第60頁 告白
タイトルでネタバレしていくスタイル。といってもこの段階まで気づいてない方は中々吾郎じみてると思いますが。これもお約束だと思うので…許して。
翌日の朝、レオは言われた通りエリンの部屋に行こうとしていた。
「…にいや、どこいくの?」
「ちょっと用事があってな。」
「…ミアも行く。」
「あー…悪いな。今回はちょっと留守番しててくれねえか?」
「え…?」
ミアは露骨に残念そうな声を出す。
「…後で何でも言うこと聞いてやるから。」
「…わかった…。」
「じゃあルミナ。その間ミアを頼む。」
「…。」
「ルミナ?」
「…はっ。申し訳ございません。」
「…珍しいな。お前が呆けるなんて。どうした?」
「いえ…私事ですので。」
「そうか…。とにかく、ミアのこと任せたぞ。」
「はい。かしこまりました。」
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「…レオだ。言われた通りに来てやったぞ。」
ドアをノックしながら部屋の中に向かって話しかける。
「はい…ど、どうぞ。」
ドアが空いて、部屋の主がレオを迎える。
エリンが、いつもよりどことなく美しく見える…寝れなかった跡のような目元以外は。
「…遮音結界はいるか?」
「うん、お願い。」
「…ん、張ったぞ。」
「ありがとう。それじゃあ、早速…。」
エリンとレオは部屋の中でお互いに立って向き合う。
「…お父様から話は聞いたよ。レオ君が、私との婚約を破棄するっていったこと。」
「…そうか。」
「その、一応理由を聞いてもいいかな?」
「…親に勝手に決められた婚約者とそのまま結婚するつもりなんざ全くねえからな。そもそも俺がこの町に来た理由の一つは婚約を破棄して貰うためだったからな。」
「…そっか。そうだよね…。」
エリンは少し残念そうな顔をする。
「お前には、少し悪いことをしたとは思ってる。作戦の時に、お前と婚約者という立場を使っておいて、お前の断りもなしに勝手にその婚約をなかったことにしたからな。」
「立場を使うって、何のこと…?」
「…お前と俺が婚約者であることを町でアピールして、敵の作戦の実行を焦らせたんだよ。お前には変な期待させちまったみてえだがな…。」
相手のターゲットにレオ達も含まれているなら、レオがいる時に作戦を仕掛ければいい。それをしなかったということは、レオ達がいない時に作戦を起こすつもりの可能性が高かった。レオは自分とエリンが婚約者であり、エリンをストラビアに連れて行くかも知れないと敵に情報を渡すことで、敵の作戦の実行をレオが一時的に帰っている時に限定させた。その中でいつ行動を起こすかは完全に根拠のない読みであったが。
「それに、本当は防ぐこともできたが、早くお前の魔眼に掛けられた呪いを解くために、わざと呪いを発動させるように誘導した。」
「…!?」
「要するに…お前が思っているほど、俺はいい奴でも優しい奴でもねえ。」
エリンは、レオがどういう意図で今このことを言っているか、なんとなくわかっていた。でも、いやだからこそ、
「…ううん。レオ君は優しいよ。だって、そんなことしようとしてまで、私を助けてくれたから。」
エリンは、レオの発言を否定した。
「何ヶ月も、悩んで、恐れて、苦しみ続けていた私を、急に現れて、たった数日で、私の全部を救ってくれた。私にとってレオ君は、ヒーローそのものだったよ。」
「…。」
「だから…ううん。本当はきっと、初めて会った時から…レオ君が私の部屋の扉を開けた時から、私の心の中から、貴方がいなくなることはなかった。」
体の感覚がない。頭の中もほぼ真っ白だ。でも、言わなきゃいけないと、今伝えなきゃ絶対後悔すると、心だけが自分を動かす。
「レオ君…貴方が好きです。だから…。」
緊張して出てこない言葉を、全力で絞り出す。
「私と…結婚してください。」
告白…ってかプロポーズですよねこれ。まあ一応王族と異世界なんでいきなりプロポーズにしてみました。