第47頁 ニート、やめます。
タイトル変えるかも(ちょっといいの思い浮かばなかった)
「…遅え。」
レオが呟く。エリンが予定の時刻から30分遅れているのだ。
「…どうする?置いてく?」
ミアが待ち兼ねたようにいう。2人以外にも、ルミナと吾郎達もおり、割と大所帯である。
「いや、それじゃあ意味ねえんだが…。」
そもそも目的がエリンについて行くことのため、置いていってしまうのは本末転倒である。
「様子を確認してきましょうか?」
「いや…まあそろそろ来るだろ。」
レオの言葉通り、こちらに向かって走ってくる音が聞こえた。走る度に揺れる物体が周囲の注目を集める。美月が吾郎を少し睨むが、吾郎は気付かない。
「ご、ごめんなさ…はあっ…はあっ…。」
息も絶え絶えになりながら、エリンがその場で謝る。
「こんなに遅れるたぁ、いい妥協じゃねえか。」
レオが殴ってやろうかと言わんばかりに拳をならす。
「おいレオ、流石にそれは駄目だろ…それに理由くらい聞いてやれろ。」
「…それもそうだな。エリン、なんで遅れた。」
「…その…たくさん泣いて、レオ君のおかげで、胸の支えも大分とれて…それで、数ヶ月ぶりに、ちゃんと寝れたから…。」
「…つまり、寝坊したってことか?」
「…はい。」
「ほぉ…そうか…。」
レオが威圧的な顔をしながらエリンに近づく。エリンも覚悟して目を瞑るが、
ぽこっ
「あぅっ…あれ…?」
レオから飛んできたのは優しいチョップだった。
「…まあ、逃げなかっただけ上々だろ。言い訳もしなかったしな。」
「レオ君…。」
「ただし、次やったら今の1万倍力を入れるからな。」
「は、はい…気をつけます。」
吾郎や美月も安堵の表情を浮かべるが、
「…もっと強く殴ってもよかったのに。」
とミアだけは不満そうに呟いた。
「…そういえば、レオ君だけじゃないんだね。」
「ああ。こいつらも行きたいっていったからな。…行く前に紹介してやるよ。メイドのルミナ、妹のミア、後は親友の…こっちでの名前忘れた。まあそんな感じだ。」
「よろしくお願いします。」
「…。」
「エリンちゃん…だよね?私がヴィーラで、こっちのデカいのがグリーズだよ!よろしくね!」
「俺の紹介とられた…まあよろしく。」
エリンに対して1人を除いてそれぞれ挨拶した。
「う、うん…よ…よろしきゅ…。あ、噛んだ…。」
「その噛み方はあんまねえだろ…で、どこから行くんだ?」
「…最初は、やっぱり…。」
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エリン達は、魔道具に保存されていた中で最初にルミナと話をしていた声の主…あのおばさんの店の前にいた。
エリンが無意識にレオの服の裾を掴む。
「…どうした?怖くなったか?」
「え…あ、ごめん!つい…。」
慌てて離した手を、レオが掴んだ。
「…不安なら、こうしといてやろうか?」
「…うん、ありがとう。」
ルミナは羨ましそうに自分の手を握り、ミアは少しむっとしていたが、何も言わなかった。
(なんであいつ、ああいうこと平然とできるんだろうな…。)
「…入るぞ。」
「…うん。」
扉を開けてすぐに、店主のおばさん(おばさんといってもエルフのためただの美女にしか見えないが)の姿が目に入った。エリンの手の握りが強くなる。
「いらっしゃい…うん?」
おばさんの方もエリンがいることに気づき、こっちに近づいてくる。レオは掴んだエリンの手を引っ張り、無理矢理前に出す。
「あ…え…。」
エリンは何ていったらいいかわからず言葉に詰まる。おばさんの方も、驚いた表情をしていたが、やがて、
「…おかえり。もう大丈夫なのかい?」
穏やかな表情でそういった。エリンは泣きそうな顔をする。
「…だいま。…ただいま…!」
エリンはついおばさんに抱きつく。おばさんの方も優しくエリンの頭を撫でた。
「…ありがとね。この子を外に出してくれて…この子の心を、救ってくれて。」
「…まあ、ただのついでだ。それに、心を救うだなんてそんな大層なことしてねえよ。」
レオは少し照れたようにそういった。
この日改めて、エリンの引きこもり生活に終止符が打たれたのであった。
吾郎と美月の異世界での名前とか絶対忘れてた人いるよな…あと、ミアの正式名称はミアクリーナです。ただ別にそれ覚えてても何もない(と思う)んで正式名称は別に覚えてなくて大丈夫です。