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「なぁどう思う?」

 山岸が日比野に再び問いかけた。日比野はビールを口に運び一気に喉奥に流す。流しながら先程湧き上がった熱を冷まそうとする。冷静にならなければ自分が馬鹿を見る。馬鹿を見るとは現実的を見せつけられ、自分がみすぼらしくなるだろうと言う意味だ。

 自分は小説家である。だが現実は山岸の様に週刊誌に連載している漫画家ではない。自分は世間に対して小説家と言っているが実情はウェブコンテンツに載せて小さな金銭を稼いでいるそんな小裴の身だ。有名な小説公募選考にも一度も残ったことが無い。だが実力はあると思っている。何故なら目の前にいる山岸とは同じクリエーター学校ではあったが、自分の方が彼よりシナリオでは抜群に良く、その頃は幾つかの賞も取っていたからだ。才能で言えば自分の方が上だという自負が三十台を迎える自分の心の内に今でもある。だから時が来れば『いづれは』と思っているのだ。

 だが山岸が放った問いかけはまるで今の自分の状況を端的に示している嫌味にしか聞こえなかった。山岸本人にどういう意図があったかは分からないが、それはそれとして


 ――嫌味なことを言いやがって


 と瞬時に思った。


 そう思ったが、しかしそんなことはお首にも出さない方が良い。努めて冷静を保つことがこの場での自分の自尊心というか尊厳を保つ最善の方法だと気づいたのでビールで熱を冷ました。

 グラスを置く。それから首を軽く回して窓の外を見る。外は夕暮れに染まり始めている。


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