第26頁 情報屋
王宮のある一室で、レオはある男と向かい合っていた。
年齢は20歳くらいの美形の青年で、常に余裕があるような微笑を浮かべている。彼こそ、表向きは商人だが、レオの情報源となっている情報屋だ。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
ルミナが配ったお茶を、情報屋は香りを楽しみながら口に運ぶ。ミアはレオの隣で寝てしまっている。
「…で、情報は集まったか?」
「ええ…そうですね」
レオが依頼したのは、ストラビアの町の外にいる、戦闘能力の高い獣人の情報の収集だ。結界の解除に備えて、できるだけ戦力を増やすためである。
「ルミナさん並み、とおっしゃられたときは流石にいないのではと思いましたが…いましたよ、それも2人。」
「ほう…で、場所は?」
「地図はお持ちですか?」
レオがルミナの方を向くと、ルミナはアイテムボックスから地図を取り出し、情報屋に渡す。
「1人は南東の熊人族の集落、もう1人は北西の兎人族の集落です。」
情報屋は補足を入れながら、地図に大体の位置を記し、レオに返す。
「なるほどな…ほら、報酬だ。」
そういって、レオは情報屋に金の入った袋を投げ渡す。
「ああ、それともう一ついいか?」
「はい、なんですか?」
「お前…見てただろ、あのとき」
「あのときとは…?」
「俺がライネルをボコした時だよ…どうせ、話も聞いてたんだろ?」
「…貴方にはお見通しでしたか」
「それで、この話を他の奴に話されると都合が悪い。情報の保護をしたい。」
情報屋の商売は、何も情報の提供だけではない…持っている情報を依頼者によって保護、改ざんするのも商売の1つだ。優秀な情報屋ほど、保護や改ざんの仕事も多い。
「そうですね…個人的に結構な特ダネですから…
100万で手を打ちましょう。」
「チッ…足元みやがって…」
そういいながらも、素直に言われた金額を情報屋に渡す。
「ありがとうございます。ふふっ、今日はいい商売ができました。」
そういって、上機嫌で情報屋は部屋を去る。
「ずっと気になってたんですが…」
ルミナが突然口を開く。
「あの人って男装してる女性ですよね…。」
「…そうだな。」
「どうして男装してるのでしょう?趣味…というわけではないですよね。」
「さあな…そっちの方が、色々と都合がいいんだろう。」
「そういうものなんですかね…。」
私の中の情報屋のイメージってクール決め込んでるかこいつみたいに怖いくらいニコニコしてるかどっちかなんですよね…どこでこの偏見が生まれたのだろう
あ、あと金にがめつい。