異世界からの来訪者についての報告(概略)
魔物使いレイジについて
・かつての報告に上がっていた魔物とは別だが、相変わらず強力な魔物を従えている。数は以前の比ではなく、全貌は不明。
・頭はよくないようで、金属の塊である魔物をマグマ地帯で活動させていた。
・他者からの提案、要求、忠告には素直に応じる様子。
・魔物図鑑なる能力により、従えた魔物の情報を知ることができる。これにより、効率的な育成が可能と思われる。
・女性の誘惑に弱い。恐らく未だ童貞。
・従魔の中には幼体も多く、それに対して愛着も持っている。
・運搬、移動能力において我々の能力を遥かに超えている。具体的には「ゼイアーパラダイスからパークまで」4時間程。空中を移動するため、魔物との遭遇は少ない。
・睡眠以外で意識がない中でも能力が継続されているのを確認。その間聖女ノノが魔物を指示し、魔物も従っていた。
・記憶力もよくない様子。高ランク冒険者ダディナ氏との約束を忘れていた。
・世情には疎いようで、貴族の愛玩魔物についても初めて知った様子だった。
・従えた魔物を進化さえることができる。条件については不明。ハーピィの幼体がハーピィエリートに進化したのを確認。通常種よりも強力な個体だと推察される。
聖女ノノについて
・結界について、相変わらずの能力。物理的な衝撃だけでなく、音への対処も可能。気温や気体については要検証。
・結界内部からの攻撃が可能。
・恐らく彼らの中で1番目的意識が強い。
・血も涙もない。嫉妬深い。暴力的。
◇
「報告は以上です。『魔物使い』の能力は相変わらず脅威です。その気になれば物理的にも経済的にもこの世界を好きにできると感じました」
「……うむ」
「それと……『聖女』の結界ですが、これも非常に脅威です。強固な守りもそうですが、その中から一方的に攻撃することも可能。彼ら曰く、熱や大気中の毒にも対処可能かと思われます」
「……そうか」
……。
「……他に、彼らの人となりについてはどうだ? 普段の生活の様子などは……」
「残念ながら、住んでいる場所は『結界』が作用しているようで侵入できませんでした。性格については……」
「……」
「『魔物使い』は相当にスケベです。私がやむを得ずに粗相をしてしまった際、それに触れる手つきが非常にいやらしいものでした」
「……そうか」
……。
「報告は以上です。何かご質問はありますでしょうか?」
「……何もない。引き続き……いや、今度は彼らの人間性について一層注視せよ」
「はっ! ではこれにて失礼します」
……。
……。
……。
「……ユーフィ……」




