第37頁 森林の国へ①
ガルディスは手紙を読んだ直後、レオを呼び出していた。勿論ミアもレオの隣にいる。
「前もこんなことあったような…てか臭っ。抜けてねえじゃねえか。」
「楽しくてついつい飲み過ぎちまったんだよ…。それより、お前を呼び出した理由だが…口でいうよりこれみた方が早えな。」
そういって、ガルディスはレオにさっきの手紙を渡す。
「手紙…?誰からだ?」
「レフィーエ王国の国王だよ。俺宛だが、お前に関する大事なことが書かれてる。」
「ああ…エルフの国のか。」
レフィーエ王国は、亜人大結界内にある、ストラビア以外の唯一の国だ。住民のほとんどが、エルフ族といわれる、尖った耳が特徴の亜人族であり、巨大な森林に囲まれたストラビア以上に自然の色の強い国である。
「まあ、とにかく読んでみろ。」
「ああ…。」
レオは手紙を読み進める。最初はガルディスへの挨拶、そして、新たな王を祝う言葉が書かれている。ここまではまだ普通である。しかし、
「『婚約者についての話だが…』は?婚約者?誰の?」
「お前の。」
「…おい。そんな話聞いたことねえぞ。文面から見る限り最近決まった話でもなさそうだが、なんで言わなかったんだよ。」
「それは…本当にすまん。俺がいつか話そうと思って忘れてた。縁談の理由は単純に互いの国や種族の絆を深めるためだ。まだお互いに慣れきれてないところがあるからな。」
いわれてみれば、町などでエルフ族を見たことはほとんどない。王宮で大使のような人物を見かけるくらいだ。
「婚約者…それって、結婚するってこと?」
黙っていたミアが口を開く。
「ああ。レオとエルフの王族の娘が結婚するって話だ。」
「…だめ。そんなの許さない。」
「そうだな。ミアがそういうならこの話はなしだな。」
「待て待て。手紙の内容ちゃんと最後まで見たか?
「見たぜ。あっちにも何か問題があったんだろ?じゃあもうそれでいいじゃねえか。」
「お前なぁ…。」
ガルディスが本気で悩む仕草をする。
「…はあ。わかったよ。とりあえず、一回あっちまで行って話つけろってことだろ?結界解除の件についても話通さねえと面倒なことになりそうだしな。」
相変わらず、レオは身内相手には少し甘い。
「ああ。本当すまねえな。あと、俺も久々に積もる話があるから一緒にいくぜ。」
「…で?いつ行くんだ?なるべく早く済ませてえんだが。」
「そうだな…3日後に出発しよう。」
「…わかった。そういや、くまやんがエルフに会ってみたいとか言ってたっけか…あいつらが一緒でもいいか?」
「勿論だ。」
こうして、レオ達はエルフ族のいるレフィーエ王国に向かうこととなった。
なんか、割とガルディスがロクでもないキャラに見えてきた…いいキャラなんだよ?