第11頁 謀略①
不定期ながらもそろそろ投稿ペースを早めようかなと思ってます。1週間〜2週間に1話くらいを目標にします。
「はあ…」中年の男が、建物から出たところでため息をつく。
男の名はマクウェル・ウルス。鼠人族で、体は小柄だが、もういい歳のおじさんである。
彼はライネル派の下級貴族で、先刻まで、ライネル派の貴族で会議をしていたが、上級貴族達がライネルに賄賂を送っていると噂を聞いてそれを問い詰めようとしたが、言いがかりだといわれ逆に追い詰められてしまった。上級貴族は勿論気に食わないが、もし仮にライネルがそれを受け取っていたらと考えると、本当にライネルを支持することが国のためになるのかと不安になっていた。それ故のため息である。
少数の護衛を連れて、家に向かう。
人通りの少ないところで、メイド姿の女が現れた。
「…何者だ?」マクウェルは怪しむ。護衛達も武器を構えた。
「我が主が、貴方と話がしたいそうです。ご同行を。」
「その主とは誰だ?それは今からじゃないと駄目か?」
「ええ…。」そういうと、女は不敵な笑みを浮かべてこういった。
「我が主…レオンハルト殿下は、待つことがあまり好きではないので。」
「!!」マクウェルは動揺を隠せなかった。
「わかった。…すぐいこう。」
「では…。」そういうと、ルミナは背中を向けて歩き始めた。マクウェル達もそれについていく。
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「こちらです。」そういってルミナは、王宮の応接間の扉をあける。
下級貴族が、本来応接間に行く機会はない。そのため、始めて訪れる場所に少しわくわくしながらも、レオに始めて近づくことに心音が耳から離れないほど緊張していた。
「…マクウェルです。失礼します。」
「…おう。よく来たな。まあ座れ。」レオは猫を撫でながらそう返した。
(なんで猫…?)マクウェルはそう思ったが、緊張してとても聞こうとは思わなかった。
「護衛は出てけ、重要な話だからな。」
護衛は戸惑いながらマクウェルの方を見たが、マクウェルが手で退出するよう合図したので、素直に従った。
「どうぞ。」マクウェルが座ると、ルミナがすぐに紅茶を出した。コップを手に取り、それを口に入れる。
「うまい…!」それはマクウェルが今まで飲んできた中で最も美味で、感動するほどだった。
ルミナは軽い会釈をして、レオの後ろにつく。
「さて、まずはお前の気になっていたことから教えてやろう。」
そういって、ルミナに目配せする。そうすると、ルミナは袋を取り出して、机に置いた。
「…これは?」マクウェルが不思議そうな顔をする。
「開けてみろ。」
そう言われて、袋を開けると、そこにはかなりの量の金貨と、手紙が入っていた。
「これは…!」
「ああ。ライネル宛の賄賂だ。」今度は猫の顎をなでながらレオが返す。ゴロゴロと心地よさそうな音が鳴っている。
手紙にはライネル宛という文字に、ライネルを支持していた上級貴族の名前、そして賄賂に関する内容が書かれていた。
「どこでこれを?」
「使者に送らせているところを抑えた。」
「…やっぱり、本当だったのか…。」マクウェルは少し暗い表情をしていた。
「でも、どうして私がこのことを知りたいと?」
「俺には優秀な情報源がいるからな。」レオは得意げにそういった。猫も何故か得意げに鼻を鳴らす。
「んじゃ、この話が終わったところで、お前を呼んだ理由を教えてやろう。」
そういって、少し間を置くと、レオはこういった。
「俺と手を組め。マクウェル・ウルス。」