表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/11

激動

どうもゆゆ色です。

この度は期間が空いてしまい申し訳ありません。

今週は最低でももう1話投稿しますのでそれで許してください。

感想等もありがとうございます!

これからも自分なりのペースで精進していきますのでこれからもよろしくお願いします!


〜〜神條家〜〜



「ったく。何なんだよ急によ」


神條はついさっき電話してきた榊原に対して疑問を浮かべる。

それもそのはず、神條の知る榊原はこんな話をするような人物ではないからだ。


「(野郎…まさか犯罪起こす気じゃねぇだろうな?)」


そんな考えが一瞬頭によぎる神條だが、榊原にかぎってそんなことはないと感じ取り、自分のただの杞憂だろうという結論に至った。


「どうしたの?そんな難しい顔して。何かあった?」


神條が顔をあげると八咫が心配したような目でこちらを見ている。


「いや、なんか急に友達が摩訶不思議なこと言ってきたからちょっとな」


「友達かぁ……いいねぇ」


「いいね……って、おまえ友達いねぇのかよ?そんな打ち解けやすい性格してんのに」


そんな神條の問いに対して八咫は苦笑いをし首を横に振る。


「うん……今は、もういないんだ……」


「あん?それってどういう……?」


神條が八咫に理由を聞こうとしたその時、ピンポーンとチャイムが鳴り響いた。今日は間が悪い日だなと思いながら玄関のカメラを見ると神條はギョッとした表情を浮かべる。

そこにいたのは三人組の警察官だったからだ。

神條は八咫の方をチラッと見ると察したのか少し不安そうな顔をしている。

少し隠れてと神條は八咫に促すと玄関に向かい、恐る恐る扉を開ける。


「……なんでしょうか?」


「すいません。今ここの地域に凶悪なホルダーが潜んでいるという情報がありまして……この写真の子に何か心当たりはありませんか?」


警察官はそう言うと一枚の写真を渡す。

警察官が見せてきた写真には八咫の姿があった。


「(……そういうことか)」


どうする?と神條は悩む。

ここで八咫のことを正直に話して引き渡してしまうか?

普通はその判断が正しい。

寧ろ見ず知らずのボロボロの少女を警察に言わず匿っていること事態が可笑しいのだ。

だが……


「悪いですけど知らないですね」


彼は嘘をついた。

神條の頭にあの時の彼女が思い浮かぶ。

ボロボロになり倒れ必死に警察への連絡を拒否する彼女の姿を思い出し彼女を渡してはならないと神條の脳が信号を送っている。

警官はそうですかと言うと写真をポケットにしまいそして、腰にかけてある拳銃を神條に突き付けた。


「な……!?」


あまりの一瞬の出来事に神條は呆気に取られる。

そして撃たれるかもしれないという恐怖が神條の身体をじわじわと包み込んでいく。


「二、三時間ほど前です。街の防犯カメラの中にあなたが彼女をおぶっている映像がありました。あなたは彼女を連れてこの自宅であるアパートに入った所も確認済みです……場合によっては発砲許可も出ているんだ、ではもう一度問おう、彼女は…八咫眞尋は何処にいる…!」


