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異世界獣人記 〜亜人の栄光を取り戻せ!〜  作者: ロール
第4章 敵か、味方か、それ以外か
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第75頁 団長の独断

今回はいつもと比べてテンポが早いと思います。

報告を受けた後、レオ達はすぐにケントルクス内に戻る。


「お帰りなさいませ。」


建物内で家事をしていたルミナがすぐさま出迎える。


「ただいまっていいてえとこだが、直ぐに出る。」


「どちらまで?」


「北の森だ。人間がこっちに向かってるらしい。俺とミアの2人で行くから、ルミナはその間の留守を頼む。エリンにも伝えとけ。」


「わかりました。」


「レオ、俺はどうすればいい?」


「吾郎はそうだな…一応陽動を警戒して、街の周りを任せる。」


「了解だ。」


「じゃあ、私はレオについてこうかな。」


いつのまにかその場にいた美月がそう言った。


「別にいいが…俺の方か?」


「だってレオ、喧嘩売りそうだし。それを止める人は必要でしょ?」


レオはそれを聞いて露骨に嫌そうな顔をする。


「…まあ好きにしろ。止められるつもりはねえがな。じゃあ行くか。」


「行ってらっしゃいませ。」


さっきまでいたレオ達の姿は、一瞬で見えなくなった。


________________________________________


レオがケントルクスを出る数十分前……。


「どうします?副団長。」


2人の人間を捕捉した後、2番隊の隊長が副団長であるブレッドの指示を煽る。


「そうだな、ひとまず周囲を警戒したまま囲むように監視して欲しい。それと、5番隊の飛行部隊は陛下と他2つの街に報告を入れてくれ。」


「わかりました。部下達にそう伝えてきます。」


「…んー。絶対ばれてるよねー。」


森の奥を覗くようなポーズをとったまま、団長のメリシアが呟いた。


「まあ、だろうな。仕掛けてこないってことはあっちも最初から戦うつもりではないんだろうが…。」


だからこそこちら側からも下手に仕掛けることもできない。レオの指示がない限り、敵を増やすようなことをしてはいけない。そういう意味でブレッドはメリシアに言葉を返したつもりだった。が、


「…ちょっと行ってこよっかなー。」


「…は?」


「今から1人であの人達の所にいってくるねー。」


「いや、おい、待て!」


「来て欲しかったら合図するから、他のことはよろしくねー。」


「ちょっ…。」


ブレッドの制止を振り切り、メリシアは森の奥へと消えていった。


「どうすんだよ、全く…。」


メリシアの勝手な行動に、ブレッドは頭を抱えるのだった。


________________________________________


「思ったより遠いやん…ちょっと足疲れてきたわ。」


ミセルニアスに向かう2人の人間のうちの1人、光の勇者である朝比奈なずなが不満を漏らす。こちらも下手に相手を刺激しないように、森に入ってからはゆっくりミセルニアスに向かって歩みを進めていた。メリシアの言う通り、騎士達の存在には気づいている。


「回復魔法使いましょうか?少し楽になりますわよ。」


なずなに同行する中学生くらいの年齢の少女が言葉を返す。その年齢と軽めの服装にしては、かなり品があるように見える。


「ほなアイリス、お願いしてもええか?」


「勿論ですわ。」


アイリスと呼ばれた少女は歩きながら無詠唱でなずなに回復魔法を掛けた。


「おお、ほんまに楽になったわ…おおきに。アイリス連れてきて正解やったわ。まあアイリスがおらへんと別の意味で困るんやけど。」


「どういたしまして。けど…他の方達は連れていかなくてよかったんですの?2人では危険な気がしますけど…。」


「話にいくのに、そんな人はいらんやろ。あまり人が多いと向こうの警戒も強くなりそうやし。それにいざピンチになっても、2人の方が逃げやすいやろ?」


「確かにそうですわね。でも、あの方達が後で知ったら文句とかいいそうですわ。」


「そんなん無視しとけば…アイリス、一旦止まるで。…やばいのが来る。」


話をしながら歩いていたなずなが、こちらに向かってくる気配に気づく。やや遠くから、わざと足音を出しながら、メリシアが姿を現した。


「…随分とわかりやすいお出迎えやな。あんた、何もんや?」


「初めましてー。私はストラビア王国騎士団長、メリシア・ディマートだよー。よろしくねー。」


「騎士団長…ねえ。それってどれくらい偉いんや?」


なずなは探りを入れる。


「そうだなあ…まあまあ偉いと思うよー。王様ともちょくちょく話したりするし。」


「そうなんや…やったら話が早いな。その王様の所まで案内してくれへんか?」


「うーん…。いいよー、貴方達、只者じゃなさそうだし。って、言ってあげたいところだけど…それが言えたら、騎士なんて仕事やってないんだよねえ。だから…。」


メリシアは左腰にある剣を抜き、それを上に放り投げて左手でキャッチする。


「私に勝てたら、案内してもいいよー。」


「…嫌やっていったら?」


「えーそれは…ちょっと困る…かなあ。」


言葉とは裏腹に、メリシアから一瞬殺気が漏れる。2人ともそれを感じ取り一歩後退する。


「勇者様、どうしますの?」


「せやな…やった方が良さそうや。アイリスはちょっと離れとき。」


「わかりましたわ。」


アイリスが距離を取ったのを確認してから、なずなは聖剣を呼び出す。


「…始めてええか?」


「いいけど…1人でいいのー?」


「アイリスはあんまり戦うの得意やないからな。けど、それ以前に…。」


なずなは一瞬で距離を詰め、メリシアに向かって剣を振る。メリシアも反応して剣を合わせたため、鍔迫り合いの状態になる。


「ちょっとうちのこと、舐めすぎてへんか?」


「あはは、そんなことないよー。」


これを皮切りに、騎士団長と光の勇者の戦いが始まるのだった。














この2人を戦わせようと思った理由はなんとなくです。まあ強いて言うならメリシアさんの出番少なかったし。


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