第20話 神獣フェンリル
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「ガァァァッ!」
「レージ!」
ノノの結界を噛み砕こうとする巨大な狼。
先程まで戦っていた魔物たちとは比較にならない程の強さ!
いや、今まで出会ってきた魔物たちと比べても最上位に位置する!
「――ふん!」
「くっ!」
噛み付きから、今度は魔力を纏わせて体当たりをしてくるフェンリル。
何とか結界はもっているが、このままで防戦が続けば……いずれノノの魔力が底をついてしまう。
「クソッ! 何なんだよお前……!」
「埒が明かないね。仕方がない――」
そう言って狼は距離を取り、その口に光輝く魔力を溜め始める。
その魔力は馴染みのあるそれに似ていて……!
「聖属性!? お前神獣か!?」
「『いかにも! 我が名は神獣フェンリル! この寒獄を統べるものにして世界の守護者!』」
頭に直接響く声で肯定を返すフェンリル。
神獣……煌龍皇と同等の存在。
高い知性と圧倒的魔力を持ち合わせた、他の魔物とは別次元の存在。
それが今……俺たちを殺そうとしている。
「どうする……!?」
焦るばかりで考えが浮かばない……!
スララを囮にピヨヨで……無理だ、どちらも瞬殺される! それに……!
「どうする……!」
スララも、コンもピヨヨも……仮に融合したところで太刀打ちできない!
「どうする……」
「レージ、逃げて。私が食い止めるから」
ノノが俺に笑いかける。
既に覚悟は決まったような顔で。
「ノノ……」
「ん、レージ……」
そんな顔をするなよ……。
「……」
最後に、何も言わずににこっと笑うノノ。
きっと、俺の枷にならないように言葉を飲み込んだのだろう。
「すまない」
そして俺は――決意する。
「すまない……けど!」
どす黒く染まった『封魔石』を頭上に掲げる!
「レージ!?」
「お前を置いて行けるか! お前がいなきゃ意味ないんだよ!」
元の世界に戻るとか! こっちの世界で暮らすとか!
お前がいなきゃ! お前といたいんだよっ!!!
そのためなら――世界を敵に回しても構わない!
「『人魔一身……限定』――ッ!!!」
「だめぇっ! それはだめっ!」
かつてないほどの圧力、魔力の喪失……瀕死の状態でもこれか――ッ!
しかし……顕現しろっ!
「『魔王の右腕』!!!」
かつて何ども死にかけながら……ようやく倒した宿敵。
「レージぃっ!」
「『……やはり、魔王の力か!』」
俺の右腕が、そこだけが巨大な黒龍の右腕となる。
目の前の神獣すら凌駕する魔力を湛えて……!
「ぐぅっ!?」
「レージ!」
長くは持たない……!
「食らえっ!」
「『やすやすと食らう訳が――何っ!?』」
右手から伸びる魔力がフェンリルを掴む!
すぐに振りほどくだろうが……一瞬で十分!
「『くっ……我が聖の波動を受けよっ!』」
「うぉぉぉっ!」
魔王の右手と、フェンリルの聖なる魔力がぶつかる!
余波で周囲の雪が吹き飛び、大地が露になる。
「負け、られるかぁっ! ノノ!」
「うん!」
ノノから支援魔法が飛んでくる!
これなら……!
「だぁぁぁぁああああーっ!!!」
「なっ!?」
フェンリルの聖なる魔力を掻き消し、そのまま――。
「がっ!?」
その瞬間、胸を激しい痛みが襲う!
魔力が……切れ……!?
「レージ!」
「ノノ……離れ……」
もう、喋ることすら……!
「いやっ! いやよっ!」
「……」
だめだっ! もう抑え……。
「『……魔力譲渡』」
「……は……え……?」
そこで意識は途絶えた。
読んで下さりありがとうございます(/・ω・)/
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