第23頁 辞退
レオはすごい勢いで歩いていき、部屋の扉を開ける。そこには、椅子に座りながら本を読んでいるリオンがいた。
「リオ兄…どういうつもりだ?」
レオは怒っているわけではないが、少し棘のある様子でリオンを問い詰める。
「どうもこうもないよ。あれが僕の本心だ。」
「本心って…いいのかよ。」
「いいんだ…僕は体が弱かったから、あまり期待されていなかったし、今回のライネルの件も含めて、レオには王の資質があるんじゃないかなと思った。だから僕も、王戦を辞退したんだ。」
「そうか…。そう思われていたのも意外だが、先を越されるとは思わなかったぜ。」
「先…?」
「俺はバリバリ王をリオ兄に押し付けるつもりだったぜ。辞退はするつもりなかったが…。」
レオが辞退しなかった理由としては、ライネルの辞退により混乱するであろう状況を落ち着かせてから王を決めた方が国が安定するだろうという思考と、単純にライネルと一緒に辞退するのが癪だったというのがある。
「だが、今更辞退を取り消す事もできねえよな…仕方ねえ。」
レオは改めて、自分が王になる現状を受け入れた。
「だが…俺はこれからやらなきゃいけねえ事がある。だからあんまり国の事に対して首をつっこめねえ。だから、王としての仕事を一部、リオ兄やライ兄に押し付ける事になる。それでもいいか?」
「うん、それは任せてよ。僕はレオが王になるべきだと思ったけど、国のために色々したいって気持ちはある。だから、精一杯レオをサポートするよ。兄弟としてもね。」
「そういってくれると助かる。詳しい事は戴冠式の前に王族での話し合いがあるらしいからその時にいおう。」
「うん…わかったよ。こんな押し付ける様な形でごめんね。」
「まあ、許してやるよ。お互い様だしな。」
「にいやが王様…かっこいい。」
ミアはレオが王になるのに乗り気な様だった。
「王になったら、忙しくなってあんまり一緒に入れなくなるかも知らないぞ?」
「それはやだ。」
ミアが即答する。
「リオ兄…もっとにいやのために働いて。」
「あはは…努力するよ。」
「私も、にいやを手伝いたい。だから、ずっと一緒にいて…?」
ミアが上目遣いでレオを見る。
「そんな言われ方されたら断れるわけねえだろうが…。」
レオは少し困った表情をするが、すぐに悪い笑みを浮かべた。
「わかった…。お前が離れたいといおうが、ずっと一緒にいてやるよ。」
「大丈夫。一生離れたくない。」
ミアはそういってレオに抱きつく。何か微笑ましくなったリオンは、二人の頭を撫でようとするが、リオンに対しては二人とも抵抗しない。
「これから頑張ってね、レオンハルト陛下。」
「気がはええよ、リオ兄。…そっちこそ、忙しすぎて過労死するなよ。」
「うん、気をつけるよ。」
そういった後、レオ達は部屋を出る。
「…よし!これから忙しくなるだろうから、体力をつけるためにレオに教えてもらった筋トレでもしようかな。」
そういったリオンは、すごく晴れ晴れとした表情をしていた。
大分強引な流れですけど、正直政治云々の知識が乏しくあんまり触れたくないのでこうしました。
口出しくらいはさせる予定ではあります。