８６：ことの原因というのはわりとわかりやすい。
――いつものあれでオリーブ双国に飛んできて目に入ったのは私達の方に土下座をしている2人の男女。
「……望月、とりあえず踏むのはやめてやれ」
「いや、なんかつい。」
目の前に目的の人物がいて、土下座をしてたらやっぱり踏むじゃん。
踏みたくなるでしょ！？
とりあえず踏むのやめたら男の方……いや、インキュバスだけどさ。
やつがすごく残念そうな顔したんだけど！？
「佐藤、この人ホントやだ。」
「今は諦めておけ……んで？話してくれるんだろ？」
そう言った佐藤は珍しくやる気満々な顔をしていた。
あ、やっぱり一昨日のサキュバスには怒ってるんだな。
インキュバスもサキュバスも本気で怯えた表情になってるし。
まぁ、私も許してないけどね！！
「ほらほらー早くしゃべんないと力の練習台にしちゃうよー？」
「そ……それって呪術のほ……」
「あ、やっぱり職業のこと知ってるんだ？」
こういうのって誰かに言いふらす訳じゃないんだから普通知らない方があたりまえなのにね。
もちろん上の方の人は知らない方がおかしいけど。
私の言葉にインキュバス氏はやっぱりしまったって顔をしたけど……
この人しくじりまくりじゃね？
「ふぅん……つまり上の方の人かぁ……」
「い、言え……」
「たぶんリゼットちゃんのとこじゃないと思うし、他の島国の方はよく知らないし……もしかしてビタミン元帝国に関係してるんじゃない？」
なんとなく一番可能性はあったんじゃないのかなーって思ってたけどね。
ほら、インキュバスは完全にしくじった表情になった。
「インキュバスさ、もともと隠す気なかったんじゃないの？シュガーさんのこともあれだけど。」
「これはまいったね……カマかけ以前にいつから確信していた？」
「ん？私のとこに来たときかなぁ……双国の問題を形式上解決ってしたのがあれだったの？」
「さぁね。彼らが何を考えてるかは興味ないからね。」
サキュバスはインキュバスのぶっちゃけぷりに慌ててるけど……
開き直りって大事だと思うんだ。
「望月どういうことだ？」
「んー……簡単に言えばインキュバス達に依頼した人達は私達の誰かを魅了にかかればいいと思ってたってこと。魅了によってアル王のとこを乱したかったんじゃないかなぁ？」
「……やっぱ他世界の人間ってのは敏いんだな……」
また若干馬鹿にされた気がするけど……それはいいや。
そもそもこの2人は何を代償に貰う気だったんだろ？
「シュガーさんを殺す依頼をした人はインキュバスの嫁になったんだっけ？」
「おう。あいつは元々代償はこっちに任せるって言ってたしな。嫁にした。」
代償って、決めとかないと大変なんだね。ホントに。
「とりあえずインキュバス。身体に自信あるんだろうけどさぁ……全裸ってマジないわー」
正直言えば割れ方は佐藤の方がいいんだよねぇ……
え、いつ見たかと言われれば……あいつの風呂あがりのとき？
……ってそれはいいんだよ！！
「うん、今回のことは元帝国が原因ってのはわかったからこれはアル王に言っとかなきゃ……んで、インキュバス、彼らにはどんな代償もらうの？」
「そんなもん。やっぱ子供欲しいからなぁ」
こいつって……わかりやすいけどやりにくいタイプだ。
とりあえずやることだけやろうかな……
「……欲求不満じゃ相手が可愛そうだから……しばらくの間できなくなっちゃえー」
ナニがとは言わないよ？
でも佐藤には察されたのかすごく嫌そうな同情するような表情をインキュバスに向けていた。
ていうかその辺よくわかんなくてもなんとなくわかるし！
そこまでお子さまじゃないし……
ついでにサキュバスにもかかったみたいだけど……どうなるんだろ、この場合は。
まぁ、私達はだいたい聞きたいことも聞けたし、さっさと帰ることにした。
……おまけにもう1回踏んだのはなんとなくだからね！
――インキュバス達が私の言葉の意味を理解したのはその日の夜のことだったらしい……――
インキュバスの夢に出た時と2回目のしまった顔は演技でした。って話。
オモチは最初頭を踏んで、帰る前には正座してる足を踏んで帰りました。
てことで次にくるのはもう1個の隣国ビタミン元帝国です！
