第51話 パーク内を見て回ろうと思う
「やぁ! 調子はどうだい?」
この世の何よりも爽やかな笑みを浮かべるのは、我らが勇者ユート。
ピピンと共に魔物の住居エリアで働いていたようだ。
「そっちこそ! にしても、草原ができてる……」
「ユニコーンたちが、いの一番に整えてたよ」
小規模ではあるが、そこは豊かな草がこんもりな草原が出来上がっていた。
草陰からカーバンクルのかーくんがひょっこり見えた。牧馬王の好物であるルナムーン草も生えている。
「むむむ……やはりあいつらは有能な変態……」
「変態……? とても礼儀正しい方々だよ!」
言葉がわからないというのは、時に不幸であり、時に幸運である。
……ユートって、童貞……?
「ユートって、童貞?」
「な、何を突然……そういうのは心に決めた人と、って決めてるから……」
どこか憂いを帯び、潤んだ瞳で見上げてくるユート。
まままっ! まさかそんなっ!
「……ふふっ!」
「……ははっ!」
一緒に異世界転移した男友達が実は女で間違いを起こしちゃいそうで困っています!
まぁ、こいつが男なのは昔連れション時にて確認済み……悲しみ。
「何ですかこの空気は……」
何とも言えない桃色空間に割って入ってきたのはピピンだった。
「お、おう! 元気かピピン!」
「ええ、そりゃもうっ! そういえばレイジさんに相談したいことがありまして!」
一体何だろうか。ユニコーンの捌き方だろうか。とりあえずケツに棒をぶっ刺せばいいよ。
「実は! ハーピィたちのことなんですけども! 彼女らの素晴らしい歌声、あれはきっといい見世物になると思うんですよね!」
そりゃ、その歌声に魅了されて誘拐されちゃうくらいだものね。
「確かに、彼女らの歌声は素敵だよね!」
「ええ! 歌声は本当に素晴らしいんですよ!」
確かに、ピヨヨの鼻歌?はかわいい。
成鳥の普段の鳴き声は汚い。
「それもありかもな! 『普通は危険な歌声も、ここでなら聞ける特別なコンサート』的な!」
うん、採用!
「よっしゃっ! 早速姫様に提案してきます!」
「あー……今はあんまりよくないかもね」
何だか様子がおかしかった……あれは『あの日』だろう。重めの。
「そ、そうですか……では日を改めることにします!」
「うむ! そうしたまえ」
俺はノノのせいで気遣いができるんだぞ!
「僕も相談と言うか……コロシアムのことなんだけど」
「戦わない問題?」
「うん。今までもいくつかの魔物同士で色々実験したんだけどね。空腹もダメ、雌の取り合いを促してもダメ、縄張りが近い敵対しそうなのはまぁ、たまに」
むむむ。たまにでも困るのぅ……。
いざとなれば、俺が支配下に置いて指示を出せば解決するが……良心が若干痛むような痛まないような。
「ん~……」
「ん~……」
白熱したバトル、それでこそ掛け金も上がるというもの!
しかし中々名案が浮かばない。
「……ラインガルドからくるという魔物を研究している人に期待しよう」
「……そうだね」
俺の貞操と引き換えに連れてくるのだ、妙案を出してくれなきゃ困るぞ!
「……本当に、いいのかい?」
「そんな顔をするなよ! 名前だけの婚約者だって!」
俺にはノノがいるもの!
マリアだっけ? あんな奴には好き勝手させないぞ!
「……君も……」
「ん?」
「いや……何でも……」
何でもなくはないだろう。
「言えよ! 言いたいことがあるならさ!」
「……ううん、まだ言わない。考えがまとまったら、ね」
再び憂いを帯びた顔で見つめてくるユート。
「……そうか」
そう言うことなのだろう。
だが俺はノーマルタイプ。彼がそうだとしても、受け入れることはできない。
しかし彼が真剣に考えてくれていることには、俺もしっかり向き合おうと思う。
◇
さてさて、いろいろ見て回ったが……自由に魔物を放すのはいいが、同種が少なくて寂しいな。
それと草食魔物系の食糧事情がユニコーンに頼り切り感。
後は、ふれあい喫茶のキャストかな!
「よしっ!」
結局、俺のやることは魔物を捕まえることだけ!
そうと決まればさっさと行こう!
「おーい、ノノー! 野――」
「ご主人様、しーっ!」
ガーデンに出向き、ノノを野生の魔物捕まえに行こうと誘うつもりだっただのだが……。
「ふごふご」
「ぴよぉ~……」
「――こっ……わぅぅ~……」
ミーティアに寄っかかりながら寝ている1人と2匹の小動物が。
「ふふっ、かわいいですねぇ~……」
そしてそれを、母性溢れる眼差しで見つめるドペ子。
「……しょうがない、また明日にするか」
ノノの横で俺も寝転がる。
間もなくミライやユートも来だし、更にはピピンやスウェーナさんといった面々も集まり……。
かわいい小動物や花、そして満面の星空を肴に静かな宴会が開かれたのだった。
翌日は一晩中みんなに寝顔を見られたノノが不機嫌だった上に、ミーティアの足の痺れが限界を何度も超えていたことがわかり、探索は更に次の日となった。
ミーティアさんまじ天使。
読んで下さりありがとうございます(/・ω・)/
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また、こんな魔物が見たい! こんなアトラクションあるよ!
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