第56話 どんなに凄くてもまだ子ども
「大変だったね」
ノノの元にたどり着き、背中をさすられながら事情を説明する。
普通に死にかけたんだけど! 窒息死!
「……あれはそういうことなのね」
「ぷぴぃ~ん……」
妹ちゃんが再び泣いている。
というのも、戻った途端全ペガサスが妹ちゃんに向かって頭を垂れているからだ。
弟ちゃんやミーティアも、更には両親と思われるペガサスも。
さすがに可哀そうになってきたぞ……。
「みなさんさ、妹ちゃんが凄い存在になったのはわかるけども……さすがに可哀そうだぞ! びっくりしてるじゃないか!」
妹ちゃんの頭を撫でながら頭を低くしているペガサスに向かって話す。
よほど目の前の光景が怖かったのか、すぐに俺の後ろに隠れてしまう妹ちゃん。
……この際大量の鼻水が付くことには目を瞑ってやろう。
「――ッ! ブルルルルッ!」
「ブルルルルッ!」
「うひっ!?」
めちゃくちゃ睨みつけられるんですけどっ!
「ご主人様、彼ら……とても怒ってます」
言われんでもわかっとるわい!
「ぷぴんっ! ぷひ~ん!」
「ブルルッ!? ブルルル……」
妹ちゃんが大人に対して言葉をかけると、再び頭を垂れる。
偉いのはわかるけどさぁ……これがいい方向になるとも思えないよ。
「……あのさ、そうしたい気持ちもわかるし、本来はそうすべきなのかもしれないけど! 妹ちゃんはまだ子どもだろ! 大の大人が何やってんのさ!」
「ブルルルルッ!」
こ、こわぁ……。
「このままじゃ妹ちゃん……孤独に生きるか、増長して傲慢ペガサスになっちまうぞ!」
「……ブルルル……」
言ってることもわかるようで、戸惑う大人ペガサスたち。
「ぷぴ~ん! ぷるるるっ!」
そんな彼らに、妹ちゃんもそばに寄って頭をすりすり……。
「ブルルルル……」
「ぷぴ~ん! ひっひ~ん!」
すると大人たちは顔を上げ、涙を拭くように妹ちゃんの顔を舐める。
「ひっひ~ん! ひっひ~ん!」
「ヒヒーンッ!」
よかった、どうやら大丈夫そうだ。
ぱっぱか両親の周りをぐるぐる駆けている。
そのうち妹ちゃんは嬉しそうに俺の方へ駆け寄ってきて――。
「――うん、知ってたぐべぇぇぇえええ!」
……もう、何も出ないよ……。
◇
「ひんひん♪」
「……」
「ひ~ん♪」
「……」
パークに戻ってきたのはいいのだが……四六時中妹ちゃんに顔を舐められている。
確実に昨日までの俺より小顔になっているはずだ。
ノノに聞いたのだが、俺と妹ちゃんがお空のデートを楽しんでいる間、ペガサスたちは大いに討論していたらしい。
議題は、俺たちについて行くかどうか。
反対派と賛成派に分かれ、人間は信用できないだとかできるだとか、パークは安全だとか。
最終的に妹ちゃんの一声で群れのほとんどが付いてくることになった。
その結果、十数頭のペガサスが来ることに。
一応『封魔石』でテイムしてからだが……警戒心の強い彼らがよく受け入れたわ。
妹ちゃん様様! これでパーク直通便の問題は解決だ!
「ひっひ~ん!」
「……」
その代わりに、こうしてエンドレスペロペロを受け入れているわけだが……。
「ほら、ステラ! もう終わり!」
「ひんっ……」
ノノによりステラと名付けられた妹ちゃん。
そんな悲しそうな顔しないでよ……。
「ヒヒーン!」
「……ひん……」
ミーティアにも諭されたのであろう、さらに悲しさを深める妹ちゃん。
もういいよ! 俺の顔ならいくらでも舐めてくれ!
「ブルルルッ!」
「ひっひ~ん!」
と思っていたら、ミーティアとステラが並んで飛び立っていった。
最後に俺を一舐めして。
もう顔がべちゃべちゃ! お嫁にいけないわ!
「……相変わらず楽しそうですね」
そこに、今にもビルから飛び降りそうな顔でクラリス姫がやってきたのだった。
読んで下さりありがとうございます(/・ω・)/
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