第32頁 手伝い
注意:イチャイチャ多めです。爆発すればいいのに。
「お待たせしました。こちらがお二人の部屋になります。」
「ここが私達の…ってえ?」
美月と吾郎は驚いた表情をする。
「相部屋なんて聞いてねえぞ…。」
「では、失礼します。」
「あ、ちょっと…行っちゃった。」
ルミナは早々にレオのところに戻る。これもレオの指示だろう。
「とりあえず、文句をいいにいかねぇとな。」
吾郎が指の骨を鳴らしながらレオのところへ向かおうとする。
「待ってくまやん!」
「…?なんで止めるんだ美月。」
「…いいよ。」
「え?」
「だから…くまやんなら、一緒でもいいよ。」
「いいって、そういう問題じゃ…」
「いいったらいいの!…くまやんは、私とじゃ嫌?」
「そ、それは…」
吾郎は言葉に詰まるが、少し考えた後、レオのところに向かおうとするのはやめる。
「だが、最低限のエチケットはしよう。」
「…うん。ありがとう。」
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「手伝う…?急にそんな事いうなんて珍しいな」
ミアの言葉に対して、レオは感心するような困ったような反応をする。
「うん…ルミ姉と話して、思ったの。にいやはミアにたくさん甘えさせてくれる。ミアを守ってくれる。他にも、ミアのために何でもやってくれる。でも、だからこそミアだってにいやの役に立ちたい。その上で、にいやに沢山甘えたい。」
「そうか、そんな事を考えるようになったんだな…だが、正直やっぱり心配だ。お前を余り危険に晒したくない。」
「…ルミ姉だったら危険に晒していいの?それとも、ミアの事全然信じてくれてないの?」
中々痛いところをついてくる。レオは返答に困る。
「あんまり無理はしない。一回だけでもいい。だから…!」
「…レオ様、私からもお願いします。」
ここで、案内から戻ってきたルミナも、頭を下げてお願いする。
「ミア様は本気です…。私に初めて気持ちをぶつけるくらいです。それに、レオ様がここで駄目といってしまったら、ミア様はこのままレオ様に寄生するだけの駄目人間になってしまいますよ。」
ルミナはレオの説得をしながら、さっきのミアに仕返しをする。
「…はあ、しゃあねえな。」
レオは堪忍したようにため息を吐く。
「だが、気をつけるったって万が一のことだってある。そのために、常にお前の盾になれる奴を用意する。」
そういって、一枚の紙をミアに渡す。
「にいや、これは…何?」
「魔法陣だな。所謂、召喚魔法陣ってやつだ。」
魔法陣は、昔からある魔法の発動手段の1つである。正直無詠唱が使えるレオにとっては余り使用価値はないが、これの最大の利点は魔力を流すだけで発動するという点で、魔力さえあれば魔法の知識がないものでも発動できる。ただ、勿論魔法陣を書くには詠唱以上の難しい構造を理解する必要がある。
「いずれは渡すつもりだったから、それが少し早くなっただけだがな。早速使ってみろ。」
ミアは頷き、魔法陣に魔力を注ぐ。すると、魔法陣が光りだし、そこから2匹の獣が現れる。
「双子…?」
「出てくる魔物は想定通りだが、この展開は予想外だな。」
「あの、これってもしかして…」
ルミナが心当たりがあるような反応をする。
「まあ本とかで見たことあるだろう。白い体毛に、鋭い牙や爪。子供みたいだから大人ほど大きくはないが、こいつはフェンリルだ。」
フェンリルは、召喚できる魔物の中でも最上位だ。攻守のバランスがよく、魔法も使える。最上位の中でも使いやすい分類だ。
「…本当に、何でもありですね。」
「召喚した時点で契約は成立。これでいつでも呼び出せる。気に入らなかったら勿論破棄することはできる。ミア、こいつらでいいか?」
フェンリル2匹は、新たな主人であるミアの事を見つめる。恐らく自分の主人にふさわしいか品定めしているのだろう。やがて、大人しくミアに頭を下げた。
「…うん。この2匹も、ミアでいいみたい。」
ミアは2匹の頭を撫でる。
「では、名前をつけないとですね。どちらも雌みたいですが、どうしましょうか…。」
「…フェリとルリ。」
ミアはフェンリル2匹にそれぞれ指を指して名前を決める。体毛に少し赤が入ってる方をフェリ。少し黄色が入ってる方をルリと名付けた。2匹とも不満はなさそうだ。
「じゃあ最後に…」
レオはそういうと、2匹の目の前に立つ。そして、
「例え死んでも、ミアを守れよ?」
威圧全開の脅迫をする。2匹は震え上がり、ペコペコ頭を下げた。
「普段は召喚解除しとけ。」
「うん。」
ミアは召喚解除をして、2匹はその場から姿を消した。ミアも一度見た魔法を使えるくらい魔法のセンスがいい。
「さて、まず何をしてもらうか…。」
ヒロインはやっぱりある程度戦えるようにしたいなと思っています。大分都合固めちゃってますが。
今のところ細かく説明したいところは章の終わりに説明回として作る予定でしたが、後書きをつかってもいいかも知れませんね…一応考慮に入れときます。