「(こ、こいつらやばい…!!本当に撃つ気じゃねぇかよ!?な、なんで?どうしてホルダーを庇っただけでこんな……!?)」


確かに野良ホルダーを庇い罪になった者はいる。

だがそれは何十人も殺害した凶悪犯の場合であるし、そうだとしてもその場で発砲とはならないはずなのだ。

なんで、どうしてという疑問と死ぬかもしれないという極限の恐怖が混ざり合い咄嗟に言葉が出た。


「八咫ぁ!!逃げろぉ!!」


「っ!貴様ぁ!!」


警官は安全装置を外し神條を狙撃しようとする。

何故自分ではなく、八咫のことが口に出たのかは分からない。だが、彼は心の何処かで何故かよかったと思っていた。

ここまでかと悟り、神條はスッと目を瞑る。


「伏せて!!」


八咫の声が聞こえると同時に反射的にその場に屈んだ。

するとバオッ!!という轟音を轟かせ強烈な衝撃波が警官たちを襲い、彼らは吹き飛んだ。

倒れ込んだ警官たちはピクリとも動かないことから意識を失っていると判断出来る。

そんな光景を見て口をパクパクさせていると、八咫が神條の首根っこをグイッと掴むと地面をダン!と強く蹴り、空に向かって飛翔した。

その速度はロケット並みの速さで、すぐさま近くのビルの屋上まで二人の身体は飛び上がった。


「ぎぃゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」


あまりの高さと急展開に神條はただ叫ぶしか出来ない。

だがそんな神條を気にすることなく、八咫は風を操り神條を抱えたまま高速で飛行する。

下を見るといくつものパトカーが彼らを追っており、横を向くと無人ヘリが四機ほど彼らを追跡している。

そのヘリをよく見るとレールガン型のガトリングが装着してあった。


「ちょっと待てって!?嘘だろぉ!!??」


「悠々真ごめん!!歯を食いしばってて!!」


神條たちの読みはズバリ当たり、四機のヘリから無数の弾薬が音速を超えた速度で四方八方から襲いかかる。

八咫は下に滑空しながら的を絞らせないようにアクロバティックに動き、紙一重で避けていく。

ズガガガガガガガガ!!!!と周りの建物にまで被害が及ぶがそれもお構いなしにヘリは銃弾を乱射してくる。


「うっわぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!???」


「くっそ!しつこいなぁ!!」


八咫はヘリの方へ身体を向けて手を天にかざす。

すると、バチィ!!と雲からいくつもの雷撃が八咫の手元に集まっていく。そしてそれは一本の槍と化しヘリへと標準を合わせる。


「つら…ぬけぇ!!」


四つのヘリが重なった瞬間、八咫の叫びと共に雷槍は光の速さで発射されヘリを一瞬で貫いた。

そして風穴を開けた四つの巨大なヘリは空中で爆発し、鉄屑の雨を地上に降らした。

そしてそれは下から追跡していたパトカーの目の前に落ち、追う道を封じた。

その隙に八咫は近くを走っていた列車の上に倒れるように着地する。


「はぁはぁはぁはぁ……ここまでくれば大丈夫かな?」


「し、し、死んだかと思った……」


八咫は異能の使いすぎか体力が思ったより消耗している。そして神條は腰を抜かし、魂が抜けたような顔をしていた。

とりあえず一安心だと安堵している二人はまだ気づかなかった。

まだあれ以上の存在が今なお彼らを追っていることに。



〜〜とあるビルの屋上〜〜



「はぁ、やっぱ無人ヘリじゃ歯が立たないッスね」


五十嵐はため息を漏らしながら肩に背負ってるギターケースを開ける。

そこにはスナイパーライフルが入っていた。

隣にいる雨宮は墜落したヘリの残骸を見て感心していた。


「それにしてもすごい……あんな高精度な異能の操り方初めて見たかも」


「全く、異能自体もキョーリョクなのに使いこなすとかやめてほしいッス」


「はははっ……だね」


愚痴を言いながらも手慣れた手つきで狙撃の準備をする五十嵐。そして、弾をこめ終わるとよしっと立ち上がり、ライフルを構える。


「準備完了ッス」


「うん、こっちも大丈夫だよ」


「そんじゃお仕事としますかみこっちゃん」


「了解!」


眼鏡をかけて雨宮はすうっと息を吸い込み、そして叫ぶ。


「異能力、全能解析(フルアナライズ)!」


その瞬間雨宮の瞳が青く輝き、その視界が広がりにありとあらゆるデータが見える。

雨宮命の異能力〈全能解析(フルアナライズ)〉。

それは視界を拡張し、生命や建物、物質全てをデータとして解析できる能力。

敵の異能力やその本人すら分からない心の奥底でさえも解析可能。

さらには解析を進めることで無機質な物であれば自分のように操ることもできるのだ。

雨宮は莫大なデータを次々と分析して八咫の行方を追っていく。

解析し、解析し、そしてものの数秒で。


「見つけた!!十キロメートル先のあそこを走ってる電車の四号車の上にいるよ!!」


「りょーかいッス!!」


報告を受け取ると五十嵐はスコープを覗き込み、すうっと息を吐き指を引き金にかける。

スコープに八咫の頭が映るとすぐさま引き金を引き、


「異能力!不可避の追跡(インビシブルチェイス)!」


緑の波動を纏った弾丸がその銃口から放たれる。

不可避の追跡(インビシブルチェイス)〉。

五十嵐鈴音の異能であり、この異能に付与された物体は彼女が認識した物に確実に当たるようになる。

さらにその物体はどんどん加速し続け、さらにターゲットに当たるまで絶対に壊れることはなくなる。

言わば必中の異能力である。


「さてと、お手並み拝見ッスね」


「……だね」



〜〜電車の四号車上〜〜



バンッ!!と狙撃の音が聞こえると同時に緑色の弾丸がこちらに迫ってきた。


「くっ!」


八咫はまた神條を連れて飛翔し、距離を測る。

