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無知な令嬢に罪があるのなら真実を明らかにしましょう  作者: NALI


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第48話 追求



馬車の中で、僕は体の痛みを感じないほどに心配で仕方なかった。


ルディス様の残された懐中時計・・・・

これをセドリック様に報告したならば、セドリック様はどう思われるであろうか。



僕がもっと早く気づいてルディス様を追いかけていれば間に合っていたのだろうか?

あの時ルディス様が言うようにセドリック様のお帰りを待ってから帰京すれば、何か変わっていたのかもしれない。



かもしれない・・・・


もし・・・・


そんな言葉ばかりが僕の頭の中を駆け巡った。





馬車がベルジック公爵家の門の前に着いた時は、もう日が傾いていた。


「シドさんありがとうございます」


「レオポルド様、私はルーカス様の元に戻りますが、また何かあれば駆けつけます」




シドさんはスッとその場からいなくなった。




門番に僕が帰って来たことを伝えると


お屋敷の中から、


モーリス様とマクシムが出てきた


「ただいま戻りました」


モーリス様は少し怪訝そうな顔をしているが、横ではマクシムが少しホッとした顔を見せた。

僕が無事に帰って来た事に安堵してくれたのだろう。


「レオ!10日以上もお屋敷を離れ療養していた間、何故一度も連絡を寄こさないのだ。皆が心配するであろう!しかもお前の実家はセドリック様しか連絡が取れないために、セドリック様の手を煩わす事などできない。そういう事も考えて行動しなさい」


モーリス様のおっしゃっていることはもっともだ。でもまた同じ状況になっても実家には連絡はできない。私の素性をモーリス様は知らないのだから。



今度はちゃんと連絡しよう。


「申し訳ありません。以後気を付けます」


「療養してた割にはまだ顔色が悪いように見えるが?」


「馬車に乗って疲れただけです」

僕は全身打撲の事が言えるわけがなくごまかした。


「マクシム、レオを部屋に行くのに手を貸してやりなさい」


「はい。承知いたしました」


マクシムはモーリス様に頭を下げ、すぐに私の横に来た。


モーリス様が先に屋敷の中に入った後


「おい!レオ大丈夫か?顔色が本当に悪いぞ」



「実は全身痛いのです。でもこのままセドリック様がお戻りならセドリック様のお部屋に行けますか?」



「あぁ。セドリック様はお帰りになられている。モーリス様が食後のお茶をお部屋に運ぶ前にセドリック様のお部屋に伺おう。急げるか?俺がセドリック様のお茶を準備した方がいいだろう」



僕とマクシムは人目を避けながらセドリック様のお部屋に行った。そしてモーリス様が部屋を訪ねないように、マクシムが急いでお茶の準備をして部屋に戻って来てくれた。




マクシムが戻ってくるより先に僕は10日間の内容とルディス様の懐中時計をセドリック様にお渡しした。


ちょうど渡したところでマクシムが戻ってきたのだった。



「セドリック様?お顔の色がすぐれませんが?」

マクシムは話しの内容を聞いていないのでセドリック様の顔色が悪くなっている事に驚いている。


「あぁ。大丈夫だ。レオも体がつらいであろう。そこのソファに腰かけなさい」


「すみません。お言葉に甘えます」


マクシムは僕がソファに腰かけるのサッと近くまでやって来て手伝ってくれた。


そして、セドリック様が何か考え事をしている間にマクシムに簡潔にセドリック様に話した内容を伝えた。


マクシムの顔は少し怖い表情になったが、何も答えずただ、セドリック様の発言を待っているようだった。


「レオよ。ルディスはもうこの屋敷に戻っては来れないのだろうか?」


「ルディス様の安否がわかりません。しかし連絡がない以上は最悪の結果を考えておいた方がいいかと思います」




最悪の結果・・・・・それは死を意味する





事故ならばすぐに町中が騒ぎになったであろうが、町は静かだった。平和だった。



せめて、監禁されていてくれてた方がいいが。犯人からの要求などが10日もないならば攫われた可能性は低い。



セドリック様もそれがわかっているから、戻って来れないのかと聞いたんだろう。



セドリック様の瞳にうっすら涙がにじんでいた。


そしてまた、沈黙するセドリック様に僕は独り言のように話しかけた。


「私のただの想像ではありますが、今回セドリック様のお茶に毒を仕込みやすくするためにルディス様をお屋敷から追い出したと考えます。そしてご実家と連絡を絶っているルディス様が実家に帰っていない事など誰も想像できず、セドリック様が毒で体が侵された事が万が一ばれたとしても、犯人は誰かと追求された際にルディス様を犯人にしやすくするために、ルディス様が行方不明になっていた方が犯人にとって都合がいいように思います」



マクシムがやっと口を開いた

「ルディスさんはハメられた?」


「そうですね。僕はそう考えます。ただ確証はありません。でもセドリック様が毒を口にする前にお屋敷を出ていますので、ルディス様は絶対に犯人ではありません。毎日お茶をセドリック様に飲んでいただかなければならないのですから」


そうなのだ。この毒は何回か口にしないといけない。前回の人生ではセドリック様は亡くなっていた。しかもご病気で。考えられるのは日々の毒のせいだと考えれば納得がいく。


今ここにいないルディス様にはできない事なんだ。


「レオ。犯人を追い詰めるためにも、毒の件を公表する」



「承知いたしました」



「そして、ルディスを捜索する。いいな?」


僕もそれがいいと思う。

犯人が何かしら行動を起こせば、しっぽが掴めるかもしれない。



「それと、セドリック様、疑わしい2人から出されたものは全て鑑定はされましたでしょうか?」



「あぁ。だがあれ以来、毒が入っているものは一つもなかった」



そうか、犯人はきっと勘が鋭いのかもしれない。






翌朝、



セドリック様は使用人を集めて、自分のお茶に毒が入っていた事を公表した。


使用人全てが驚きのあまり声も出せないでいたが、



その中で、顔色が悪くなったのは、やはりレックスだった。



「セドリック様!そのような重要な事をなぜ私にお知らせ頂けなかったのですか?」


モーリス様が一番驚いた顔をしてセドリック様に問いかけた。



「モーリス、お前に心配をかけたくなかったのだが、ルディスが行方不明な以上、みんなの協力が必要になった。すまないモーリス手伝ってくれるか?城には報告するつもりはない。我が公爵家の問題である」



セドリック様は切なそうにモーリス様に微笑んだ。



モーリス様は襟を整え


「かしこまりました。このモーリスが屋敷に入り込んだネズミをとらえましょう」







だが、

僕は素直にモーリス様の言葉を信じるわけにはいかない。








そのネズミはレックス・・・そしてモーリス様かもしれないのだから。
















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