぃっ!」
出てくる魔物がランクBだけになっため、ピヨヨには厳しいと判断して試しにスララを戦わせてみる。
『高速再生』や『物理耐性』が実用性のあるもののため、普通に戦っている。
というより、一方的に捕食している……?
「スララ、お前こんなに強かったのか!」
「ぴぃっ!」
褒めた瞬間、俺の顔を体で覆ってきたスララ。
「レ、レイジ!?」
敵を倒すときと同じだから焦るのは当然だが……ユートを手で制す。
「ぴ~い! ぴっ!」
コンとかステラがあまりにも嘗め回すから……どうやら真似しているらしい。
まぁ、溶けはしないけど苦しいのには変わらないんだけどね!
「ぶばば、ぼぼぼぼ」
「ぴぃっ!」
スララ、そろそろ……死ぬ。
「ふふ。そいえば……もうスララちゃんとも長いこと一緒だね~」
「そうだな~、魔王討伐後初めての従魔だもんな~」
それまでは割ととっかえひっかえ、強い魔物が手に入ったらリリースしていた。
今はともかく、正直スライム程度はほとんど何の役にも立たなかった。特に戦闘面では。
だからこそ進化と言う現象にも気付かなかったのだが。
今は逆に、この進化と言うものを大いに当てにしている。
「前みたいに、強い魔物だけをテイムしないのかい? もちろん、それが悪いって意味じゃないんだけど!」
「あぁ……今は進化もあるしな」
それに……。
それに昔、氷属性ばかり使う心の師匠が言っていた。
『強いポ……魔物、弱い魔物、そんなの人の勝手。好きな魔物で勝てるように頑張るべき』。
そう、俺は! 弱いポケ……魔物で強いやつを倒すのが好きなのだ!!!
後は……。
「愛着が湧いちゃった?」
「……」
さすがノノさん、わかってらっしゃる……。
ちなみに、今の手持ちはコン、ワンワ、ピヨヨ、スララ、ステラ、フィンドール、そしてシネン。
あまり多いと混乱してしまいそうだし、他はパークにて放牧中だぞ!
◇
ランクB、古木に化けたエルダートレントをバキバキに砕いてから吸収するスララ。
「――ぴぃっ!?」
「む!」
そんなスララと、ユートがいち早く敵の存在に気付く。
「『結界・極』」
敵は見えないが、保険を兼ねてノノが結界を張る。
そして俺は……ノノさんの後ろに隠れる!
これぞ魔王にすら通用した戦法!
「なんて言うんだっけ?」
「ん?」
「こういう時、何て言うんだっけ?」
「……くっ!」
えーっと……確か……。
「『ノノ、助けてくれ! 俺にはお前がいないとダメなんだ』」
ユーフィに話したことが……現実になってしまった……。
「むふ」
するとどうだろうか……『結界・極』が、いやノノの纏う魔力の質が上がったのが俺にすら分かった。
「わぁ……ノノさん、凄いね!」
「……絶対守るから」
魔力の質が上がれば威力も上がる。
そして質は……思いの強さによって向上する。
つまり……ノノさんが覚醒したってこと!?
そしてその言葉が……むふって……。
「……そろそろ来るよ!」
悠長な会話ができるくらい、遠くからでも感じられる気配の強さの持ち主。
それが今――。
「ウキッ?」
小さい……猿……?
「レイジィィィッ!!!」
「『結界・絶』!」
「――スララ! 戻れ!」
鬼気迫るユートの叫び、ノノの最上位の結界。
遅れてスララを戻す俺。
「ウッキーッ!」
「――はっ!?」
小さな猿の……何気ない、本当に何気ないパンチ。
それが……魔王の攻撃さえ防ぎ切り、たった今パワーアップしたノノの『結界・絶』を……!
「ウキッ?」
「だ、大丈夫……守るから!」
半壊……! 大きなヒビが入り……後ほんの少しの衝撃でも完全に破壊されそうだ。
「聖剣クレイブよ! 僕に力をっ!」
「……ウキキッ~?」
ユートが聖剣に大量の魔力を込める。
一方の猿は――。
「ウッキッキ~!」
頭を掻いた後……走り去ってしまった……。
……。
……。
……。
「……ぶはぁっ! はぁ……はぁ……」
数分は経っただろうか、猿が行った先を睨みながら……ようやく戦闘体制を解く。
「危なかった……本当に……」
ノノも冷や汗びっしょりだ。
実際に戦ったのは数秒だったが……生きた心地がしなかった。
何なんだ、あれ……攻撃力だけなら魔王以上だってことかよ!?
「……まだまだ鍛錬が必要だね」
「……」
そう言うユートの顔は、今までになく険しいものだった。
読んで下さりありがとうございます(/・ω・)/
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