第33話 パーク直通便のために
「くんくん……間違いないっ!」
「間違いなく穢れ無き者っ! く~っ! たまらんッッ!」
美しい1本の角を生やした神秘的な白馬。
その名もユニコーン。
穢れなき者を好むと言うのは事実のようで、しきりに匂いを嗅いだり尻に鼻を擦りつけたりしている。
俺の。
どうしてこうなってしまったのかというと……話は少し遡る。
◇
「そろそろ体験会の日だけどさ……何か忘れてると思わない?」
ドペ子の活用方法についてピピンと相談していたところ、突然ミライが現れてそんなことを言ってくる。
「ちょっ! 来るなら来るって言えよ……心臓に悪いだろう……!」
「そそそ! そうですよ! こちらにも心の準備というものがありますから!」
決して『今度ミライのドッペルゲンガーを作ってみようぜ』などとは話していないから問題ないんだけどね!
「? 何よ……それよりさ! 大切なこと、忘れてない?」
「……た、誕生日おめでとう?」
「違うわよ!」
やれやれと言った感じでミライが小馬鹿にした態度をとる。
「乗り物よ、乗り物! 大人数のお客さんを運べるような魔物! 一般人がここまで来るのに大変なんだから用意しなきゃでしょ!」
確かにこの周辺は来るのも一苦労な場所。
来るのに命懸け、そんなテーマパーク、廃れるに決まっている。
「乗り物というか、移動手段が必要なのはわかるけど……そんな大人数を運べるような魔物って?」
「さぁ? それを含めてあんたに任せるわ!」
「……マジすか」
心当たりなんて全くないのですが……。
あれだ、巨人族に頼んで馬車とかを担いで貰うとか……?
「巨人族に――」
「言っておくけど、移動手段も見せ場の1つだからね? ムサイ巨人族なんてお呼びじゃないからね?」
「移動するたびに振動が凄そうですね!」
失礼な! 巨人族に謝れ!
しかしピピンの言うことはド正論……。
「……どないせいっちゅうねん!」
「あの方に聞いてみたら?」
「あの方?」
「ほら、リィーンズさんだっけ? あの方なら詳しそうじゃない?」
いやふわっとしてる!
そんなふわっとした感じで会える奴じゃないだろう!
煌龍皇リィーンズ。先日のフェンリルと同様、神獣の1体。
龍族を統べる誇り高き王。この世界の頂点に最も近い最上位生物。と自称していました。
彼女との出会いは……まぁ、魔王討伐に力を貸して欲しいと頼むために会いに行ったのだが。
誇り高い彼女がすんなり頷く訳もなく、一晩中戦い続けてようやく渋々力を貸してくれることとなったのだ。
そして魔王を追い詰め、『封印』のために俺の魔力が底をついた途端、『役目は果たした』とか言って帰ってしまった。
だから気軽に話に行けるような仲じゃなく、ただただ仕事的なお付き合いがあっただけなのだ!
「あいつは無理だよぉ……今なら殺されちゃうよぉ……」
「そう? 結構あんたに懐いてたと思ったけど? 楽しそうにじゃれていたじゃない」
「何度か超超高度からうっかり故意に落とされたことを言っているのなら、シンプルに殺されかけてただけだぞ」
従魔になることを非常に嫌がってたからなぁ……。
わざわざ『情けなくも人間に使役される私のことは『シィル(封印されし)リィーンズと呼べ』だなんて言ってさ!
「とにかくあいつだけは無理!」
「えー! じゃあどうすんのよっ!」
俺が聞きたいわ! どうしよう!
「人を乗せると言えば……例えば馬なんてどうでしょう? ユニコーンとかペガサスとかなんかに乗れた日には……それだけで満足ですよ!」
「それは確かに魅力的な魔物ね! だけど……大人数を運ぶ、というのは難しいかしら」
運べて馬車くらいのサイズだとすると……結構な数が必要そうだ。
「とある物語では、ペガサスは馬車を運びながら天を舞い、更には次元の壁を越えると語られています。乗ってみたいです!」
いやピピンの願望じゃないか!
まぁ、確かにペガサスに乗れると考えると……いいかもしれんな!
「そうね……今回は人数も多くないみたいだし、とりあえずのペガサスでいいかもしれないわね!」
「とりあえずて。探しに行くのは俺だぞ!」
「いいじゃない別に。ノノとペガサスに乗ってデートしてみたいでしょ?」
「……」
そりゃおめぇ……。
再の高じゃないかい……。
そうして俺は、にやにやしているピピンの頭を叩き、ユニコーンやペガサスがいると言われている場所へと向かったのだった。
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