表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界獣人記 〜亜人の栄光を取り戻せ!〜  作者: ロール
第3章 森林の国と魔眼の姫
52/93

41.5頁 留守中の春②

前回行った通り今回は小数点回です。レオや吾郎周りじゃ書けないようなラブコメを書けるのが私としても楽しい

「あと2回…1回…よし、これで千回!…はぁ」


相変わらず侵入者なんておらず暇なワンダは、腕立てなどの筋トレをして時間を潰していた。


(いきなり2倍はやっぱりきついな…いい暇つぶしになるけど。ダクト先輩ってこの5倍の量を毎日やってるんだよな…俺も頑張らないと。)


「ワンダさん、お疲れ様です。」


「あ、カディアさん。今から休憩ですか?」


「はい。これ、どうぞ。休憩前に丁度見えたので。」


カディアはワンダにお茶を差し出す。


「ありがとうございます。でも何か悪いな…暇つぶしに筋トレしてただけなのに。」


「お気になさらず。先日のお礼もまだできてませんし…それで、お聞きしたいことがあるんですけど…。」


「はい、なんですか?」


「えっとその…ら、来週の日曜日って、空いてましゅか!?」


(か、噛んじゃった。恥ずかしい…。)


「え、えーっと…?」


ワンダはぽかんとする。


「そのっ、あのっ、つまりですね…先日のお礼に、お食事でもと思いまして…その、来週の日曜日が休みなので…ど、どうですか?」


さっき噛んだこともあって、めちゃくちゃ早口になっている。


(そ、それって…デートのお誘いでは!?)


ワンダにも緊張が移る。


「い、行きます!日曜日なら開け…開いてますから!」


「ほ、本当ですか!?良かったぁ…。」


カディアが不意に見せた笑顔にワンダがキュンとする。


「それじゃあ、詳しい時間や場所はまた後日お知らせします。では、そろそろ仕事に戻りますね。」


お互いのことが見えなくなってから、2人とも同じタイミングでガッツポーズした。


___________________________________


「とりあえず、今日も異常はなかったです。」


夕方までの警備を終え、ワンダは団長達に報告する。夜はまた別の部隊が担当している。


「んー、おつかれぇわんちゃん。」


相変わらず眠そうな感じでメリシアが返事をする。


「はい。それと、1ついいですか?」


「んー?いーよー。何?」


「来週の日曜日に予定が出来たので、お休みを貰いたいんですけど…。」


この世界に日曜日は休みという風潮はない。


「…お前が休みを貰いたいだなんて珍しいな。もしかして、彼女でもできたか?」


ブレッドが口を挟んだ。


「ち、違いますよまだ…。」


ワンダが恥ずかしそうにしながら否定する。


「まだ…?ふーん…。」


メリシアがニヤニヤし始める。


「それでー?わんちゃんが惚れた子ってどんな子なのー?」


「えっと…警備の時にあった王宮のメイドの子なんですけど…その…表情が可愛くて一目惚れしました。」


「そうなんだー。にしてもわんちゃんも恋するんだねー。正直興味ないと思ってたよー。」


余計に楽しそうにするメリシアに対して、ブレッドの表情が少し曇った。


「メイド…か。デートなんてして大丈夫なのか?」


「大丈夫って、何が…あ…。」


そういえば、彼女…カディアの名字を聞いてなかった。


「全然考えてませんでした。大丈夫じゃないかも…。」


ワンダは一瞬、行くのを止めようか迷ったが、


(「良かったぁ…。」)


あの時の、カディアの表情を思い出して、止めようなんて考えが頭の中から消える。


「…それでも行きます。約束しましたから。」


「おー。男だねー。頑張れー!」


「そうか。当日の警備の代理はダクトにやらせる。応援してるぞ。」


2人ともワンダの背中を押すような発言をする。


「ところで、服装とかは大丈夫ー?」


ワンダは目を逸らした。生まれてこの方おしゃれなんて気にしたことがない。


「…土曜も休みにしといてやる。知り合いの服屋に連絡しておくから、そいつにコーデしてもらえ。」


「副団長…!俺、人生で初めて副団長がイケメンに見えました…!」


「…やっぱり俺がコーデしてやろうか、相手が(別の意味で)釘付けになるようなコーデ。」


ワンダは嫌な予感を感じとる。


「え、遠慮しときます。すいません…。」


「まあ、とにかく頑張れよ。」


「はい、ありがとうございます!では、失礼します!」


ワンダが部屋から出て行く。


「…んー。ねえ、先輩。」


メリシアが、ブレッドに対して敬語を使う。騎士学校時代に、メリシアはブレッドの後輩だったため、メリシアが騎士団長になるまでは、今と敬語とタメ口が逆だった。


「どうしま…どうした、急に敬語なんか使って。」


メリシアにつられて、ブレッドの方の口調も昔に戻る。


「久々にー、どっか食べに行きません?」


「どういう風の吹き回しだ?」


「うーん…わんちゃんがデートするって聞いたらー…デートといえばランチとかーディナーとかーやっぱり美味しいもの食べるじゃないですかー?だからー、私も食べたいなあってぇ…。」


「それなら、1人で食べに行けばいいんじゃないのか?」


「それはーなんか寂しいじゃないですかあ…それに、私飲むとすぐ寝ちゃうしい…。先輩なら私のお家知ってるでしょお?」


「なるほどな…。」


(まあ、そういうことにしといてやるか…。)


「…わかった。いつもの店でいいか?」


「うん!先輩大好きー!」


メリシアが後ろからブレッドに抱きつく。昔はよくこうしていた。


「じゃあ、そうと決まったら…。」


ブレッドは慣れた手つきで腕をほどき、


「寝てたせいで溜まってる仕事、早めに終わらせないとですね、団長。」


口調を仕事モードに切り替える。


「…やっぱりあんま好きじゃない。」

 

「さあ、口より手を動かしてください。早く!」


なんだかんだいいながらブレッドも行くのを楽しみにしてる。


「鬼ー、かたぶつー、バカ真面目ー。」


「全く…昔はもっと可愛気があったのに…今ほどだらけてなかったし。」


「…先輩は、昔の私の方が好きですか?」


メリシアはブレッドに上目遣いをする。


「…そうやっても、優しくしないからな。」


「ちえー、駄目かぁ…。」


「別に、そんな大差ない。」


「…そっか。」


その後は仕事が終わるまで、ほとんど会話はしなかった。










最近色んなキャラに本編じゃ書かない裏設定を作り込むのにハマっています。いずれおまけとかにさらっと載せるかも…いや、多分載せないな、うん。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