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無知な令嬢に罪があるのなら真実を明らかにしましょう  作者: NALI


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第46話 ルディス様の行方



結局、通るであろう道から少し離れた村などにも足を運んでみたが、ルディス様らしき人を見た人はいなかった。



「これはまずいかもしれない」



僕は怖くて手綱を持つ手が震えてきた。

クソッ

僕1人では限界だな1度屋敷に戻らなければ


『ルディス様が事件か事故に巻き込まれた可能性があります。一旦屋敷に戻ります。ルディス様のご家族様はご無事で、ルディス様の失踪のことは伝えていません』


僕はルーカス様に現状の手紙を出し、急いでベルジック公爵家に戻ることにした。




王都までの道で最後の町に寄った。


「この町は行き道では寄らなかったな。もしかしたら見かけた人がいるかもしれない」


かすかな望みを期待して、僕は町で聞き込みをした。


「10日ほど前から今日までの間に、背は170ぐらいこげ茶の髪色で瞳は緑色した40代ぐらいの男性を見ませんでしたか?」

僕は聞き込みに時計などを販売している雑貨屋入った。


「10日前なんて覚えてないよ。旅人がたくさん来る町だからね」


「そうですか」


「そういえば、王都にあるベルジック公爵家の紋章がついた懐中時計を持った男性が時計の修理に来たなぁ。その人がそんな雰囲気の男だったきがするけどな」


「え?その方は10日前にこちらのお店に寄られたのですね!」


「あぁ。でもよ、修理を頼んだくせに翌日に取りに来なかったんだぜ。こっちは修理損だ」


「その時計取りに来ていないのですか?良かったら見せて頂けませんか?」


「これだ」


店主が出した懐中時計はまさにベルジック公爵家の紋章がついていた。

しかも本物だ。僕も持っているからわかる。


「店主、その方は僕の同僚なのです。僕が修理代を払いますので、その懐中時計を預からせてもらえますか?」


「これは客から預かった物だから簡単にはやれねーよ」


「これが証拠です」

僕は店主に同じ紋章がついた懐中時計を見せた。


「本当だな。同じ物だ」


「何かあればベルジック公爵家のレオが来たと言えばその者もわかりますので」


「まぁ10日も経ってるし、修理代を払ってくれるならいいさ」


「ありがとうございます」


僕は店主に修理代を払って、懐中時計を受け取った。


僕の手は震え、胸の鼓動がどんどん早くなった。

まずい、絶対この町でルディス様は事件に巻き込まれたんだ。



その夜、町の宿屋で一泊して明日の早朝に町を出る事にしたが、

ベッドに入ってもなかなか寝付けなかった。


最悪の結果を想像すると怖くて眠りたくても眠れないのだ。



夜も遅く町の明かりも消えた頃、廊下を誰かが歩く音がした。


え?


その足音は僕の部屋の前で止まった。


僕はすぐに近くに置いておいた剣を持ちベッドそっと抜け出した。


扉は内側に開くようになっていたので、開けたときに扉に隠れる左側の壁に隠れた。



もちろん鍵はかけてあったが、


カチャリ


なぜか鍵は外側から開けられてしまった。



扉がスーッと開いて、僕は扉の陰に隠れる形になった。


入ってきたのは黒い服に黒い頭巾をかぶっていて誰だかわからない。

その者は僕が寝ていたベッドにそっと近づいていった右手には短刀を持っている


(嘘だろう?僕を殺しにきたのか?)

物取りにしては、野蛮さが感じられない。


剣術は習っているとはいえ、実践は初めてだ。実際に模擬戦さえした事はない。

このままこいつが去るのを待ちたいのが本音だが、後ろからなら押さえつけることはできるかもしれない。

なぜ僕が刺客に狙われるか考えても、絶対的にベルジック公爵家絡みだ。しかもルディス様を探しているのだから、ルディス様が危険な目に合ってる事は間違いないだろう。



こいつから情報を聞き出さなければ。



刺客が僕が寝ていたベッドの布団をバッとめくった瞬間、僕は後ろから刺客の首に剣を当てた。


「お前は誰だ!」


刺客はすっと身をかがめて、短刀で僕の剣を受け止めた。


力で押し付けても相手は大人だ。僕の力ではどうしようもない。


刺客は短刀で僕の剣を振り払った。僕はすぐに刺客に剣を振り下ろしたが、またしても短刀でしのがれてしまう。


カンカンカンカン  キーン



僕の剣は弾き飛ばされてしまった。


部屋の扉からすぐに廊下に出て扉を


バンっと閉めた。



まずい、このままここで暴れると宿屋にいる人達も被害にあうかもしれない。


僕は慌てて外に出て、自分の馬に乗ったが刺客は僕が泊まっていた2階の部屋の窓から飛び降りて僕の前に立ちふさがった。


「お前はなぜ僕を狙うんだ?」


「お前はベルジック公爵の者か?」


「だったらどうするんだ?」


「コバエは殺せと言われている」


「誰に言われているんだ?」

まずい相手は短剣しか持っていないとはいえ、僕は丸腰だ。馬に乗っているのが幸いだが、無事に突破できるだろうか?


「死にゆくものに必要のないこと」


刺客が短剣で走って切りかかってきた所を手綱を思い切り引いて馬の前足で威嚇したした。一瞬相手がひるんだ隙に、馬を走らせて刺客の上を飛び越えようとジャンプしたとき刺客は横にとっさに避け僕の右足の服を引っ張った!!!



ドン!!!


僕はバランスを崩し、落馬して全身を地面に打ち付けてしまった。


「うっ!!!!!」


痛みにこらえながら目を開けると、僕の上に刺客がまたがり短剣を振り下ろす瞬間だった



やられる!!!!




僕は目をぎゅうっとつぶった。



カラン!!!



「なっ!!」



僕の上にまたがっていた刺客の重みが急に軽くなった。


「え?」



僕がそっと目を開けると


知らない男性が刺客の腕をつかみ、刺客が持っていた短剣は地面に転がっていた。


「レオポルド様、おケガはございませんか?」


え?


僕を知っているの?




僕は記憶力がいいのだが、間違いなく初対面だ。



誰?



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