第58頁 喜ぶ時は、家族皆で
そういえばクリスマスがありましたね。私にとってはほぼ平日みたいなものですが。
季節イベント回的な奴はちゃんと本編完結させてから書くかもしれません…何年後になるやら
次の日、完全回復したエルウィンやエリンと共に、レオ、ルミナ、ミア、吾郎、美月は、エルウィンに案内される形で城の最上階の間に来ていた。
部屋の中央にある杖を置く台座…その奥の壁にエルウィンは手を翳す。すると、壁の一部が扉のように開く。
「…台座は使わないのかよ。」
「作ったの最近だしね…あまり派手な仕掛けを作る余裕はなかったんだよ。さあ、入ろう。」
エルウィンに続いて、レオ達も壁の奥に入る。そこにはもう一つ部屋があり、
「…お母様、お兄様、皆…。」
部屋の中には、石になっているエリンの家族や兵士達がいた。
「うし、早速やるぞ。」
「うん…お願い、レオ君。」
「…『レストレーション』。」
灰色だった家族達の肌は、みるみるエルフらしい
透き通った白い肌に変わっていく。
「おお…すごいな…。」
初めて見る吾郎は感心している。
「…う…ゴホッ…。」
「…お母…様…お母様ぁ!!」
家族達が石の状態から治り、意識を取り戻した直後、反射的にエリンは自分の母親に抱きつく。
「え、エリン?どうしたの急に…。」
まだ状況を掴めず、混乱している。
「良かった…良かったよぉぉぉ!!」
そんなのお構いなしといった様子でエリンは泣きながら抱き締める。
「あ、そっか…私…。」
漸く、自分が今までどうなっていたかに気づく。
「…本当に辛い思いをさせてしまったわね…ごめんなさい、エリン。」
他の石になっていた兄弟達も、エリンの方へ近づく。
「いいの…お母様もお兄様も…皆戻って本当によかったよぉ…。」
「エリンの方こそ…無事で良かった。」
家族で互いの無事を喜ぶ中、家族の中でエルウィンだけが、すごく嬉しそうにしながらも、少し離れて見守っていた。
「…何してんだよ。もっと近づかなくていいのか?」
「いや…なんていうか、私もあそこの輪に入るべきなのか…。」
あの時、エルウィンだけが現場にいなかった…それに、年齢や立場的に、エリンの様に喜ぶのは恥ずかしいのだろう。
「…痛っ!!何するのさいきなり…。」
レオがエルウィンの尻を蹴る。その勢いでエルウィンは前に出る。
「家族の再会を素直に喜べねえ親父の方が、よっぽど問題だろうがよ…。先出てくぜ。キリついたら城の入り口まで来いよ。」
そういって、エリンの家族だけ残して、他の人は部屋から出て行った。
「…あなた。私が不甲斐ないばかりに、あなたにも、辛い思いを…。」
「…気にしなくていい。私も何もできなかったからね…。何はともあれ、無事にこうして話すことができて、本当によかった…。」
「…お父様も、もしかして泣きそう?」
「いや、それは…。」
「お、お父様…ずっ…レオ君の…言う通り…もっと…素直に喜んだ方が、いいよ…。」
エリンがまだ泣きっぱなしの状態でいう。
「う…ありがとう…戻って来てくれて…ありがどぉ…!!」
その言葉とエリンの顔に釣られて、エルウィンも涙を流し始めた。
「…お姉ちゃんもお父さんも、ひどい顔してる。」
「う…うるさぁい。」
その後、2人が泣き止むまで1時間ほど掛かったらしい。
そろそろ昔の回に何を書いたか忘れている頃なんで、その時書いた設定と食い違ってる所がありそう…誤字なども含めてそういった所を教えてくださると嬉しいです。