9:王様の正体はただの……
9日目ー!
王様はショタ爺。そして実は一番腹黒(予定)
――王様を見て驚いた私は絶対に悪くないと思う……
玉座に座っている王は薄水色の髪に金と銀の瞳を持った人で
その姿は……
「ショタ?」
「誰が正太郎じゃ。娘」
「これはしつれ……ん?」
なんでこの王様そんなこと知ってるの?
ていうかショタの語源ってそこなの!?
改めて言えば、私の目の前にいる王様ははっきり言って幼さの残る少年と言えるくらいに小さくみえた。
この人が王様……?
「ふむ、まぁそうなるのも仕方がないのぅ……わしはアル・キングス・カフェインという。まぁ、この国の王だ。」
「どうも……望月杏子です……」
「望月だな。覚えたぞ。」
あれ、そういえばなんでこの王様……
「わしはのぅ、幼少期の一時お主らの世界に居たことがあるんじゃよ。」
「幼しょ……え?」
「カッカッカッ、わしはこれでもそこのビネガーよりも4倍は生きとるよ。」
「え……まじで?」
ただのショタ爺じゃないか……
そんなことを思っていたらショタ爺……じゃなくて王様は楽しそうに目を細めていた。
「なかなか素直そうな娘だな。おまえは。」
「素直ついでにもう帰ってもいい?」
「ハハッ、ホントに素直で正直だな……まぁよい。そこのビネガーの言うことは聞いとけよ。碌なやつはおらんからな。」
「うん、わかった。」
とりあえずこれでショタ爺王との対面は終わりらしい。
にしてもまさか王様が一時でも私達の世界にいたことがあるとはなぁ……
「ビネガーさん、王様って変な人なんだね。」
「あの人はそうですね……だが彼が就任してからこの国が他国から攻め込まれたことが一度もないんですよ。」
ショタぽい見た目だから?そう聞いてみたらビネガーさんはあっさり首を横に振った。
「いいえ、彼がこの国の唯一王族だからですよ。そして彼の力は誰も限界を見たことがない。」
「伊達に爺さんじゃないってことかぁ……ま、私には関係ないや。」
ビネガーさんはあのショタ爺についてこうも言っていた。
彼は“終わりなき好奇心を持つ存在”なのだと。
その意味を私は知らないし、これからも知りたいとは思わなかった。
所謂あれだ。触らぬ神に祟りなし!ってやつ。
「そだ、ビネガーさんビネガーさん。佐藤達がいるとこって近いの?」
「騎士団と魔道士団ですか?そうですね、さほど遠くはありませんが……興味ありますか?」
「うん、チラ見したい。それから呪術の練習もしたいんだけど。」
「わかりました。それではそちらの方も案内しましょう。」
予定って、案外その場で増えるものだよね。




