僕をかえたキミ
今年もまたこのホテルで夏を過ごす
幼い頃は家族で来てたこのホテル
今は1人で毎年来てる
なぜだろう
ここに来ると心が安らぐ
周りには何もなくて、ただ海と山があるくらい
毎年来ても部屋でゲームしてるだけ
でも毎年来てしまう
いつもとかわらない朝
ホテルのレストランで朝食
ガチャガチャうるさいのが嫌だからいつもテラスで食べている
朝なら暑さも程よいからテラスでも大丈夫
ガシャン!!
コップが割れる音だ
レストラン内を見てみると小さい子が泣いている
子供がコップを落として泣いているようだ
朝から子供の泣き声とか……今日は運が悪いな…
っとため息まじりでまたレストラン内を見た
泣いてる子供の所に女性スタッフが慌てて来て対応している
コップが片付けられても子供は泣き止まない
はあー早くいなくならないかな
まわりの客も少し迷惑そうだ
片付け終わったスタッフは子供にそっと近づき内緒だよと飴を渡していた
いやいやー飴なんかで泣き止まないでしょー!!
そう思っていたら、満面の笑みを浮かべて子供は泣き止んだ!!
単純?!
計算?!
なんて現金な子供なんだ!!
まぁー泣き止んだのならなんでもいいや
テラスから海を眺めていたら、テラス下の倉庫のかげにさっきのスタッフがいた
よく見てみると指から血が出てる
さっきのコップで切れたのか?
切れてる右手に左手で一生懸命絆創膏をまこうとしている
けど、利き手じゃないのかなかなか出来ない
どんだけ不器用なんだよ…
そう思ったら体が動いていた
「貸してみな!!」
彼女からそう言って絆創膏を奪い取った
彼女は驚いて固まっている…
「これでいいか?きつくないか?」
俺の問いかけに彼女は焦ってお礼を言った
「すっ、すみません、ありがとうございます!」
「左手だと難しくて」
いやー利き手じゃなくても絆創膏くらいまけるとおもうけど
とちょっと呆れた
「さっきのコップで割ったのか?」
「あ、見てましたか」
「先程はお騒がせして、申し訳ありませんでした」
「あの時は大丈夫だったんですが、裏で割れたコップを片付けているときに切ってしまって…」
それを聞いて
「不器用なんだな…」
っあ、つい言ってしまった
彼女は苦笑いしている