第27話 フレデリクの苦悩、敵か味方か
❄︎••┈┈┈┈••❄︎••┈┈┈┈••❄︎
イザベラが池に落ちたのをアベル様が助けてくれたと、イザベラは言っていたが、ルーカス様に聞いても
何だか言葉を濁したように答えたから
僕はあえてそれ以上は聞かない事にしたが、ミア嬢がなぜそのタイミングで仲良くなったのか、聞けばよかった。
「イザベラ、3年前に池に落ちたのを覚えているか?」
「え?そうですね・・・・・・あまり記憶はありませんが」
だよな。
「たしか、アベル様が助けてくれたと認識しております。アベル様と噂になってはいけないからとミア様がアベル様に変わって私を介抱してくださったんです」
「そうか。ミア嬢に介抱してもらった・・・・・・か」
意外だな。
そんなに優しい少女があんなに意地悪に変化するんだな。
僕はクロエに紅茶をかけた事も爵位の違いで卑下することも許していない。
ただ、イザベラの恩人なら、僕の態度は改めなければならないな。
「そのミア嬢がルーカス様がお前の事を好いていると言ったのか?」
「はい。池に落ちた私を見て、本当の自分の気持ちに気づいたと。ただ、あの頃は幼少でしたので、秘密にして欲しいとミア様が相談されたとおっしゃっていました。だから私は誰にも言わずにおりました。そしたら本当に婚約の話しが出て来たのです!これは真実だったのです」
ん?ミア嬢は何故そんな嘘をつくんだ?
アベル様が関係しているのか?
「でも先日のお茶会で、クロエ様に失礼をしてしまった私にルーカス様が呆れたのです。全て私が未熟だから」
そういったイザベラの瞳からまた涙が溢れてきた。
ああ。イザベラは最初から勘違いしていた。ルーカス様が自分を好きだから自分もルーカス様を好きだと勘違いしている。
イザベラは初恋など経験した事などないのかもしれない。
「イザベラはルーカス様の思いがなければ好きにならなかったのではないか?」
「そんな事ありません。私はルーカス様しか見ておりません」
「そうだな。でも婚約しないのだから、新しく婚約者が決まれば、ルーカス様の思いは忘れなければいけない。わかるか?」
イザベラは首を横に振って
ポロポロ涙を流した。
「ルーカス様は今はただ、心を惑わされているだけなのです」
「誰に?」
「クロエ様・・・・・・・・・」
僕はテーブルをバンっと叩いて立ち上がった!!
「イザベラ!そんな風に言ってはいけない!!」
「お兄様もクロエ様の事を?」
「どこで、そんな話しになるんだ?」
イザベラは洗脳か何かされているのか?自分の現状を理解出来ていない。
そしてなぜ僕まで巻き込まれる?
「だって、ミア様が・・・・・」
またミア嬢か・・・・・・・・・
「イザベラ・・・・・当分ミア嬢に会ってはいけない。いいかな?」
「何故ですか?私はミア様の友人なのですが・・・・」
「本当の友人なら嘘の情報など流さない!」
「嘘?・・・・・・・何が嘘なのですか?」
「今は何を言ったとしてもイザベラの耳には届かない。だから、クロエとも友人にはならなくてかまわない。ただ、考えて欲しい。本当の友人は誰でどんな人物なのかを」
イザベラの頭をポンポンと優しく撫でて
「人を観察しろ、誰が味方で敵なのかを自分で判断できるようになれ」
僕は悲しい笑顔しか出来なかった。




