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無知な令嬢に罪があるのなら真実を明らかにしましょう  作者: NALI


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第43話 クロエ11歳誕生日Ⅱ



私はフレデリク様とイザベラ様を連れて立食パーティーの場所ではなく、四阿の方に向かった。



「大人たちのお話しより、ゆっくり3人でおしゃべりしましょう。」



「クロエ様の弟君のレオポルド様は今日はいらっしゃらないのですか?」


「そうなの。今いろんな勉強をしていて、今日も忙しくて帰ってこられないの」

王子様のお手伝いは秘密って言ってたから、何となくごまかしてみた。


「前回は急な訪問で、レオポルド様にご挨拶をしていなかったの。ちゃんと改めて挨拶したかったのだけれど仕方ないですね。次回はレオポルド様を連れて、我が屋敷にいらして下さいね」


「ええ、そうねそうするわ」

その時にレオは、帰ってきているかしら、謎だわ。


私には、レオの行動がわからない。前回の時にはこんな事なかったのだから。



イザベラ様が私の手をぎゅうっと握って

「本当に反省してますの。私の思い込みでクロエ様に辛い思いをさせてしまったり、ずっと避けていたり」



その避けていたっていうのが、わからないんだけど。



「クロエ、それは私がイザベラに言ったんだ。本当の友人とは何かを考えてほしいと」



「それで、イザベラ様は何かを決めて来られたのですね」



可愛らしい瞳をウルウルさせながら私を見上げるイザベラ様は可愛すぎて、これに落ちない男性はいるのかと、もし落ちない男性がいたら教えていただきたい。女の私でさえもうメロメロなのですが。



「はい。私は幼い頃からずっとミア様達と一緒に遊んでいたのですが、ミア様はいろんな事をご存知で私の世界を広げてくださったのもミア様なのです。でもミア様のあんなに意地悪な面を見たのもはじめてでしたの。私はミア様の全ての言葉を信じていました。」


イザベラ様は私に懺悔でもするかのように、私に許して欲しいと懇願していた。私はイザベラ様の話しを遮るように言葉を口にした。


「イザベラ様、大丈夫ですよ。私はイザベラ様が何を信じても、イザベラ様の全てが大好きですよ。私と友人になりたいという、そのお気持ちがどんなに嬉しいか」


私はにっこりとイザベラ様に微笑んだ。


「クロエ様・・・」

イザベラ様は顔を少し赤らめて、


「クロエ様とルーカス様が婚約なさったら、私は心から祝福いたしますわ」



え!?



「こ、婚約!?」



フレデリク様もびっくりして、飲んでいたお茶を吹き出した。


「イザベラ!どうして、婚約なんだ!」



イザベラ様はキョトンとして、

「だって、お二人はお似合いだと思いませんか?」



「イザベラ!!だから思い込みが激しすぎるだろう!」


フレデリク様はガクッと頭を前に倒し両手でそれを支える形で固まっていた。



私もイザベラ様の言葉に顔を真っ赤にして固まっていた。






そこに、タイミング悪く彼がやって来た


「何の話しをしているの?」


その優しい声のする方を私達はバッと見上げた



いつもの金の髪色ではなく茶色の髪に色が変わってはいるが、オーラは正しく王子様!


イザベラ様が先に


「ルーカス様!!」


第一王子様は少し困った顔をして、

自分の唇に人差し指を当てて


「その名前を呼んではいけないよ。今日はルイとして来てるのだから」


「もうしわけありません、ルイ様?」


第一王子様はにっこりとイザベラ様に微笑んだ。


「イザベラ嬢もフレデリクも元気そうで何よりだよ。そして」


第一王子様は私の近くにまで来て、

後ろに隠し持っていた真っ赤な薔薇の花束を差し出して


「クロエ、11歳のお誕生日おめでとう」


私の赤い顔がかき消されるぐらい真っ赤でとても綺麗な花だった。


「ありがとうございます。ルイ様」



私は綺麗なお辞儀をして、第一王子様を見上げた。


第一王子様はなんだか、とてももどかしそうでせつなそうな表情をしていた。



「えっと・・・良かったらご一緒に」

赤くなった顔を花束で隠しながら第一王子様に声をかけた。


「クロエ、すまない。当分ここには来れなくなったんだ。フレデリクのお茶会には参加するからその時にまた話をしよう。今日はお祝いを言いに来ただけだから」


え?もう帰るの?


少し驚いてる自分がいた




「え?もう帰られるのですか?もしかして父上が来てるからですか?」

フレデリクは申し訳無さそうに第一王子様に話しかけた



優しく微笑んだ、第一王子様は



「それもあるが、今はいろいろ諸事情があって、動けないんだ。申し訳ない」



「そうですか」



「クロエ素敵な誕生日を」

そう言って第一王子様は私の頭をポンポンと撫でて、帰って行った。




本当に少しよっただけで、私達以外の誰にも会わずに。



イザベラ様が

「嵐のようでしたわね」




そう、そんな感じ。



何だか物足りないと思ってしまった。




もう少し、もう少しだけ第一王子様とおしゃべりがしたかった。




胸の奥が少しツキンと痛んだ。





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