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第58話 ユーフォニア


「レイジ様にノノ様、よくぞお越しくださいました。クラリス姫も、ありがとうございます」


 ノノとクラリスを連れてラインガルドまでやってた俺。

 出迎えてくれたのは、婚約者候補の第一王女であるマリアさん。


「ども」


 あかん、愛想よくしなければいけないのに……。


「ども」


 ノノと同じような挨拶をしてしまった……!


「マリア様も、お出迎えありがとうございます! 早速ですが――」

「はい、早速こちらにどうぞ」


 敵地にてイニシアチブを取ろうなどクラリスには10年早いわ! わっはっは!




 マリアさんに連れられ、城の中を進む。

 一応歓迎されているようで出会う人に口々に「救世の英雄様」だなんて言われる。


 よせやい、恥ずかしい……! うへへ!


「では、ノノ様とクラリス様はここでお待ちいただけますか? すぐにお茶をお持ちしますので、どうぞお寛ぎください」

「……それは!」


 いきなりの分断に、クラリスが待ったをかける。


 チョロい俺と2人きりになってまた不用意な発言をさせようとしてるんでしょう!

 知ってるんだから! クラリスから聞いてるんだから!

 

「……あなた方の懸念しているようなことはありません。ただ……レイジ様と2人きりでお話がしたいと……」

「……」


 ここに来るまでの作戦会議で、絶対に2人っきりにはなるなと念を押された俺。

 当然だ、前回のことがあるからね。


「……」

「……」


 しかし……どうもマリアさんの表情が何か訳アリのようで。

 はっ! これが服芸ってやつ!?


「ふぅ……本当に他意はありません。体験会の時とは違って。どうか、お願いできませんか?」

「……レイジさん」


 クラリスからゴーサインが出る。

 まぁ……ここでごねても話が進まなそうだしね……。


「わかった。ただし、俺の代わりに2人を護衛する魔物を呼びますが……構わないですね?」

「もちろんです」


 その言葉を聞き、シネンを呼び出す。


「シネン。2人を守っておくれ」

「……」


 静かに、しかし力強く頷きを返す守護騎士。

 見た目ひとつとっても頼りになる。


「何と強大な……コホン。ではレイジ様、こちらへ」

「ああ」


 ◇


 ノノたちと別れ、引き続きマリアさんに連れられて行く。


「……実は、重ねてお詫びしなければいけないことがあります」


 やっぱり! やっぱりだまそうとしてるんだ! もうそんなことしないってゆったのにぃ! ころしてやるぅ!


「婚約者は……私ではありません」

「……へ?」


 予想もしなかった言葉に、ついつい間の抜けた返事をしてしまう。

 まさか……婚約の話は嘘? やったー!


「これはグランヘイム側も知らないことです。あの場では……私を婚約者に、という体を装ってきましたが……」

「……」

「1つだけ信じて欲しいことがあります。それは……決してあなたたちを貶めたいと思ってのことではない、と」

「……」


 どういうことだ……?

 何を言っているんだ……?


「寧ろ、父はあなただからこそ、信じたいと……託そうと思ったようです」

「……何を……?」

「情報を集め……見定め、感服し、敬服し……勇者様でもなく、あなたにこそお願いしたいと感じたようですよ」

「……一体、何を……?」


 言っているのだろうか……?




 何も考えられないまま……部屋の前にたどり着く。


「私の、大切な妹です」


 扉を開くと――そこには俺と同い年くらいの少女がいた。

 少し小柄で、緑色がかった長い髪が少し幼さの残る顔にかかり、どこか儚げな雰囲気を纏っていた。


「あ……は、初めまして……! お、お初にお目にかかります、私、ユーフォニアと申します!」


 優雅にカーテシーをした少女が、俺とは少しズレた方向に顔を向ける。


「お、お会いできて! う、嬉しいです……!」


 華やかな笑顔を、やっぱりズレた方向に向ける。

 もしかして目が……。


「初めまして、俺も敢えて嬉しいです! 俺はレイジと言います」

「は、はいっ! 私も……嬉しいです!」


 とても健気な……一生懸命な様子がこれでもかと伝わってくる。

 それとすごく緊張しているのだろうと言うことも。


「あー、緊張しなくていいよ。俺は……ただの庶民だから」

「い、いえ! レイジ様はま、まま魔王討伐されたお方だと……き、聞き及んでいます!」


 にこやかに笑いながら、緊張しながら話すユーフォニアさん。

 非常に、こう、何というか……応援してあげたくなるような感じ!


「よ、よろしければ……その時のお話をお聞かせ願えますでしょうか!」

「魔王と戦った時のかな?」


 きっと、こう言おうとずっと考えてきたんだろうなぁ。

 

 そんな話が好きそうなタイプには見えないもの。

 お花の香りに囲まれてほわほわしているタイプに見える。


 しかしまぁ、リクエストにお応えしましょう!


「そうね。じゃあ……最初に魔王と戦った時のことから――」

読んで下さりありがとうございます(/・ω・)/


ブックマーク、誤字報告や温かい感想を頂けると跳んで喜びます!!!


また、こんな魔物が見たい! こんなアトラクションあるよ!

なんてアドバイスを頂けると非常に嬉しいです(切実)


よろしくお願いします(/・ω・)/

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