第74頁 出身が同じ3人
すいません。シンプルに忘れてました。というか既に上げたものだと思ってました。後毎週投稿しんどいっす。ほんと上げてる人よく上げてるなって思います。
勇者達のために作られた建物には、会議室だけでなく、それぞれの個室もある。3人の勇者の移動先は、渚の個室だった。
同じソファに3人で座ると、渚が最初に口を開いた。
「この世界に来てから、3ヶ月くらい経ったと思うんだが…どうだ、なず。そろそろ慣れてきたか?」
なすなだけでなく、勇者達は全員この世界の出身ではなく、召喚魔法によって別の世界から召喚された者達である。なずなはこの世界に来て3ヶ月ほどしか経ってないが、他の2人は5年以上前からこの世界に来ている。
「あー、せやな。心の整理もついてきたところや。」
「召喚されて最初の方に会った時は、ショックというか、どうしたらいいかわからないって顔してましたからね。もう大丈夫ですか?」
渚やなずなにはちゃんと話せているあたり、彩葉が2人には心を開いていることがわかる。
「あの時は心配かけてしもた…正直まだ納得いってへん所はあるけど、今はもう仕方ないことやって割り切っとる。だからもう大丈夫や。」
(落ち込んでたんは、召喚されたのが理由やないんやけどな…。)
「せやけど、なんでそんな優しくしてしれるん?うちらは別に仲間やない。国同士の都合によっては敵同士になるかも知れんのに。」
「そりゃあ、あたし達は似たような境遇だから、他人だとは思えねえんだよ。実際、あたし達とは違う世界の人だらけで生活する中で、彩葉みたいな同じ境遇の奴がいるっていうのは心の支えにもなってたしな。」
「それに、私達の国同士は結構仲が良いはずなので、急に敵対ふるってことはないと思いますし…。私達は同じ地球出身でもあるので、余計に親近感があるんです。」
「あー、不知火はんとあのチャラ男は、うちらとは違う星出身なんやっけ…。そういや、闇の勇者ってのはどこ出身なん?」
闇の勇者が会議に来なくなったのはおよそ1年前…すなわちなずながこの世界に来る前なので、なずなは闇の勇者のことをほとんど知らない。
「一応、その人も地球出身ではあるんですけど…。」
彩葉がチラッと見た先には、闇の勇者の名を出した途端急に不機嫌になる渚の姿があった。
「渚はんに悪いし、この話はここまでにしよか。」
(正直何があったかは気になるけど、聞ける雰囲気やないしな…。)
「それで、なずは亜人の街に調査に行くんだったな…流石についていくことはできねえけど、何かあったらすぐあたし達のスマホに連絡してくれ。その時はぜってー駆けつけるから。」
異世界に本来携帯の電波なんて届いてないのだが、彩葉の改造によって、魔法で連絡が取れるようになっている。
「わかった、その時はそうさせてもらうわ。あれ、2人の連絡先ってどこに書いたっ………。」
連絡先を確認しようとスマホの画面を開いたなずなが、急に画面を見たまま静止する。
「…な、なずなちゃん?大丈夫?」
「…はっ。ごめん。ぼーっとしてしもた。」
「急に何も言わなくなるから、びっくりしましたよ。」
「何かあったなら、話してくれてもいいからな?」
「大したことあらへんから大丈夫や。ちょっと懐かしんでただけやから。」
「そうか、ならいいんだけどよ。そうだ、この前あたしの国であった話なんだが…。」
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勇者会議から数日後、レオ達は何をしていたかと言うと…。
「はい、俺の勝ち。」
「ぐっ、魔法有りだと全然勝てねえ…。」
基本的に、ずっとミセルニアスで待機していた。別に外に出るのを面倒くさがっていたわけではなく、下手に人間や魔族のいる領域に足を踏み入れると、想定外の敵対などをする可能性があるため、ミセルニアスであちら側からの接触を待つのが最も合理的であると判断した故の待機である。
ちなみにレオと吾郎の対決以降、同じような事をまた何度もするようになり、その際にルールを少し変えるのだが、魔法無しにすると吾郎が勝ち、魔法有りにするとレオが勝つというわかりやすい結果になっている。
「お前とこうして戦うのも面白えんだが…なんか物足りねえな。」
戦いが終わった瞬間駆けつけてくるミアを抱き上げながら、レオが呟く。
「まあ、このルールだとできることも限られてくるし、立ち回りのパターンとかもわかっちゃってるからな。」
「流石にちょっと飽きてきたのかもな…。せめて、遠慮なく殺し合いとかができれば、また違うんだろうが…。」
「それはシャレにならないからやめとけ。そういや、ドローンってどうなったんだ?」
ドローンとは勿論彩葉のドローンのことを言っている。彩葉は全部破壊されたと言っていたが、実際には1つだけレオの魔法で破壊されたと誤認させて回収したドローンがある。
「調べたけど、あれはすげえな…見たことない魔法技術がいくつかも使われてたし、そもそもドローンって時点で気になる点がたくさんある。」
「俺達以外にも地球から来た奴がいるってことか?」
「多分な。作った奴に会ってみてえところだ。とりあえずケントルクスに戻るか…ん?」
レオが空の方を見ると、鳥人族の女がこちらに向かって飛んでくる。騎士団の5番隊の中にある部隊、飛行連絡部隊である。そのままレオの近くに着地して跪く。
「報告です。北の森より、2名の人間がこちらに近づいているとのこと。現在2番隊と団長方が包囲しています。」
「わかった。ご苦労だったな。さて…どうしたもんか。」
そういうレオの顔は、どこか楽しげだった。