第61頁 レオの返答
一応前の話の続きなので、前の話の内容を忘れた方はそっちから見ることを推奨します。
「私と…結婚してください。」
エリンのその一言に、レオは少し黙り込む。
そのたった数秒が、エリンにはとても長く感じられた。
やがて、レオの口が開く。
「…断る。」
「…そっか…うん、そうだよね…なんとなく、そんな気はしてた。ごめんね。こんなことに時間を取らせて。」
「いや、別に気にする必要はねえよ。」
「…いつ、レフィーエを出て行くの?」
「そうだな…まだ全員に加護の付与は終わってねえみてえだし…3日後ぐらいにここを出るつもりだ。」
「…そっか…。」
2人の間に、微妙な空気が流れる。
「ねえ、レオ君。」
「今度はなんだ?」
「…私もついてっちゃ…駄目かな?」
「あ…?プロポーズならさっき断ったはずだが?」
「そういうことじゃなくて…。」
「じゃあ、どうしてついてきたいんだ?」
「それは…レオ君に恩返しがしたいから…。」
「恩返し…か。」
レオは少し考える。
「…駄目…かな?」
「…まあ、そんぐらいならいいぜ。」
「本当に?」
「言っとくが、俺の役に立ちてえのなら、それなりの覚悟はしとけよ?」
「え?う、うん…何か怖いんだけど。」
「それと、出発までに準備と挨拶は済ませておけよ。じゃあな。」
そういってレオは部屋から出た。
「…馬鹿だな、私。」
1人残ったエリンは、小さく独り言を漏らす。
「振られたばっかりなのに、一緒にいればまだ可能性あるんじゃないかなんて思ってるなんて…そんなわけないのにね。」
諦めきれないような顔を浮かべながら、エリンは部屋の鍵を閉めた。
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レオとエリンが話をしていた時、吾郎と美月がレオの部屋を訪ねていた。
「どうかなさいましたか?」
ルミナが応対する。
「レオに話があったんだけど…ここにいるか?」
「レオ様なら、エリン様のお部屋を訪ねていらっしゃいますが…宜しければ、こちらでお待ちになりますか?」
「いや、そこまで大した話じゃないから…。」
吾郎は断ろうと思ったが、
「そうさせて貰おうかな。ね?吾郎。」
美月がそれを遮って部屋に入ろうとする。
「(どういうつもりだ?美月。)」
「(そういえば、レオがいない時にルミナちゃん達と話したことなかったなって。)」
「(言われてみればそうだな。)」
「…どうぞお入りください。」
部屋には勿論、退屈そうにレオを待っているミアがいた。
「ミアちゃん、おはよう。」
「…にいやの前世の…。」
「そうだよ。私が美月で、こっちのごついのが吾郎だよ。レオが戻ってくるまで私達と話さない?」
「…別にいいけど…。」
レオが吾郎達のことを家族のように思っているのは知っているため、ミアも普通に接する。
「じゃあ…そのぬいぐるみって、大事なもの?」
ミアはレオ様人形を抱きかかえている。
「…うん。誕生日の時に、にいやがプレゼントしてくれたもの…にいやがくれた物は全部大切だけど、これはにいやが作ってくれたものだから、特に大事。…最近までしまっていたけど。」
ミアは嬉しそうにその事を話す。
「…そのぬいぐるみってレオお手製なのか。確かにあいつ、昔から無駄に器用だったよな…。」
「昔から…?昔のにいやって、どんなだったの?」
ミアが先程と打って変わって興味津々と言った様子で質問する。
「昔のレオか…そうだなあ…。」
吾郎はどこから話そうかと考える。
「あの…私もその話聞かせて貰ってもよろしいですか。」
扉の前で待機していたルミナも気付いたらこっちに近づいている。
「ああ、勿論だ。…まずは幼稚園くらいの頃から話そうか…俺ももううろ覚えなんだけど…」
その後、レオが帰ってくるまで、4人はレオの前世の話で持ちきりだった。
ここで過去回想を入れるか迷いましたがやめときました。理由はあんまり前世に関しては考えてないからです。
この人数ですら処理がきちいと思ってるのに、こっから増えてくるメインキャラとの絡みをちゃんと書いていけるのか…多分無理だな。空気にしよう。