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第5話 一歩


・・・・・・・・・いい香り




目を開けると、自分の部屋の天井が見えた。


「あれ?誕生日会・・・・・」


「お嬢様!目が覚めたのですね。やはり昨日の高熱が治っていなかったのですよ。」


「ジェミー、今何時なの?みんなは?」


「もう外も暗くなり、皆様お帰りになられましたよ。旦那様達はまだ夕食前でサロンにいらっしゃると思います。レオポルド様は先程までこちらにいらっしゃいましたが一旦お部屋に戻って着替えていらっしゃいます、お呼びしますか?」


「ううん、いいの。私を部屋に運んでくれたのは誰かわかる?」



あの匂い・・・・・・・



「私はお屋敷の中にいましたので、お部屋にお連れしたのは見ていないのですが、私がこちらに来た時は旦那様と奥様とレオポルド様だけでしたよ?旦那様じゃないでしょうか?」



お父様?



違うわ


お父様の匂いではなかった



私が倒れて誰かが駆け寄った……



「そうね。お父様に聞いて見ようかしら」



「お嬢様、大丈夫でしょうか?昨日の高熱に続き、今日は倒れられたのです。まだゆっくり休んではいかがでしょうか」


ジェミーが心配そうに私をみる



「ジェミー、ありがとう。でも倒れたのは昨日の夢を思い出してしまったからなの。もう大丈夫よ」


「やはり王子様のお友達になるのはお辛いですか?」



「まだ、辛いけど・・・・でもジェミーの言う通りだと思ったの。相手を知らなければ、これから起こる事を防ぐ術がないわ。だからきつくても私頑張りたいの」



ジェミーが私の手を握って

「お嬢様、無理はなさらないで下さい。ゆっくりで行きましょう。その時が来るのが5年後ならば、今日だけでも成果があったのでは?」


「そうね。出会う事もない人に会ったわ」


第一王子様、第二王子様それにフレデリク様



「ジェミー、それと気になるのだけど、昨年の私の誕生日会ってこの屋敷であったのよね?」



「9歳のお誕生日会ですか?はい。毎年こちらのお屋敷で行っていますが、昨年はお嬢様は挨拶後すぐにお部屋に戻っておられましたよ」


あぁ!やっぱり。じゃあ第一王子様が見たのは去年の私なのね


「レオの友達は去年も来てた?」


「いえ、レオポルド様がお嬢様のお誕生日会にご友人を呼んだのは今年が初めてですよ。レオポルド様のお誕生日会にはいつもご友人を呼んでおられますが。今年はお嬢様がお許しになられたから、お越し頂いたのではないでしょうか?」



「そうだ。昨日レオから友人を呼んだけどいいかって聞かれたわ。いつも呼んでいたらそんな事聞かないわよね。」



「えぇ。お嬢様がレオポルド様のご友人に気を使われて会わない事をレオポルド様も気づいていたと思いますが、昨日はもう『呼んでいる』とおっしゃっていましたから、今年は会わせたいのかと思いましたよ」



じゃあ、今年が初めてなの?


第一王子様の言葉が余計に気になる。



レオが何か知っているのかも。




「レオと話したいわ」


「お嬢様、無理はダメですよ」

ジェミーは心配でたまらないようだった



「わかってるわ、でも2つだけ聞きたいの。聞かないと眠れそうにないから」



「わかりました。ではレオポルド様をこちらのお部屋にお呼びしますね」


ジェミーはゆっくり休んで欲しいという気持ち

が大きいけど、聞かないと眠れないって言葉に断念したようだった。







コンコンコン




「お姉様!レオです」




私は自ら扉を開けた

「どうぞ」



そしてジェミーには外で待つようにお願いをした。




「お姉様もう大丈夫?」

レオは心から心配しているように見える。


「レオに聞きたい事があって呼んだの。ソファにかけて」



レオがかけたソファの正面のソファに私も腰掛けた。



「私が倒れて、部屋まで運んだのは誰だか知ってる?」


「父上が部屋まで抱きかかえてたけど。どうして?」


「お父様は近くにいなかったから最初は他の人じゃないかしら?私お礼が言いたくて」


「それでしたら、お姉様のお側にいた、フレデリク様じゃないのかな?僕が見た時は父上に運ばれていたので」


そうなのかな?フレデリク様なのかな?



「じゃあ、お父様に聞いてみるわ」


「父上も慌てていたと思うよ。だから覚えていないかも、それに婚前の女性が男性に抱きかかえられたなんて、父上は複雑なお気持ちかもだよ」


そうよね・・・・・・・



「お姉様の聞きたい事ってそれだけ?」


「いえ、あと1つ。今日はどうしてレオのお友達を呼んだの?」


「お姉様・・・・・やっぱり嫌だった?」

レオは泣きそうな顔をする



「ち・・・違うの!第一王子様・・・いえ、ルイ様とお話ししたのだけど、気になって・・・・・」



「え?お姉様はルイ様が気になるの?」


レオの表情は驚いた顔になった。


「変な意味じゃないのよ?ルイ様には婚約者が近々決まるし、そんな気持ちじゃないのよ」


レオは少しだけ困った顔をして


「本当はね、黙っているように言われたんだけど・・・・今日のお姉様のお誕生日会は第一王子様のルーカス様の方から来たいって言ったんだよ」



「え?どうして?」



「わかるけど、わからない」


は?意味がわからない



「レオの言ってる意味がわからないのだけど」



レオはもっと困った顔になった。

「お姉様・・・・・僕は・・・・・・」


レオの手が震え出した。


テーブルに隠れているレオの手を私は見えてはいなかった。





コンコンコン




「お食事の準備が出来ました」



「あ!お姉様一緒に行こう。もう顔色もいいから一緒に食べよう」



レオに手を引かれ私は部屋を出た。




レオ・・・・・もっと詳しく教えて欲しいの



でもレオの困った顔に私はそれ以上聞けなかった。









レオ・・・・・・何を知ってるの?




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