第14頁 正当防衛
王宮のある一室で、レオは、ライネルに剣を向けられていた。
「お前は、殺意を持って剣を振った。そして、その殺意は今も持ち続けている。俺も死にたくないからな、正当防衛、させてもらうぜ。」
まるで最初からこれが狙いだったかのように、白々しい言葉を口にしながら、レオも腰に差した剣を抜く。
それに合わせて、ライネルの護衛も剣を抜いて構える。
ダッ
最初に動いてたのは、ライネルだった。
素早い踏み込みとともに、鮮やかな横薙ぎの剣閃をレオに繰り出す。王子としての英才教育の一環として、剣も教わっていたライネルの一撃は、そこそこの剣の使い手なら軽く胴を真っ二つにするほどの洗練さだ。
ライネルから見ても、完璧にとらえたと思った。
しかし、防がれた感触どころか、当たった感触すらしない。
一瞬、驚いた表情を見せるが、すぐに気を取り直し、連続で攻撃する。護衛もそれに合わせて動き始める。
ライネルも相当やるが、護衛はそれ以上の手練れだ。
ライネルに合わせて、息のあった追撃をする。まるで何年と組んできた相手同士連携のようだ。
しかし、その全てが、空を切るか、あっさり受け止められるかで、一度も、レオの体を捉えることができない。
「な、なに…!?」流石のライネルも、驚きを隠せなかった。
レオが軽く、しかし確実に相手を退かすように剣を払った。ライネル達は下がらざるを得なかった。
警戒しながら剣を構えるライネル達に、レオは余裕たっぷりにこういった。
「まあまあだな…5点。まあ、100点満点で、だが」
「5点…だと?」ライネルは怪訝な表情をする。
「じゃあ、さっきはお前達のターンだったし…。」
そういった次の瞬間、レオは、ライネルのすぐ目の前に移動していた。
「…!」全く反応できなかったライネルに対して、レオはニヤリとしながら、
「今度は、俺のターンだ。」
そういって、剣の柄でライネルの腹を突き、気絶させた。
その突きが視認できなくて、何が起こったかわからないといった表情をしていた護衛も、同じように気絶させられる。
全く疲れた様子を見せないレオは、剣をしまうと、
「ルミナ、ちゃんと撮れたか?」といった。
「ええ、ばっちりです。」そう返すルミナは、レオの持っていた水晶のようなものを持っていた。
「それじゃあ、最後の工程だ。手筈通りにな。」
「わかりました。」そういって、ルミナは一瞬で部屋を去る。
「今回はあいつに任せてばっかりだな…今度あいつの希望を叶えてやらないとな…。」
そういいながら、拘束系の魔法で、ライネル達を縛る。
「さて、目を覚ますまで、ミアのところにでもいくか。」
そういって、レオも部屋を去る。
レオが部屋を去った後、怪しい男が部屋に入ってきた。
「ふむふむ…これはいいネタになりそうです。」
不敵な笑みを浮かべて、男は紙を取り出して色々書く。
「おっと、もうこんな時間か。」
そういって、男はその場を後にしようとする。
「今日は、とても楽しい一日になりそうですね。」
一切の気配も残さず、男は姿を消したのだった。
初めての戦闘描写…といっても一方的感を出し過ぎて全然臨場感がないてすね。互角の戦いをするときはもっと臨場感出したいなあ…