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異世界獣人記 〜亜人の栄光を取り戻せ!〜  作者: ロール
第3章 森林の国と魔眼の姫
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第41頁 ニート姫②

「んー!美味しい!」


レオ達と別れた後の吾郎と美月は、露店通りらしきところで食べ歩きをしたりしている。お金はストラビアのものでも良いらしく、レオから沢山貰っているのでお金を心配する必要はない。


「そっちのも美味しそうだな。」


「食べる?」


「いいのか?」


「うん。はい。」


「ありがとう…ん、美味い。俺の方も食うか?」


「うん、ありがとう!…あ…。」


「どうかしたか?」


「い、いや、何でもないよ。」


(自然な流れで間接キスしちゃった…。嬉しいけど恥ずかしさが…!)


「…ん?」


「く、くまやんも何かあったの…?」


一瞬自分と同じ気持ちではないかと期待する。


「…いや、一瞬怪しい気配を感じた気がするんだが…気のせいか。」


「そう…なの?気がつかなかった。」


(くまやんの方ばっかり意識してたから…それに、ちょっと残念かも。)


ちなみに、吾郎の方は、


(幼馴染だから普通…って美月に思われてそうだな)


と一応意識はしていた。色々間違っているが。


「…こんな風に、くまやんとまたこうやってお店回れるとは思わなかったなあ…。」


「あの時はレオもいたけどな。懐かしいな…。」


(2人だけでいるこの時間を、デートだと思っているのは、俺(私)だけなんだろうな…)


____________________________________


「呪い…ですか…。」


呪い…呪術とも呼ばれるそれは、魔法の一種である。対象に魔力でできた呪印を刻み、刻んだ相手に、呪印によって決まった効果を与え続けるといった魔法だ。強力な反面、禁忌というほどではないが、昔から余り良くない魔法とされ、今でもほとんど扱う者はいないとされている。


「でも…私の知ってる呪いと大分違うんだけど。」


エリンの言う通り、エリンに掛けられている呪術は常に効果が作用するどころか、一度暴走して以来一度も発動していない。


「呪術にも色々あるんだろう。発動するタイミングに条件をつけたりするのは、他の魔法でもあるテクニックだしな。」


「そ、そうなんだ…。」


「呪術は、呪印を消せば効果が消えると聞いたことがあるが…できないのか?」


エルウィンがレオに尋ねる。


ちなみに、呪印を消すことは「解呪」と呼ばれる。


「…無理だな。」


レオが首を横に振る。


「え…?」


「呪術師…これを掛けたやつ、そこそこ手練れだ。呪印があることはわかるが、その呪印か所々隠れて、解呪がしにくくなっている。それさえ無ければ、呪術に手をつけてなくてもできると思うんだが…。」


(他にも気になる点はいくつかあるが…)


とにかく、今は打つ手がない。


「…お腹すいた。」


ミアが突然呟いた。


「え…?」


さっきまでの緊張感が途端になくなる。


「…そうだな。せっかくだし、城下町の露店にでも行くか。」


レオもあっさり話に乗って呪いの件を切り上げようとする。


「そんなわけで一旦解散だ。いくぞ、ルミナ、ミア。…エリン、お前もだ。」


そういって、レオはエリンの腕を引っ張って部屋を出ようとする。


「え、待って!私が外に出たら…また誰かを石にしちゃうかも…。」


「大丈夫だろ、多分。こんな慎重の塊みたいな呪術を掛けるやつが、お前がいきなり出てきたからって何かアクションを起こすとは思えねえ。それにもし何かあっても、俺が何とかしてやる。だから安心しろ。」


「けど…やっぱり怖いよぉ。」


(予想よりメンタルやられてなさそうだったし、ワンチャンいけるかと思ったが…流石に無理か。)


レオが手をぱっと離すと、引っ張る力に抵抗していたエリンが尻餅をつく。


「うぅ…ごめんね…。」


「別にお前が謝る必要はねえよ。じゃあな。」


エリンだけを残して、レオ達は部屋から出て行った。


(そういえば、レオ君以外の名前教えてもらえなかったな…)

___________________________________


「…それで、何か考えがあるのか?」


部屋を出た直後、部屋の外で待っていたガルディスがレオに聞く。


「いや、ねえよ。」


「おいおい…大丈夫かよ?」


「さあな。とにかく、呪いよりミアのお腹優先だからな。」


「相変わらずだなお前…。」


「それに…思いつかない時は、信頼できるやつに相談するのが1番だろ?」


「…お前がそのセリフいうの、似合わねえな。」


「うるせえよ。つーわけで行ってくるわ。」


「おう。暗くなる前には帰ってこい。」


「ガキ扱いすんな。それにここお前の家じゃねえから。」


「にいや、行かないの…?」


ミアがレオの服を引っ張る。


「ああわり…行くか。」


レオ、ルミナ、ミアが去っていくのを確認してから、ガルディスはエルウィンの方を向く。


「さて、後はあいつらに任せて、俺達は酒でも飲みながら話でもしようぜ。」


「…君が飲みたいだけだろう。それに、今は余り飲める気分じゃないんだが…。」


「そんな時だから飲むんだよ。少しは胸のつっかえが楽になるぜ。愚痴なら俺が聞いてやるからよ。」


「…そうだな。ありがとう。」


「よし、じゃあ早速…?今何か、背中に冷たい視線が…。」


「…飲む量は程々に、ね。」


エネアがガルディスを睨んでいた。


「は、はい…。」

意外と書くのに苦労した回。

あ、次回は一旦ワンダ達の方を書きます。

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