第13頁 謀略③
「うぅん…にいや…抱っこー…すぅ…。」
ミアは幸せそうな顔をして昼寝をしているが、そこにレオとルミナの姿はなかった。
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「…こんなところに呼び出して、何の用だ?」
マクウェルとレオが手を組んでから数日後、ライネルはレオに呼び出されていた。
「何の用…か。」ライネルが入るとき、部屋にはレオしかいなかった。そこは王宮の一室だったが、まだ誰にも使われてない空き部屋だった。
「実は、気になることがあってな。」
そういうと、レオは置いてあった鞄からおもむろに封筒を取り出し、それを開けて中身を見せた。
「マクウェルと言う男からお前宛だが、手紙と金が入っていた。手紙の内容から見ても賄賂と見て間違いない。まさか心当たりがないとはいわないよな?」
「!!……」ライネルは驚いた表情をし、何か言いたそうな顔をしていたが、すぐに目線をそらした。
手を組んでから、マクウェルにはライネルに上級貴族より高い賄賂を送るようにいっていた。そんな金は本来持っていないため、金はレオの用意したものだ。当然だが、ライネルは、レオとマクウェルが手を組んでることさえ知らない。
「…どこでそれを?」
「その男からお前の所へ渡しに行くところの使者を押さえた。」
嘘である。事前に渡しておいた代物だ。勿論その日は賄賂を送らないように仕向けている。
「…お、お前が捏造した証拠じゃないのか?」
ライネルは苦し紛れのつもりでいうが、事実である。
だが、それを想定しないレオではない。
「なら、本人に直接聞いて見よう。」
そういって、レオが指を鳴らすと、扉が開き、兵士に連れられた縄でぐるぐる巻きにされているマクウェルが入ってきた。
「お前は、ライネルに賄賂を送っていた。違うか?」
「…はい…事実です。」マクウェルは暗そうな顔をしてそういう。打ち合わせ通りだが、見事な演技だ。
「だ、そうだ。賄賂を送るだけあって小物だな。問い詰めたらすぐに認めやがった。」
「…すいません…ライネル様…。」
「連れて行け。」そういって、マクウェルは兵士に連れて行かれた。
「な、なんだと…。」ライネルはマクウェルの演技に完全に騙されていた。
「賄賂を送るのは勿論だが、それを受け取るのは王族として不当な行為だ。そんな奴が王になったら、民達はなんていうだろうな。」
「くっ…。」ライネルは悔しそうな表情をする。
「それともう一つある。」
「もう一つ?」
すると、レオは写真を見せる。この世界にそんな技術はなかったため、勿論レオが画像を保存し紙に写す魔道具を作った。
写真には、ライネルがルミナを押し倒している姿が写っていた。
「な、なんだこれは…!?」
ルミナは本物だが、ライネルはレオが変装したものである。ライネル本人に心あたりは微塵もない。
「何回も襲われかけてたらしくてな、ルミナに頼まれて魔道具を渡して、なんとか証拠が取れたらしい。」
「いや…これは俺じゃないぞ…?」
「白々しいな。ルミナ、入れ。」
レオがそういうと、もう一度扉が開き、今度はルミナが入ってきた。
ルミナは身の危険を感じるような仕草をしながら、軽蔑と恐怖を併せ持ったような眼差しでライネルを見ながら、レオの所までいく。
「嫌だと必死に抵抗しましたが、それでも何度も襲ってきました…。この男は王子の皮を被った悪魔です!」
「こんなに怖がらせるまで、それも人のメイドに無理矢理手を出すなんてな…最低だな。」
レオも軽蔑した目でライネルを見る。
「…。」ライネルは段々と呆れてきている。
それを気にすることなく、レオは雄弁に話し続ける。
「悪質に賄賂を受け取り、あまつさえ無理矢理女に手を出した。とんだ最低野郎だな。同じ兄弟とは思えねえよ。育てられ方を間違えたのかもな。」
少しいらっとしながらも動じなかったライネルの顔が、一瞬暗くなった。それに気づいたレオは、さらに話を続ける。
「そういえば母親が違うもんな。お前をそんな風に育てた母親、一体どんな悪人なんだろ…」
そういいかけたところで、レオに向かって剣が振り上げられた。レオは避けたが、顔がかすったのか少し血が出ている。
「俺を侮辱したことはまだいい。だが、俺の母様を侮辱したこと、許すわけにはいかない。」
「ほう…。」レオは手で頬から出た血を触って確認し、その後、
「今…俺を攻撃したな?」
悪い笑みをしながら、そういった。
自分で書いてて下手っぴだな…とおもいましたが、正直直すほどの気力も知識もないので諦めました。まあこの辺はそこまで重要なパートでもないので温かい目で見てください。