冤罪もいいところ
お前が犯人だ!
そう指を差されて私は青褪めた。
私は何もやっていない!
慌てて首を横に振っても、誰も信じてくれない。
どうすればいいの?
どうしてこうなってしまったの?
私はただ、ここにいただけなのに。
目の前には倒れている女。
女は口から血を吐いて死んでいる。
そして私を糾弾する男は、死んだ女の恋人だ。
私は嫉妬で殺してなんかいない。
男のために殺してなんかいない。
「あいつがいなくなってくれれば、お前と一緒になれるよ」
そう言ったのは男だ。
でも私は殺していない。
それなのに、信じてもらえない。
私を糾弾する男は笑っている。
罠に落ちたと喜んでいるように見える。
ああ、私は嵌められたの?
私はもういらないの?
絶望が心を満たす。
私は反論する気力もなく、死んだ女を哀れんだ。