第18話 スノーマウンテンにてコンにちは!
その後――。
「おぉ! ちゃんと飛べるじゃないか!」
「ぴよっ!」
安定さは成鳥とは比べ物にならないが、発達したその足で俺を掴んで飛んでいる。
何やら追い風が強く吹いているが、気のせいだろう。
「ガァガァッ!」
「ぴよぴよぴーっ!」
今回ノノを運んで貰うためにテイムして連れて来たハーピィさん。
ハッピーと名付けられたぞ! 犬か!
ハッピーさんはピピンたちが作ってくれた籠を掴んでノノを乗せている。
肩出しファッションにならなくてよかったね。
「よし、このまま魔物を探しに行くぞっ!」
「おー」
「ぴー!」
ここ数日分の魔力上昇分とピヨヨとハッピーのテイムを差し引いて……。
まぁ、弱い魔物なら数匹いけるってところかな?
◇
「寒っ」
「さっ、さささささささむむむむむ……」
「……ぴよょ……」
1日程かけ、ようやくたどり着いた場所。
コキュートスと呼ばれる、年中猛吹雪が降り続ける極寒の山脈。
その端っこにあるスノーマウンテンと呼ばれる山に来たのだ。
と言うのも、そこにいる『スノーラビット』をテイムして来いとクラリス姫に言われたからで……。
何でもこのスノラビ、いたく可愛いと一部界隈で大人気らしいが、厳しい環境にしか生息せず、魔物だから懐きもせずと言った存在らしい。
そんな魔物をふれあい喫茶に据えたら人気が出るのでは、と言うことでテイムしにここまで来ました。
「結界魔法! はよっ!」
「わ、わわわわわ……」
ノノさんが結界を使い、狭い範囲ではあるが、吹雪からの影響を遮断する。
相変わらず便利ね、結界。
「ふぅ……助かったよ!」
「うううううんん」
まだガクガク震えているノノに俺の羽織っていた上着を着せる。
ついでにピヨヨも戻す。お疲れ様。
「あ、あああああり」
「歩くか。その方が体も温まる」
コキュートス、その入り口であるスノーマウンテンですらこの寒さ。
ずっと奥まで行くと、強力な魔物だったり珍しい植物があるとか、神獣もいるだとかの噂があるらしいが……。
俺らには関係ないな! 寒すぎて奥まで行く気にならん!
「レージ、あれ」
しばらく歩いていると、早速魔物が。
しかし残念ながらウサギではなく、狂暴な猪!
「ブゴォォォッ!」
「早っ!」
俺たちを見つけるや否や、猛スピードで突進してくる猪!
しかし――。
「ガァッ!?」
「――あ、結界……」
ノノの結界により弾かれた猪。
どうやらそこまで強い魔物ではなさそうだ。
「レージ、コンを出して」
「コン? いや、さすがに……」
とは言え、最弱クラスのコンが叶う相手でもなさそうだが……。
あやつは癒し枠ぞ。
「いいから」
「はいはい。出でよコン!」
「こんこ~ん!」
『封魔石』から飛び出て来たコン。
やる気はいっぱいだぞ! でも絶対勝てないぞ!
「コン、『札1』よ」
「こん!」
何? どういうこと? ノノさんが謎の指示をコンに出したんですけど。
俺の従魔なんですけど……。
「こんこん!」
何やら尻尾からお札を取り出すコン。
あれは……例の『安産祈願』と書いてる紙……。
「それは『札2』!」
「きゅ~ん……」
コンがそれを尻尾にしまい、再びごそごそしだす。
どんぐり、葉っぱ、俺のパンツ……パンツ?
「こん!」
「それよ! さぁ、見せて」
ようやく取り出したのは……『悪鬼必滅』と書かれた札。
それよりも……パンツ?
「こんこーん!」
札を器用に両手で挟み、頭上に掲げるコン。
その瞬間、コンから風の刃が猪に向かって飛来する! ……前に、ノノさんの『支援魔法』がコンに飛んだのを見逃さなかったぞ!
「ブゴッ――!?」
ノノの支援魔法を受けたコンの魔法が見事に猪を両断!
すごいぞコン! やればできるじゃないか! その成長、俺は一切何もしてないんだけど!
「ん、いいこ」
「こんこ~ん!」
コンの頭をノノが撫でる。
完全に懐いてますね。
「ほら、レージも」
「あ、あぁ! すごいぞコン! 頑張ったんだな!」
「きゅ~ん!」
俺も撫でようとしたら、コンが飛びついてきたぞ! そしてペロペロしてきたぞ! 可愛いぞ!
「わっは! やめろよ~!」
「こんこーん!」
「ふふ」
ノノさんも満足そうで良かった。
多分俺よりもコンの扱いがうまいというか……最早誰の従魔? 状態だけども。
読んで下さりありがとうございます(/・ω・)/
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