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異世界獣人記 〜亜人の栄光を取り戻せ!〜  作者: ロール
第3章 森林の国と魔眼の姫
55/93

第44頁 解呪のために③

今回も前話に続いて回想です。…え?なんでこのタイミングで結末わかりきってる回想にしたって?それはね…なんとなくですよ。強いて言うなら書きたかったからです。

「…リン…エリン!」


「んぅ…。」


誰かの呼ぶ声が聞こえて、エリンは目を覚ます。そこには、父以外の家族と、倒れたままの兵士がいる。


「エリン…!大丈夫か?」


兄が心配そうな顔をする。


「あれ…私…。」


意識が覚醒し始め、自分が気絶していたことに気付く。


「ここで何があったの…?」


「それは…。」


母に促され、エリンは自分が気絶する前のことを話した。


「誰かに気絶させられた…その誰かがどんな姿だったかとかわかる?」


「えっと…確か…黒いローブを着ていて…顔はフードを被っていてよく見えなかったよ。」


「…そう。」


流石にその情報だけでは心当たりがないらしい。


「…私と別れてから、どれくらい経ったの?」


「1時間くらいだな。あの後戻ってくる気配がなかったからすぐに僕達も引き返したんだ。」


「じゃあ、そんなに長く気絶していたわけではないんだね…。」


エリンは他の倒れている兵士達と違って外傷はない。そのため目覚めるのも早かったのだろう。


「それなら、まだ犯人が近くにいるかも…。」


「ええ。そう思って、精霊に周囲を捜索して貰ってるわ。それと、城に知らせるために他の精霊を行かせてる。」


(…やっぱり、母様はすごいなあ…。)


母は国を代表する優秀な精霊術士だ。エリンもそれに憧れていて、自分も立派な精霊術士になりたいと思っていた。しかし、エリンには精霊術の才能がなかった。兄には追いてかれ、弟には抜かされ、羨ましいと思いながらも、半ば精霊術を使うことを諦めかけていた。


「…エリン、どうかしたの?」


「…ううん、何でも…!?くぅっ…。」


突然エリンが頭を抱えて倒れ込む。


「お、お姉ちゃん!?大丈夫?」


弟達も駆けつける。


「め、目が…ううぅ…焼け落ちそうだよぉ…。」


「どうして突然…これは…!?」


兄が、エリンの倒れているところだけが灰色になっていることに気付く。


(少し、痛みが引いてきた…えっ…!?)


エリンも足元の違和感に気付く。


「…何…これ…。」


その時、エリンの意思とは無関係に、勝手に顔が上がった。たまたま、視界の中に家族全員が入っていて、家族達はエリンの目の色が灰色に変わっていることに気づいた。


「な…!」


すると、家族達の体の一部が石のように固まり始めた。


「何…嘘…どうして…!?」


エリンはパニック状態に陥る。その間も家族の体は段々石になっていく。


「エリン!…とりあえず目を晒せるか!?」


石になってるのにも関わらず、兄は冷静にエリンに指示をする。


「…駄目!体が動かない…動いてくれない!」


まるで、自分の体じゃないかのように、エリンの体はエリンの意思を拒む。


精霊術では、石化はどうにもならない。そのため、この場にいる誰もどうすることもできなかった。


「誰か…誰か助けてよぉ!」


エリンの叫びも虚しく、家族の体の石化は止まらず、顔以外はほぼ完全に石になりかけていた。


「…!」


母が何かに気づいたような顔をする。やはり、犯人は近くに潜んでいたらしい。


「…お願い、当たって!」


最後の抵抗とばかりに、母は精霊を通して、犯人に向けて中級風魔法である「ウィンドスラッシュ」を放つ。


「…!」


奇襲に成功し、犯人の片腕を切り落とすことができた。犯人はその場から離れていった。


母は一瞬だけほっとして、その後すぐにエリンに意識を向けた。


「…ごめんね…助けてあげられなくて…。」


とても悲しそうな顔をしたまま、家族達は完全に石になった。


「そん…な…。」


視界に広がる灰色の世界を、エリンはただ、石の涙を流しながら見続けることしかできなかった。














弟は顔面から石になってる説。

いやまあ単純に反応に反応を重ねるのがなんかあれだったから弟の会話文書かなかっただけだけどね。

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