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無知な令嬢に罪があるのなら真実を明らかにしましょう  作者: NALI


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第38話 セドリック様の執事



それから半年経ったとき、公爵家の空気が変わって来たのに気づいた。



セドリック様担当の執事は伯爵家5男のルディス様今年42歳、セドリック様より年上で、セドリック様とは相性がよく、12年前王妃様が嫁ぐ少し前にセドリック様が公爵家の養子になったときから、専属執事を担っている。


ルディス様の実家は辺境地で、ここからご実家まで片道5日間はかかるため、なかなかご実家に帰らなかった。


それが急に実家より至急帰宅の電報が届いた。



ルディス様は、執事長であるモーリス様に

「何でしょうか。理由の明記がなく、差出人は母上ですが、字が荒く本人かどうか確認が取れません」


「ルディスは12年間一度も帰っていないのであろう?」


「はい。私は貧乏伯爵の5男です。爵位はもらえず、騎士団に受かることもできず、ここで拾っていただけなければ私は何をしていたのか想像するだけで恐ろしいです。騎士団を落ちた時から、実家の重荷になりたくなくて、私から縁を切ったのです。私がいなければ少しは生活が楽になりますから」


「そうだったな。だが、実家からの至急であれば伯爵様に何かあったのでは?御母上も動揺され字が荒いのではなかろうか」

モーリス様は凄く心配していた。


「孝行したいときに親がいなければ、意味がない。ルディスよ。休暇を与える。実家に一度戻れ、セドリック様には私から伝えておこう」


「いえ、それでしたら私が夕方セドリック様が帰宅されてからお伝えします。引き継ぎもありますし」

ルディスがそう言うと



「セドリック様のお帰りは遅くなる。実家が緊急であれば、今すぐに出立せよ。遠方なのだから」


「モーリス様、ありがとうございます。では準備してすぐに出立致します。セドリック様によろしくお伝えください」


「あぁ、大丈夫だ」



モーリス様とルディス様の会話を聞いたのは僕だけだった。なぜなら2人が話していた場所は僕が剣術を習っている広場から見える休憩所だったから。

窓をあけて話していたので、声が漏れていた。僕の師匠が素振り1000回を課題に出していたので、剣が重なる音がせず、2人の声が聞こえてしまった。


内容は特に問題はないが、こんな風に誰かと誰かが話す時は聞き耳を立てる。そろそろセドリック様の暗殺か病死かの時期が迫って来ていた。



僕は少しだけ気になって、

指導中ではあったが、少し休憩をもらいこっそりとルディス様に近づいた。




ルディス様がご自身の部屋に戻ったのを確かめてから


コンコンコン

扉をノックした


「レオです。ルディス様、今いいですか?」


「レオ?あ・・・・あぁ構わない。」


そっと扉を開け僕はそっと部屋に入った。



「珍しいな。レオが私に近づくとは。いつもマクシムと常に一緒だからな」


「ルディス様に聞きたい事がありまして」


「マクシムがついてるなら、私が教える事など何もないけどなぁ」

ルディス様は心から言っている。この方は真摯に仕事と向き合っているのが伝わる



「いえ、先程のモーリス様とのお話しが聞こえて、気になったのですが」


「聞こえてたのか?すまない声が大きかっただろうか」


「それほどではありませんが、伯爵夫人様のお手紙見せて頂けませんか?」



「母上のか?」


ルディス様は不思議そうな顔をしたが、相手は9歳の少年。そんなに警戒もなく見せてくれた。



手紙の封筒に封蝋はなく、本当に伯爵家からなのか確かに確証が持てない。



「中の文字は御母上様なのですか?」



「それが、急いで書いたのか、字が乱雑で自信がないんだ。12年間も会っていなかったら文字も忘れてしまうのであろうか」


ルディス様は苦笑いをしながら、荷造りをしていた。


「セドリック様にはご自身でお伝えにならないのですか?」


「私もそう思うのだが、モーリス様が伝えてくださるらしいから、休暇も頂くのに、わがままも言えないから」


「そうですか、ならば一筆頂けませんか。私がセドリック様にルディス様のお手紙を必要になった時にお渡しします」


「モーリス様が伝えるので、問題ないのでは?」


「はい。問題ありません。しかしながらセドリック様の執事はルディス様です。ルディス様から一言もなく屋敷を出られたらセドリック様は驚かれます。モーリス様が上手にお伝えできなかった時の為のものです」


「そうだな。それがいいかもしれない。決してモーリス様を疑ってはいないのだが」



僕はルディス様にニッコリ微笑んで


「はい。なので、手紙の事は私とルディス様の秘密にしましょう。モーリス様が知ったら気分を害するかもしれませんから」



「そうだな」

ルディス様も少し笑って


セドリック様宛に成り行きを手紙にしたためてくれた。


「セドリック様はルディス様の文字をご存知ですよね?」



「あぁ大丈夫だ。毎日見ているから」



だったら大丈夫だな。



セドリック様に関する事はどんな事でも見逃せない。



手紙を預かり

僕は訓練に戻った。




セドリック様に臨時で着く執事が気になる。今、フリーなのはマクシム様、僕、それと2年前ぐらい前に入った平民のレックス様のみ。マクシム様がセドリック様の執事ルディス様の補佐なので通常ならばマクシム様がつくが

レックス様は基本的にこういった臨時の時に入る。

仕事はずば抜けてできるわけじゃないが情に厚くとても親近感が湧く柔らかい感じの方だ。

マクシム様かレックス様どちらかだろうけど。


僕は何だか不安になった。事件が起きて僕は対処しきれるだろうか。剣術も習ってはいるが・・・・・・



レックス様より、マクシム様の方が信頼が持てるが、確かな味方ではない。まだ誰も信じてはいけない




信じる相手を間違えれば、取り返しがつかないのだから。








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