弾丸はギリギリ八咫の身体を掠めようとするが通りすぎていく。

だがその瞬間、弾丸はクイッとこちらの方に向き直り、また八咫に向かって襲いかかる。


「はぁ!?」


「うそでしょ!?」


八咫は方向を変えて弾丸から距離を取ろうとするが、弾丸は生きているように方向を転換し、彼女を狙ってくる。

そして弾丸はどんどん加速し続けていきキュイイっと音が聞こえるほどに回転が増していき速度も上がっていく。


「だったらこれなら……!」


八咫は鉄橋をジグザグに沿うように飛行する。

すると、弾丸はガキンッ!!とニブイ音を出して鉄骨にぶつかった。

だが弾丸は壊れることはなく、さらにさらに加速し続けまるでドリルのように鉄骨を貫いて八咫を再び追ってくる。

八咫は舌打ちをすると今度は微弱の電気を手に集め短剣のようなものを作り、それを弾丸に投げつけた。

だがそれも意味をなさず弾丸は壊れることなく追い続けてくる。


「(自動追尾型の異能!?しかも減衰無しで弾丸も壊れないってチートじゃん!)」


あまりの現実に頭が痛くなる八咫。

どうすれば逃れるのか考えていたその時だった。


「グッ……ガッ…………!!」


高速で移動する負荷に耐えきれず、神條は意識を失ってしまいさらには八咫の手が滑ってしまい、神條の身が空へと投げ出されてしまったのだ。


「ッ!?悠々真ぁ!!」


すかさず八咫は手を伸ばそうとするが、だがもう弾丸は目の前まで迫っていた。

このままでは弾丸は八咫を直撃してしまい命に関わる重傷を負うかも知れない。

だが、ここで回避してしまうとその時の衝撃で神條は吹き飛んでしまい湖に落ちてしまう。

しかも地上からは結構な高さがあるいくら水だといっても無事では済まないだろう。


「そんなの……決まってんじゃん!!」


だが八咫は迷うことなく神條の手を掴んだ。

その瞬間、ドシュ!と鈍い音と共に八咫の胸の辺りを弾丸が貫いてしまった。


「かはっ……!!」


血反吐を吐き、朦朧とする意識の中でも八咫は神條を抱き寄せて出来るだけ彼に負荷がかからないようにする。そして、ドボォン!!と湖の中に二人の姿は消えていった。


「(絶対に…死なせなるもんか……!!」


水中で息も出来ず消えゆく意識の中、八咫は神條をさらに力強く抱きしめる。

八咫は警官に詰め寄られていた時の神條の事を思い出していた。


『八咫ぁ!逃げろぉ!!』


あの言葉が聞こえた時、あの時、八咫は自然と涙が出てしまっていた。

あの時、自分のことも顧みず彼は八咫のことを真っ先に心配してくれた。

それだけで良かった。

それだけで救われた気がした。

それだけで、彼を救うには十分な理由だった。

正直、会って二時間くらいしか話してない者なのにこんな感情を抱くのはどうかと思う。

正直、自分は可笑しいくらいちょろいなぁとも思う。


「(あ………り、…が……と………………)」


そして、彼女の意識は暗闇の中に消えていった。



〜〜???〜〜



ツカマエタヨ


「(ああ…またここか)」


暗いもやが支配する世界。


もう嫌というほど味わってきた地獄。


ジャア、ヒトツニナロ


もやが私をまた飲み込もうとする。


いつもならこのまま逃げるが、


「うん……いいよ」


ホントニ!

ヤッタァ!

ナロウナロウ!!


何故だろうか?


もうどうでもいいと思ってしまう。


疲れてるのかな?


でも…もういいや……


「………だ」


「へ?」


誰?


誰なの?


「………って…い」


ダレ?

ナンカキモチワルイ!

キライキライキライキライ!!


もやが突如として暴れ出す。


その姿は駄々をこねている子供のようだった。


私は後ろを振り向くとそこには小さな光があった。


「そこに……いるの…?」


ダメ!!

イッチャダメ!!

ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダ!!


「………戻ってこい!」


聞こえる。


近づくたびより聡明に聞こえる。


何処か暖かくなる声。


お父さんでもお母さんでもない……そう、これは。


「八咫!!戻ってこい!!」



〜〜古びた施設〜〜



「……はっ!!」


八咫が目覚めるとそこはまるで病院の手術室のような場所だった。

部屋は薄暗く、豆電球も切れかけており、蜘蛛の巣までできていてとても薄気味悪い。

よくよく身体を見ると手当が施されており、身体の調子もすこぶるいい。


「そうだ!悠々真!?」


思い出したかのように辺りを見渡すと隣のベッドに彼は寝ていた。

スゥスゥと寝息を立てていることから生きてはいるようだ。


「良かった…!本当に良かった…!」


「うんうん、こちらとしても良かったよ」


「ッ!?誰!?」


声のした方に振り向くとそこにはすごい隈をした白髪の美人な女性が手を叩いていた。

彼女はジャージの上に羽織るように白衣を着ており、そこのポケットからタバコを一本取り出すとそれを此方に差し出す。


「いるかい?」


「いりませんよ!?私未成年ですし!!」


「ははっそんなにツッコむ余裕があるなら大丈夫そうだ。いやー本当に良かったよ、何せまともな治療なんて久しぶりだからさ」


そういうと女性はライターでタバコに火をつけて一服する。何というかとてもマイペースな女性だなと八咫は感じた。


「……あなたは一体?」


八咫の問いに彼女はニヒルに笑いながら腕を広げこう口にした。


「あぁ自己紹介が遅れたね。私は葉山桐絵(はやまきりえ)。まぁ簡単に言ってしまえば…八咫眞尋くん。キミが狙われてしまった理由の元凶と言えばいいのかな?」


あまりの衝撃的な言葉に八咫は言葉を失ってしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