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無知な令嬢に罪があるのなら真実を明らかにしましょう  作者: NALI


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第40話 疑わしいティセット

僕が指さした先のティセット



セドリック様はあわてて駆け寄った。


「何か混流しているのか?」


「まだ調べていないので分かりませんが、妙ですよね」


「誰が持って行くように命じたのかわかるか?」



「はい。セドリック様のご依頼と言っておりましたが、ここまで持ってきたのはメイドのリリー、それを頼んだのは執事のレックス、です。まだ裏付けを取っていませんのでまだ二人を怪しむのは早いかと思います」


「ルディスがいなくなってすぐに……ルディスを怪しいと思うか?」


「いえ、ルディス様のお手紙をこの目で見ましたがルディス様がおっしゃるように、実家からの手紙と判別するには難しく、セドリック様への相談のあとでも良いのではと、ご本人様もおっしゃっておりました。ルディス様は大丈夫かと思うのですが、もしその手紙がルディス様をだます物であった場合、ルディス様が危ないのでは?」


「それは、大丈夫であろう。この屋敷に勤めるものは皆、武術を心得ておる。自分の身は自分で守れるであろう」


「そうですね。ではセドリック様からルディス様を引き離したかったと考える方がいいでしょう」


「そうなればどうなる?」


「そう。このティーセットの中に毒を入れるのも容易くなります。良かったらこのティーセット全てを僕に預けてもらえますか?明日仮病を使って、休みを頂き調べてまいります」



「それは構わないが、毒が入っているかもしれないのであろう?」


「わかりませんが用心に越した事はありません」




「毒が入っていたと過程して私が飲まなかったら犯人が気づかれたと思いにげるのではないだろうか」


「その可能性はありますが、逃げた者が1番怪しくなります。ここで働く者たちはみな身元がしっかりしておりますので捕まえることが容易いかと……ただ、専属執事はどうなさいますか?」


「あぁ、それでモーリスに強く当たってしまったのだが、私はまだ公爵の爵位を承ってはおらぬゆえ、ルディスが戻るまでは、誰でも構わないと言ったのだ。そしたらモーリスが次期公爵様に、何かあっては行けないと新しく執事を領地から呼び寄せると言い出して、領地が手薄になるのは困ると、私は言ったのだが・・・」



なるほどそういう事か。


モーリス様はセドリック様を思っての事、セドリック様は領地を思っての事、二人の意見が合わずにセドリック様が声を荒げたわけか。


「ならば私を付けていただけませんか?一応見習いなので、マクシム様を付けてください。そして私の指導も兼ねるためとお口添え頂ければよろしいかと」


「それは構わぬがマクシムは信頼できるのか?」


「まだ私もわかりかねますが、これを機会に明日マクシム様を試してみます。」


そして、私は手紙を書いた。

内容をセドリック様に見せて、

「明日、お城に行った時にルーカス様に渡していただけますか?そしてお屋敷に帰るのは私がお城までお迎えに参りますので、それまでお待ちいただけますか?もちろん執事見習いレオとしてお迎えに行きます」



セドリック様は少し微笑んで、

「うまくいく事を願うよ」


と言った。

「では、時間も遅くなると皆が心配いたします。ディナーに参りましょう。お着がえをお手伝いいたします」


「はは、なんだかもう一人前の執事だな」


すっかりセドリック様はいつもの冷静なセドリック様に戻った。




やはり、ルディス様のお手紙は嘘なのだろうか?セドリック様と引き離して、セドリック様を殺めようと?セドリック様はまだ公爵様から爵位を賜ってはいない。通常は先代が亡くなってから爵位継承が多いが現公爵様はお年を召しておられ、大病を患っていた。だんだん領地で過ごす時間も増えてきている、公爵代理として城での業務が増えてきたのは確かだが、セドリック様が亡くなるのは爵位を継承されてすぐだったと記憶していたが。


しかも、セドリック様は健康である。やはり、前回は毒だった可能性が高いと感じてしまう。

ルーカス様からの情報では、王妃様が毒に侵されていたとか・・・。何とか命は取り止めたが、犯人はわからず。この公爵家も侵入者がいる可能性が高いと言える。


考え事をしながらもセドリック様の着がえをテキパキと手伝う姿はもう一人前の執事だった。



部屋を出て、食事に向かう途中で、マクシム様とすれ違った。セドリック様の後ろについていた僕に気づき、マクシム様は

「セドリック様のお付きはモーリス様ではなかったのでしょうか?レオはもう勤務外ですので、私がご同行いたします。」


そう、僕は今日の任務を終えていたし、このままついていくのは、みんなに怪しまれてしまう存在になりかねない。マクシム様に出会ってなんとなく安堵してしまった。

その表情にセドリック様は気づいたようで、


「そうだったのか、ではレオ、私の部屋のティセットを片付けたら、休みなさい」


「はい。ありがとうございます。」


僕はセドリック様とマクシム様に一礼をして、二人が過ぎ去るのを待った。



誰も近くにいない事を確認して、私はセドリック様の部屋に先ほどのティセットを回収に行った。もちろん、これは明日持ち出して、毒入りかどうかを確認するために。ルーカス様が教えてくれた城下町の医師の家に持って行くつもりだ。


毒がなければそれでいい。


ただ、毒入りだった場合・・・毒味は誰がしたのだろうか。





まずは、明日の状況次第だな。




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