第32話 王妃の暗殺2
急いで城に戻った時には、王妃様の部屋に王様が来ていた。
「王様・・・・・」
私は王様を見て少し安心した。お二人は信頼しているからこそ、今この瞬間にお側にいるのだろう。
「ルーカス!説明せよ」
「ならば人払いをおねがいします。侍女も護衛もこちらの部屋より退室して頂きたい」
王様は少し考え、
「誰1人部屋に入れるな」
その言葉に、皆とシドも一緒に部屋を出た。
シドには、明らかに行動が怪しい侍女はいないか探すよう頼んである。
みんながいなくなってから、久しぶりの親子3人で顔を合わせる。
「ルーカス、説明せよ」
王様は、微笑む事もせずただ事の真相を語れといった。
逆行の事を言っても信じてもらえるはずがないし、一国の王が夢物語を聞く暇もない。
私は言葉を選びながらが、現状を報告した。
「王妃様は健康でありながら、ご懐妊の兆候が見られず、私が気になったのは、王妃様の体調が少し悪いように見えたからです。城の医師がいながら、体調の変化に気づかないのは、変だと思い勝手に城下より診療所の医師を呼んでまいりました。彼の者は城下では腕が良いと評判の医師でしたゆえ」
「で?何もなかったわけじゃないだろう?」
王様の顔は怒りに満ちていた。
「はい。王妃様はまだお若いのですが、ご懐妊出来ないお体になっております。それよりも!毒が・・・・毒が体内に摂取されております。このままでは、命を落とします・・・・」
私が言い終わらないうちに私の瞳から大粒の涙がこぼれていた。
泣いた顔を見られないように下を向いたが
「ルーカス!顔を上げろ!!」
王様は少し大きな声で言った。そしてベッドから立ち上がりツカツカと近くまでやって来た。
私は泣いた瞳を拭くこともないまま王様を見上げた。
「王様・・・・?」
王様はガシッと私を両腕で抱きしめた。
「ルーカス、ありがとう。感謝する」
王様の父親らしい顔は初めて見たかもしれない。
そして頭をぐしゃぐしゃに撫でられ、
「私に出来る事はあるか?」
私は頼もしい王様に安堵を覚えた。
私の涙は止まってはいた。
「いえ、この件は全てお任せください。誰が王妃様に毒を盛ったのか。刺客に王妃様を診察した医師が襲われました。きっと直接毒を盛った者はバレれば殺されるでしょう。黒幕に辿り着くまでは水面下で動きます」
「ルーカスは誰が犯人だと思うか?」
「今はわかりません。カーリー妃が次期王妃の座を狙うならあるでしょうが、彼女は性格がはっきりしています。もし、王妃の座が欲しいなら王様に直接お願いするでしょう」
王様は少し考え
「そうだな。ただ気になる事もある・・・・・私は私で調べよう」
「ありがとうございます。王妃様付きの侍女や護衛全てをこのままでおねがいします。そして、王妃様の信頼できる者と私が信頼するものを追加でお側に置かせて下さい。王妃様の身は必ず守ります」
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それから数日後
王妃様のお気に入りの茶葉から毒は発見された。
茶葉は隣国であるアルホンス国産の物だった。
どうやって手に入れたのか王妃様もわからなかった。
茶葉やお菓子などは毒見はつくが、いろんな方々から贈られる。必ず把握して帳面に記録される物なのだが、これだけは記録がなかった。
誰かがこっそり忍ばせていたんだろう。
そして発覚してすぐに1人の侍女がいなくなった。




