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無知な令嬢に罪があるのなら真実を明らかにしましょう  作者: NALI


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第44話  マクシムの信頼



マクシム様が落ち着くように、近くの広場に行きあまり人通りが少ないベンチに座ってもらった。

そして僕は近くの屋台で買った紅茶をマキシム様に手渡した。


「ありがとう・・・」


マクシム様の隣に腰かけて


「まだ全てをお話しできませんが・・・」


僕はマクシム様に味方になってもらいたくて、話しをする事にした。

もちろん、毒の件が公になって、公爵家に潜んでいる悪い奴に逃げられても困るからだ。

犯人を捕まえなければ、セドリック様の身の安全は保障されない。


「いいのか?」


「え?」


「俺に話してしまったら、俺がお前の事をみんなに話すかもしれないんだぞ」


僕はにっこりと微笑んだ。


「ありえません」


「は?」

マクシム様は僕が即答した事に少し驚いている様子だった。


「マクシム様は僕が困るからと毒入り紅茶とは知らずに飲んでくれようとしてくれました。それに、セドリック様の命が狙われたと知った時あなたはすごい怒りをだしていました。そんな方が僕をみんなに言うわけがない。なのでセドリック様を守るためなら、あなたは全ての秘密を守って下さると判断いたしました」


「それが演技ならどうするんだ?」


マクシム様はすごく賢い方なんだ。マクシム様も僕を信用するために試しているのかもしれない。


「もし、あなたが犯人なら、あなたはここまでの道のりできっと僕を殺しているでしょう」


「・・・・・・・」


「僕がただの子供ならば、簡単に殺せますから」


「お前は誰なんだ?」


「その前に一つ質問させて下さい」


「なんだ」


「あなたはあのお屋敷の執事です。誰に忠誠を誓っていますか?」


「忠誠?そんなの誓ってはいないが」


「なぜ、あなたはそんなにもセドリック様の命が狙われた事で怒りを出したのですか?」


「俺は・・・・ある方に拾われて、あのお屋敷で働けるように手配して頂いた。そして無知な俺にも関わらず、ベルジック公爵様とセドリック様は俺を受け入れてくれた。俺はあの方に感謝している。あの方がいなければ母の墓もたてられなかった。あの方が紹介してくれたこのお屋敷を俺は一生守りたいと思う。もし、忠誠を誓えと言うなら、俺はあの方に忠誠を誓う」


「あの方とは?」


「この国の第一王子様であるルーカス様だ。お前がルーカス様の敵であるならば、俺はお前を信用しない」



僕はホッとして、クスクスと笑いが出てしまった。


「なんで笑ってる?」

少し怒った口調にマクシム様がなったので慌てて


「違います!僕はルーカス様の友人なのです」


「はぁ?」


「今日は僕の素性だけお話しします。僕はリシャール伯爵の長男で本名はレオポルドと申します」

僕はかつらを外した。中から光り輝く銀髪を見せた。


「伯爵家の長男?」



マクシム様は驚いている。伯爵家が執事になることは珍しいわけではないが、長男となると話しは違う。


「それ以上は上の支持がなければ話せません。伝達を出しますので、あまり深くはまだ聞かないでください。今はセドリック様に毒を盛った犯人を一緒に探しませんか?」




僕はマクシム様の前に立ち、手を差し出した。



「・・・・・・レオポルド様」


僕は少し困った顔をして


「今まで通りの口調でマクシム様にはレオと呼んで頂きたいのです」


「では、私の事もマクシムと呼んで頂けますか?」

少し丁寧な口調のマクシム様に苦笑いをしてしまったが


「はい、マクシム。僕はあなたを信用します」


マクシムは僕の手を取って

「あぁ、俺はレオを信じる。話せる時が来たら教えてくれ、俺の全てでレオを守るから」


「ふふ、僕じゃなくて、今はベルジック公爵家をセドリック様を一緒に守りましょう」


「そうだな」




僕たちは屋敷に戻り、セドリック様をお城までお迎えに行った。

セドリック様はマクシムと一緒にお迎えに行ったので、そこでは何も語らなかった。

僕たちも、誰が犯人かわからない以上、むやみに言葉を放つ事が出来なかったのだ。


夕食後に僕とマクシムは

セドリック様のお部屋にこっそりと訪問した。マクシムがいるから簡単に訪問ができたのだ。




セドリック様に毒の事、マクシムの事を報告した。

毒の件はさすがにセドリック様も驚いた様子をみせたが、すぐにいつもの表情に戻った。


「そうか、レオが信じるなら、私もマクシムを信じよう」


「ありがとうございます」


セドリック様はマクシムの方を向き、


「マクシム、君に私の命を守ってもらいたい。よろしく頼む」


マクシムは片膝をついて

「セドリック様をこの命を懸けてお守りいたします」


「マクシム、私は自分の命欲しさに、マクシムを犠牲にはしたくない。必ず、自分の身も守ってくれ」



セドリック様の優しさにマクシムはうっすらと涙を浮かべた。




「はい。承知いたしました」


マクシムは深々と頭を下げた。





それから、僕たちはこれから犯人を捜すため、セドリック様に相談をしたのだった。




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