第52話 気持ちの居場所
今はまだ、自分の気持ちを出すわけにはいかない
わかってるのに、なんでだろう。凄く泣きたい。
レオもいなくて、1人で未来と戦うのは疲れた。
頼りたいけど誰も頼れなくて。
そんなときにルーカス様の優しさに甘えていたから心がドキドキしたり暖かくなったりして現実の幸せを味わっていたのかな。
元々、私は1人だった。前回の人生でも、誰も私のそばにはいなかった。そして一人ぼっちで死んでいった。
最期に会ったのは多分……ルーカス様。あの涙に甘えていた。
ルーカス様じゃなかったのかな
誰かに甘えたくて幻想をみてたのかもしれない
私は急にここにいるのがつらくなってきた。
悲しくて、誰かに甘えたくて、私はまだまだ子供なんだ。
でも
ルーカス様に近づきたくても近づけない。
胸が苦しい。
私の顔色が悪くなっていたのかフレデリク様が
「クロエ!?」
少し大きな声で私の背中を支えた。
私はふらつき倒れそうになっていたのだ。
「大丈夫です」
フレデリク様の手を払い。
私は2人の王子を見て
顔色を変えない2人の前で
「大変申し訳ございません。気分がすぐれず、席を外す無礼をお許しください」
アベル様が
「大丈夫かよ?フレデリク部屋を貸してやれよ」
「はい、そうさせてもらいます」
フレデリク様は近くにいた使用人達に客間を急いで準備の指示をしていた。
「いえ、私は自宅へ・・・・」
「クロエ様、心配ですわ。少しお休みになって」
「イザベラ様」
そして私は、フレデリク様とイザベラ様に連れられて部屋を出た。
気づかないうちに私は瞳に涙が浮かんでいた。
❄︎ ❅ *. ❅ ✥ ✣ ✤
「兄上、そんなに心配なら一緒について行けばいいのに」
アベルが呆れた声で言った。
私は心配でたまらない。しかし、ここにはイザベラ譲もいたのだ。
その前でクロエに優しくは今は、出来ない。
それに、レオがまだ戻らない。私ばかりが幸せになってはいけない。
これは、王家の問題に間違いなく2人を巻き込んでいるのだから。
そう言いながら、私はずっと部屋の中をウロウロしていた。クロエのところに行きたい。
その気持ちが行動に出ていたのだ。
アベルが大きなため息をついた。
「後でイザベラを散歩に誘うからその間に行きなよ」
「何であんなヤツがいいんだよ?イザベラ以上の女の子はいない」
アベルの心の声は隠そうとしていない。
その素直なアベルを少し羨ましいと思う




