プロローグ 人と獣の宇宙
初投稿です。不慣れな点も多々あるかと思いますが、よろしくお願いします。
今できている所まで、一日置きに投稿していきます。
それは、『人』と『獣』の宇宙だった。
遥か昔、無数の恒星系にまたがる宇宙を支配していたのは、後の世において『神』と称される、超越的種族たちだった。そしてその神が滅んだ後、宇宙は、彼らから枝分かれした二つの種族が、その覇権を賭けて争うための舞台と化した。
彼らは種としての繁栄のために互いに、あるいは個としての生存のために同族どうしで、日々宇宙のどこかで、無数に争いを繰り広げ続ける。
その激しい闘争の中で、人が獣に対抗するために作られた国家という共同体が、無数に生まれては滅びていく。無数の国家、無数の主義、無数の思想が生まれては滅んでいき、やがてその長い淘汰の果てに、現在人類社会を構成する、三つの国家が残った。
それは、人と獣の宇宙だった。
同じ超越種族から枝分かれした二つの種族が、互いに繁栄と生存を賭けて終わらない争いを繰り返し続ける、生存競争の宇宙だったのである。
時は、人暦一〇一〇年。
後の近代型国家のモデルとなる、一つの帝国の建国によって、人類社会全体に革命がもたらされてから、千年以上が経過しても、なお。
二つの種族は、飽くこともなく争いを続けていた。