第22頁 帰り道にて
「うわーん!うわーん!」
町中の人通りの少ない所に、大きな泣き声を出しながら泣いている豚人族の男の子がいた。
「うわーん!…ママ…どこぉ…」
泣きながら、母を呼ぶ声を出すが、その子は一向に動こうとしない。
そこに、王宮に帰る途中のレオ達がやってきた。レオ達は気にすることなく、そのまま通り過ぎようとする。
「うぅっ…うわーん!」
しかし、通り過ぎた後に、
「…うるさい。」
ミアが軽くリアクションすると、
「…チッ。」
レオが軽い舌打ちをして、振り返って男の子へと足を進める。
「おい。てめぇ、さっきからピーピー泣いてんじゃねえぞ。」
「ふぇ…?」男の子もびっくりして、一瞬泣き止む。
「お兄ちゃん、誰…?」
「レオンハルト…レオでいい。で、お前は?」
「ホット…」
「それで…お前迷子だろ?」
「う、うん…ま、ママぁ…!」
ホットは思い出すようにまた泣き始める。
レオは耳を塞ぎながら、もう一度舌打ちをする。
「しょうがねえな…おい。てめえの親を探してやるから、いいかげんそのうるさい泣き声をやめろ。」
「え…いいの?」
「次泣いたら知らねえぞ。」
「う、うん。泣かない。」
ホットは精一杯泣くのを我慢しようとする。
「でも、どうやって探すの?」
「やり方は幾らでもあるが…そうだな。」
そういうと、レオは自信の魔力を薄くして周囲に放つ、『魔力感知』という特殊技能を使い、ホットの魔力に似た魔力を探す。
「…あっちだな。行くぞ。」
「う、うん。…わっ。」レオはホットとミアを抱えて、軽やかに建物の上を移動していき、あっという間にホットの母らしき姿を捉える。
「あ、ママー!」ホットが手を振る。
「ホット!」母もそれに気づく。
そして、レオはすごい勢いでホットの母の目の前に着地する。
「ママ!ママ!」
二人はお互いの再会を喜び合う。そして、
「れ、レオンハルト様!?」
「無理にかしこまるな、面倒くせえ。」
「はい。…本当にホットをつれてきてくださり、ありがとうございました。」
「別に、つれてきたくてつれてったわけじゃねえ。泣き声が鬱陶しかったから黙らせたかっただけだ。」
「お兄ちゃん、ありがとう!」
「…もう迷子くらいで泣くんじゃねえぞ。次はないからな。」
「うん、ありがとう!」
そういって、レオ達は二人と別れ、また帰り道を歩く。
「…ツンデレのにいや、可愛い。」
「…デレてたか?俺。」
「ツンの自覚はあるんだ…。」
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「!…殿下!大変です!」
レオ達が着くと、連絡役の兵士がすごい勢いで向かってくる。
「どうしたんだ?そんなに慌てて」
「実は…!」
そういって、兵士はレオに王宮であったことをいう。
「…は?」
特殊技能なんてお堅い名前にしましたが、今のところはスキルでよかったかもと思ってます、今後の都合次第で名称が変わるかも知れません…。